ウーバーイーツ配達員の戦い・広島死闘編【チャリンコ爆走配達日誌】

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2024年04月18日 07:50  週プレNEWS

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広島の地元の方がお好み焼き屋でウーバーイーツ配達を頼む商品は……

連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第45回

ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!

【画像】広島でウーバーイーツの配達をしてきました!

* * *

皆さんはゴールデンウイークの予定は決まりましたか? 今年は4月27日から29日の3連休と5月3日から6日の4連休に分かれているので、長期の予定は組みづらい感じですが、お出かけにはちょうどいい陽気なので国内旅行を楽しむ方も多いでしょう。私もこの連休か連休終わりぐらいに札幌か鹿児島へ出掛けて、現地でウーバーイーツの配達をしてみようと考えています。

なぜ、わざわざ旅先で配達をするのか。今回はそのキッカケとなった広島での配達について書こうと思います。

1月に名古屋で配達した際、丸2日自転車を漕いで2万6020円稼ぐことができました。この時は行きが新幹線で帰りは夜行バス、ビジネスホテルに1泊という行程だったので、交通費1万4000円、宿代6500円、レンタル自転車代3300円、食費6000円で出費が2万9800円。収支はマイナス3780円でした。

往復を格安の夜行バスに、ホテルも激安の宿に切り替え、レンタル自転車代が安い街で配達したら、うまいものを食べまくっても黒字になるのでは。そう考えて出掛けたのが広島。日程は現地で4泊5日(夜行バス2泊、現地2泊)。格安高速バス(片道12時間30分)利用で交通費は往復1万円。レンタル自転車は3日間で3300円。宿泊は2段ベッドの上段を利用する宿で2泊朝食付きで5400円。1万8700円+現地での食費を稼げばプラスになります。

1日1万円稼げば、毎晩牡蠣やお好み焼きを食べても十分プラスになる。そんな計算で東京駅の格安バスが発着する鍛冶橋駐車場から4列シートのバスに揺られて13時間。予定よりも30分遅れて朝10時に広島駅に到着。

まだホテルにはチェックインできないのでコインロッカーに荷物を預け、自転車を借りて配達員用のアプリをオンにすると、早速近くのローソンから配達依頼が。しかも支払い予定金額が720円。東京で自転車配達をしていると300円、良くて500円の配達といったところなので、配達先を確認せず受注。からあげクンなどを受け取って配達先を確認すると、広島駅の北側の方にある住宅が示されています。そして北の方角には、小高い山と山に沿って切り開かれた住宅地が。

レンタルしたのが電動アシストの自転車じゃなかったら初日で心をやってしまいそうな斜面を上り、配達を終えると今度は1000円を超える配達依頼。東京で自転車配達員にこの金額の依頼が出るのは大雨の日ぐらいしかないので、もちろん受注。急坂を下って広島駅近くの店へ行き、配達先を確認すると、先ほどの急な斜面のさらに先の場所でした。

このまま広島駅周辺で自転車配達を続けたら命を取られかねない。13時間の高速バス移動と急斜面の上り下りで身の危険を感じた私は、一度配達員用のアプリをオフにして町の中心部である紙屋町方面へ。中心部は平坦なところが多いので、短距離配達の依頼が多い自転車なら山登り案件が来ないはずです。

紙屋町に着いたのは13時過ぎ。お昼のピークタイムを過ぎていましたが、この日は日曜日ということもあり、続々配達の依頼が入ってきました。配達料も800円から1000円と東京の2倍ほど。都内より長距離の配達が多いものの、稼ぎも多かったのでやってくる依頼をすべて受けているうちに夜が更けて、気づいたら23時。夕食はおいしいものを食べようと計画していましたが、それどころではないほど疲れてしまい、コンビニでおにぎりを買って宿へ向かうと泥のように眠ってしまいました。

2日目も紙屋町付近でアプリを立ち上げたのですが、流されたのは北側にある大町というエリア。初日ほどではないものの、少し高いところにある住宅地とマクドナルドの間の往復で脚力を持って行かれた上、高台にある住宅の中にはエレベーターのない集合住宅もけっこうあり、午前中で足がやられて身も心もボロボロになって紙屋町へ。ここの松屋から市内の西側にある己斐というところまで牛丼を運んだ後、受けた注文の配達先に示された場所は、ここから遠くに見える山の山頂付近。

映画『仁義なき戦い』の第4作「頂上作戦」で、小林旭さん演じる武田明が「広島の喧嘩いうたら、とるかとられるかで」と言っていましたが、こちらも「広島の自転車ウーバー言うたら、足を取るか取られるかで」といった感じで山の上に切り開かれた住宅地まで届けました。

この山頂までの配達で心が折れたため、16時過ぎに配達を中断。この後、値段を気にせず牡蠣料理などうまいものを食べるとやる気が回復。結局日付が変わるぐらいまで配達を続けることができました。

最終日は17時30分にバス乗り場へ行かなければならないので、再び紙屋町へ向かい、依頼を吟味して配達することに。そのため1回平均500円ほどの近距離の配達ばかりでしたが、東京よりも効率よく稼げました。ただ、広島の中心部から2、3kmの範囲にあるマンションは4、5階建てでエレベーターのないところが多く、この日も足をやられ、15時過ぎ、ボロボロになって配達終了。おいしいお好み焼きと焼きそばを食べて、バスに乗って帰りました。

広島の配達で気づいたのは、お好み焼き店からの注文。ホテルに宿泊する方へ届ける料理はお好み焼きでしたが、地元の人へ運ぶのは焼きそばばかり。なんでだろうと思い、最終日にお好み焼きと焼きそばを食べ比べたところ、店で食べるお好み焼きはそばがパリッとしていました。そして焼きそばも野菜少なめでパリッとした仕上がりでした。

おそらく広島の方はパリッとしたそばの食感が好みで、キャベツなどの具材をプレスして仕上げるお好み焼きはウーバーで運ばれる間にキャベツの水分が出てしまいビシャッとなってしまうため、水分があまり出ない焼きそばを頼んでいるのでしょう。

余談ですが、もうひとつ気づいたのは、ライオンズマンションの前にあるライオンの像の多さ。都内ではたまにしか見かけないライオンの像ですが、広島の中心部のライオンズマンションはほとんどのところにライオンがいました。

3日間で稼いだ金額が、1日目1万8095円、2日目1万8126円、3日目6868円の計4万3089円(うちチップ283円)。食費が9000円。広島遠征のトータルは1万5389円のプラスとなりました。1日あたり5000円ほどの稼ぎだったので大きな収入ではありませんが、運動して現地でおいしいものをたくさん食べて1日5000円もらえるのであれば、旅先でウーバーを楽しむのはいい遊びだと思います。

文・撮影/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明

このニュースに関するつぶやき

  • 遠征して配達。   注文は多そうだが、土地勘がないと難しそう、スマホのナビがあればできるのかな��
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