窒素固定する細胞小器官発見=「ニトロプラスト」と命名―海の藻類から・米大と高知大

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2024年04月16日 21:01  時事通信社

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時事通信社

窒素を固定する細胞小器官「ニトロプラスト」(矢印)。海に生息する単細胞の藻類で発見された(米カリフォルニア大サンタクルーズ校提供)
 大気中の窒素を栄養源のアンモニアとして固定する細菌が、海に生息する単細胞の藻類に取り込まれ、細胞小器官に変わっていることを発見したと、米カリフォルニア大サンタクルーズ校や高知大などの研究チームが16日までに米科学誌サイエンスに発表した。この小器官は「ニトロプラスト」と名付けられた。

 動植物の細胞で酸素を使ってエネルギーとなるアデノシン三リン酸(ATP)を生み出すミトコンドリアや、植物の細胞で二酸化炭素を使って光合成を行う葉緑体は、大昔には単独の細菌だったと考えられている。これらが小器官に変わったのは数十億年前だが、ニトロプラストの場合は比較的新しく、約1億年前と推定される。

 ニトロプラストに変わった細菌「UCYN―A」は、光合成を行うシアノバクテリアと呼ばれる原核生物。これまでは単細胞で光合成を行う真核生物「ハプト藻」の一種に独立性を維持したまま共生していると考えられてきた。

 しかし、研究チームはUCYN―Aが光合成や代謝を担う重要な遺伝子を失い、必要なたんぱく質をハプト藻から受け取っていることを解明。さらに、ハプト藻が分裂増殖する際、UCYN―Aも一緒に分裂して次世代に受け継がれることを軟X線による3次元構造解析で明らかにした。

 農作物では、大豆などのマメ科植物は窒素を固定する根粒菌と共生しているが、大半の作物の生産に窒素肥料が使われる。ニトロプラストの発見により、実現可能性は未知数だが、農作物の細胞に組み込む研究開発が考えられるという。 

このニュースに関するつぶやき

  • 人間は今になってアンモニアを燃料や水素キャリアとして活用しようとしているね(^^;
    • イイネ!3
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