ドナーミルクの提供拠点「日本橋 母乳バンク」がリニューアル 需要拡大を経て稼働力を3倍に強化

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2024年05月13日 15:11  ORICON NEWS

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「日本橋 母乳バンク」リニューアル式典に参加した水野克己氏 (C)ORICON NewS inc.
 日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーであるピジョンが13日、東京・日本橋で「日本橋 母乳バンク」のリニューアル式典を開催した。

【写真】蛯原友里も笑顔で式典に登場

 ピジョンは、専門的ケアが必要な赤ちゃんと家族を支援する「ちいさな産声サポートプロジェクト」を展開しており、「母乳バンク」は同プロジェクトの1つでもある。2020年に一般社団法人日本母乳バンク協会のゴールドスポンサーとなり、同社本社1階にて、当時日本で2拠点目となる「日本橋 母乳バンク」の設立の全面的なサポートを行った。

 「母乳バンク」は、早産や極低出生体重児にとって必要な母乳が自らの母から得られない場合に、寄付された母乳を低温殺菌処理し、安全なドナーミルクとして提供する施設。ドナーミルクを使用した乳幼児の人数は、2023年度に初めて1000人を超え、利用病院数も95施設に増加している。

 こうした需要拡大を受け、ドナーミルクの提供量と運営のさらなる安定化・効率化を目指し、施設面積を約2倍に拡大した。また、リニューアル後の施設には、昨年秋からのクラウドファンディングで支援を募って購入した最新式の低温殺菌処理器を導入し、1日あたりの稼働力がリニューアル前から約3倍に向上する。

 式典では、小池百合子東京都知事もビデオメッセージを寄せた。「子どもは私たちの未来を担う存在です。子どもの笑顔が輝く都市の実現、東京、そして日本の持続可能な未来を作り上げてまいります」と決意を新たにした上で、「チルドレンファースト社会に向けて、東京都は子ども、子育て、家庭をあらゆるステージで力強く支援しています」と語り、「今回のリニューアルを機に、『母乳バンク』への理解が一層進み、 赤ちゃんとそのご家族の安心で健やかな毎日につながっていくことを期待いたします」と伝えた。

 「日本母乳バンク協会」代表理事で「日本財団母乳バンク」理事長を務める水野克己氏は、約10年前から夫妻で取り組み始めた同プロジェクトを回顧。2017年に一般社団法人の日本母乳バンク協会を立ち上げ、全国展開をスタートさせたものの、19年10月に発生した令和元年東日本台風によって当時の施設が多大な被害を受けた。その際にピジョンから同社本社ビルでの展開を打診され、同所に「日本橋 母乳バンク」を設立。さらなる需要拡大を受け、今回のリニューアルを迎えることとなった。

 順風満帆ではなかった道程を振り返りながら、水野氏は「いろんな方々との出会い、ご縁をいただいて、その奇跡が1つ1つ積み重なった。今回のクラウドファンディングでも、3000人近くの方から『小さな赤ちゃんのために何かをしたい』という思いでご寄付をいただき、2400万円以上のご支援をいただきました」と感謝した。

 続けて「中には、ご高齢の方から『日本の赤ちゃんたちのために、こういう活動がもっと広がっていってほしい』というメッセージをいただいたこともあり、 金銭面での支援も非常にありがたかったんですが、このように1人1人からいただくメッセージ、コメントが活動を続けていく力になっていきました」としみじみ。

 さらに活動を広めていくためのリニューアルを迎え、「こんなにありがたいことはないと思っております」と改めて感謝しつつ、「私たち『母乳バンク』は完全に黒子で、主役はお母さん、母乳を提供してくださるお母さん、そしてそれを実際に必要とする赤ちゃんです。赤ちゃんに安全なドナーミルクを提供することが一番大事なところでありますので、このような式典で私たちが目立つことは本当は好ましくはない」と語る。

 しかし、「こうした機会を通じて、多くの方に母乳バンクの存在や安全性を伝えることが必要」だと言い、自ら学術的なエビデンスなどを提示しながら解説し、「『ほかのお母さんの母乳をあげるのはちょっと抵抗が…』という気持ちは多くの方が持たれていると思いますが、活動の仕組みやドナーミルクについてしっかりと知っていただくことで、もしご自分のお子さんにドナーミルクが必要になったとしても、安心してご利用いただけるのではないかと思います」と期待を寄せた。

 式典には、ゲストとしてモデルの蛯原友里も参加し、リニューアルを祝福。「私も、そしてみなさんも、1人でも多くの赤ちゃんとご家族に笑顔を届けるために、一緒にこれからも母乳バンクの取り組みを応援していっていただけたらと思います」と呼びかけ、「私も1人の母として、これからも育児を取り巻く環境がより良いものに、そして優しいものになっていくことを心から願っています」と思いを伝えた。
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