農業体験に来たやんちゃな中学生→24年後に届いた手紙「ドラマのよう」果たした涙の再会

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2024年05月03日 16:10  まいどなニュース

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東さんが長谷川さんに送ったはがき

 少年補導に携わって40年近くになる京都府向日市の男性に3月、「今でも心に残っています」と朱色で記された1通のはがきが届いた。差出人は24年前、農業体験に来た「やんちゃな中学生」。体験班のリーダーを務めた少年は、近隣の中学で教員になっていた。男性が農業体験の思い出を投稿した冊子を偶然読み、感謝の気持ちを伝えたかったという。2人は再会を果たし、思い出を語り合った。

【写真】再会を果たした長谷川さんと東さん

 長谷川勇さん(74)=寺戸町=は2000年11月、兄の鉄太郎さん(故人)と中学生の農業体験に取り組んだ。地元の寺戸中が初めて授業で職業体験を導入した。スポーツが得意な元気のいい男子生徒6人を2日間、受け入れた。サツマイモの収穫やタケノコ畑の手入れなどを手伝ってもらい、昼食に新米とおかずをたっぷり振る舞った。保護者との会話につながるようにと野菜を持って帰らせた。

 教員たちは生徒を「やんちゃ」と心配し、体験中も見回りに来たが、長谷川さんには「素直なええ子ばかり」と映った。鉄太郎さんが「また来いよ」と声をかけると、全員が輝くような笑顔を見せた。その後、生徒の保護者数人から「うちの子が変わった」と礼を言われたという。

 長谷川さんの経験は今冬、京都府少年補導協会の機関誌に掲載された。校内の回覧で読んで「自分のことが書かれている」と驚いたのが、長岡第二中(長岡京市今里5丁目)の教員東悟史さん(37)。思い出がよみがえり、「親切にしていただいた体験は今でも宝物です」「教諭として働いております」などとしたため、同協会にはがきを送った。

 転送されたはがきを読み、長谷川さんは涙が止まらなかったという。「先生になっているとは」。早速電話をかけ、同中で24年ぶりに再会した。大切に残していた当時の写真を見せながら、2人で語り合った。

 生徒たちは介護士や鍼灸(しんきゅう)師、ボクシングジム経営など、それぞれ夢をかなえていた。東さんは「体験班には学校外でスポーツをしていた生徒が多く、大人びていて、先生の言葉を素直に聞かないところがあった。長谷川さんは、噂ではなく、自分たちを見て、その時に一番いいことをしようと思ってくれていた」と振り返った。長谷川さんは「これほどの財産はない。ドラマのよう」と感激した。

 東さんは国語科教諭として「心を伝える」大切さを生徒に説いており、「はがきを書いて良かった」と実感したという。当時から続けるサッカーでコーチのライセンス資格を取得し、サッカー部の顧問も務める。「農業体験を含めて中学時代が楽しく、高校生の頃から教員を志望した。当時を思い出すと、現在の生徒の成長を信頼できる」と話している。

(まいどなニュース/京都新聞)

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  • やんちゃな奴が先生になった?美談として語られてるけど、人の性根は終生変わらないと思ってる俺から見ればこういう先生は信用しない。
    • イイネ!8
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