新NISAで50〜60代が“やってはいけない”投資の失敗例。「年利3%で安定的に運用できる」おすすめの投資信託も

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2024年04月15日 09:21  日刊SPA!

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※画像はイメージです
 新NISAがスタートし、日経平均株価が一時4万円を突破するなど、にわかに投資ブームが沸き起こっている。新NISAでは投資で非課税に期間や上限額が拡大し、これまでよりも投資しやすい環境が整っている。しかし、50〜60代から投資をはじめようと思っても、どんな銘柄に投資すればいいのかわからないという人も多いだろう。
 今回は、登録者数70万人を超えるYouTube「BANK ACADEMY」を運営、『イラストと図解で丸わかり! 世界一やさしい新NISAの始め方』(KADOKAWA)の著者である小林亮平氏が、50〜60代でよくある投資の失敗例やおすすめの銘柄について紹介する(以下より寄稿)。

◆新NISAは50〜60代でも遅くない

「新NISAを50代、60代から始めるのは、年齢的にやめた方がいいでしょうか?」という質問をよくいただきますが、50〜60代からでもけっして遅くはないと思います。

 50〜60代の方は若い人に比べ、どうしても運用期間が短くなってしまいますが、それでも新NISAに興味があれば少額から始めてみるのはアリでしょう。今は人生100年時代とも言いますし、思いのほか運用を長く続けられるかもしれません。

 また50〜60代の人が今から新NISAを始めるその他のメリットは、定年退職して受け取った退職金を資産運用に回す際、失敗しないための経験を積める点も非常に大きいです。

 退職金を受け取ると、銀行や証券会社などの金融機関から、資産運用の案内が届くことがあります。ただ、自分であまり調べずに、金融機関任せで運用してしまったことによる損失や後悔の声を多く聞くのが実情です。退職金の運用で失敗しないためにも、50〜60代からでも新NISAで少しずつ投資の経験を積んでおくのは大事でしょう。

◆50〜60代におすすめの商品は?

 50〜60代の方が新NISAで商品を選ぶ際も、まだ運用期間がしばらくは取れると考える方なら、全世界株式もしくは米国株式のインデックスファンドでいいでしょう。ただ、年齢を考えてもう少し安定的に運用していきたいなら、債券が含まれた投資信託を検討するのがいいと思います。

 債券とは、国や会社などが、投資家からお金を借りるために発行する証券です。国が発行する国債や、会社が発行する社債など色々な種類がありますが、基本的には株式より比較的値動きが小さいローリスク・ローリターンの金融商品だと思ってください。

 リスクというと危険性のような意味合いで捉えがちですが、投資の世界では、得られるリターン(利益)の振れ幅のことを指します。

◆リスク別おすすめの投資信託は

 ここで、つみたて投資枠で選べる商品の中で、大まかなリスク別の投資信託を一例として紹介します。高リスク商品は、ここまで紹介してきたeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が人気です。もしくは米国株のみで運用したいなら、eMAXIS Slim米国株式(S&P500)を選ぶといいでしょう。

 中リスク商品は、eMAXIS Slimバランス(8資産均等型)という株式や債券、REIT(不動産投資信託)などでバランス良く構成されている投資信託がよく選ばれています。ただ2020年のコロナショックの際、8資産均等型はREITの回復が鈍かったことで全世界株式以上に損失が大きくなった時もあったので注意しましょう。

 低リスク商品は、三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)がおすすめです。つみたて投資枠では債券のみで運用する投資信託を選ぶことはできないのですが、この銘柄は債券が多めの構成になっているので、比較的値動きが安定していますね。

◆48カ月たって一番上昇した銘柄は

 私は2020年の初めから、これら3銘柄に月1000円ずつ積立を行っていました。2023年末で48カ月経ったのですが、値動きにだいぶ違いが出ています。

 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は、コロナショック時に−16.11%と下落しましたが、その後は回復し、48カ月目には+44.64%と大きく上昇しました。一方の三井住友・DC年金バランス30(債券重点型)は、コロナショック時でも−4.01%と下落幅は小さかったのですが、48カ月目は+10.66%とそこまで上昇しませんでした。

 この運用結果を踏まえ、50〜60代の方で安定的に運用していきたいなら、新NISAで債券重視の投資信託を選ぶのはアリだと思います。ただその場合、将来的なリターンはどうしても限られてしまうことも、併せて知っておくといいでしょう。

 あとは50〜60代における銘柄選びの他の選択肢として、高配当株投資を検討するのもいいでしょう。国からの年金では足りない老後の生活費を、配当金で用意していく「じぶん年金」を作ることができますからね。

◆高配当株投資にはどれだけ必要?

 仮に新NISAの成長投資枠で高配当株投資を行った際、月○円の配当金を受け取るには、いくらの投資元本が必要かを考えてみましょう。高配当ETFの代表格であるVYMなら、配当利回りは年3%が目安となります。

 まず月5000円、つまり年間で6万円の配当金を受け取るなら、6万円÷3%=200万円の投資元本が必要です。次に月1万円、つまり年間で12万円の配当金を受け取るなら、12万円÷3%=400万円の投資元本が必要に。そして月2万円、年間で24万円の配当金を受け取るなら、24万円÷3%=800万円の投資元本が必要に。

 最後に月3万円、年間で36万円の配当金を受け取るなら、36万円÷3%=1200万円の投資元本が必要となります。そのため、新NISAの成長投資枠1200万円をすべて高配当株投資で埋めたなら、毎月3万円が税引き前で受け取れることになります。ただ前述のように新NISAでは米国株・米国ETFへの配当金に対して国内課税(約20%)は非課税となりますが、米国課税(10%)はかかってきます。

 そうすると、VYMから税引き前で3万円の配当金があっても、米国課税10%は引かれて、手元に残るのは月2万7000円になります。このようなイメージで、配当金をじぶん年金として、老後資金の足しに考えるといいでしょう。

◆50〜60代でよくある投資の失敗例とは

 50〜60代の新NISAにおける投資戦略が分かってきたところで、よくある失敗例も知っておきましょう。運用できる期間が若い人に比べて短いという焦りからか、私の元にも50〜60代の方から投資で失敗したという相談をしばしばいただきます。

 まずは代表的な失敗例として、自分がよく分かっていないものに投資してしまうことがあります。投資商品でいうと、たとえば暗号資産やFX、また個別株などですね。いずれも短期間で高いリターンを得られるかもしれないという話から、中身がよく分からなくても飛びついてしまう人が後を絶ちません。

 ただ、これらの商品自体への投資が絶対ダメというわけではなく、本当にその商品の仕組みや注意点を理解しているかが大事です。「自分がよく分かっていないものには投資しない」とは資産運用における格言ですが、誰かが勧めてきたからという安易な発想で投資しないように気を付けてください。

 また、先ほどリスクとリターンの話をしましたが、これらは表裏一体の関係にあります。つまり、短期間で得られるかもしれないリターン(利益)が大きいほど、すぐに大損してしまう恐れもあります。

◆「早く、大きく儲けたい」はキケン

「50〜60代で投資を始めたから、早く利益を出して大きく儲けたい」と考える方も多いですが、新NISAにおける投資はあくまで時間をかけてコツコツと続けていくことが大切なのを忘れないでください。

 また、50〜60代でまとまった資金を新NISAの投資に回そうという方も、まずは月数千円〜数万円の少額投資からスタートすることをおすすめします。

 せっかくだから退職金も使って大きな金額で始めたいと思うかもしれませんが、その後に暴落が起きて狼狽売り(株価が急落する様子を見て、保有している株式を慌てて売却してしまうこと)してしまったら、目も当てられませんからね。

 投資に慣れてきた段階で、少しずつ新NISAの投資額も増やしていけばいいので、慌てず余裕を持って始めていきましょう。

<TEXT/小林亮平>

【小林亮平】
1989年生まれ。横浜国立大学卒業後、三菱UFJ銀行に入行。同行退社後、ブログやSNSでNISAやiDeCoなど資産運用の入門知識を発信。現在はYouTube「BANK ACADEMY」の運営に注力しており、YouTubeのチャンネル登録者数は70万人を超える。「超初心者でも理解できるよう優しく伝える」をモットーに、自作のイラストを駆使した丁寧な解説が好評を得ている。著書に『これだけやれば大丈夫! お金の不安がなくなる資産形成1年生』(KADOKAWA)がある

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  • 儲かるって謳い文句で投資詐欺に今は弁護士迄も詐欺。 儲かる、安い、お得に漬け込んでよく騙されてるもんだ。 お金が余っていないと元金減りそうだ
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