佐藤琢磨、15度目のインディ500挑戦は14位「走れなかった時間を取り返すことができませんでした」

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2024年05月27日 16:10  AUTOSPORT web

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14位で2024年のインディ500を終えた佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)
 5月26日(日)の12時45分に予定されていた第108回インディアナポリス500マイルレースのスタートは、雨の影響により4時間のディレイとなり、30万人を超えると言われる観客とTV中継を心待ちにしていたファンをヤキモキさせた。すでに先週のうちから荒天の予報はあったのだが、前日にはより具体的になって予報されることになった。そしてその予報どおり昼前に雷雨となり、観客は一時避難せざるをえなくなった。

 雨が止み2時間弱の間に路面を乾かして16時40分のスタートを目指して、スタート進行となったが、佐藤琢磨がドライブするレイホール・レターマン・ラニガン(RLL)の75号車は、ギリギリでグリッドに並ぶことになった。ガレージからグリッドに運ばれる直前に燃料漏れが発覚し、その修理に時間を要したためだ。

 琢磨にとって15回目となったインディ500決勝レースのスタートは10番手から12番手にポジションを落として始まった。「なるべく早くポジションアップがしたい」と言っていた琢磨だが、オープニングラップからイエローコーションとなって、まずは仕切り直しだ。

 二度目のイエローコーション明けでふたつポジションをアップした琢磨は一時10番手に順位を戻したが、再度コルトン・ハータ(アンドレッティ・グローバル・W/カーブ・アガジャニアン)に抜き返されてしまう。なかなかポジションが挽回できないなかで、ホンダ勢はマーカス・アームストロング(チップ・ガナッシ・レーシング)、キャサリン・レッグ(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)、フェリックス・ローゼンクヴィスト(メイヤー・シャンク・レーシング)らが、次々にエンジンから煙を吐いた。次にトラブルが起きるのは琢磨ではないかと不安もよぎる。

 ピットボックスは、三度目のイエローコーションでピットに入る戦略を立てた。23周目に琢磨を呼び、最初のピット作業を行う。戦列に復帰した際は14番手となっていた。ピット作業に大きな問題はなかったが、コース上でマシンを抜き去るような場面は序盤では少ない。

 中団を走る琢磨だが、やはりペースが上がらずトップ争いに加わるのは難しいようだ。さらに111周目にはリスタートの隊列で、はみ出したと判定された琢磨はペナルティを受け、隊列の最後に回されて事実上の最後尾に。

 厳しい24番手からのリスタートとなったが、129周目にベストラップを出すまで必死にオーバーテイクを試みていた。ピットインのシークエンスが代わり、133周目から一時5番手を走るも141周目のピットインで、16番手となる。

 トップ集団でレースを優位に進めているのはペンスキー、AJフォイト、アロウ・マクラーレンなどのシボレー勢。とくにAJフォイトの若手ドライバー、スティングレイ・ロブはピットシークエンスが違うものの何周もラップリードを重ね、ペンスキー勢を引っ張るほどだった。残念だが今日の琢磨にこのスピードはなかった。

■雨に阻まれた決勝に向けたクルマづくり

 琢磨陣営は最後のピットインを少し早めに行い、アンダーカットに賭けた。170周目にピットに入り、一時13番手となるのだが、早くピットに入ったがためにタイヤのグリップが失われてくると、194周目にRLLのチームメイトであるクリスチャン・ルンガーにかわされ14番手となった。順位はそのまま変わることなく琢磨の今年のインディ500チャレンジは、ここで終わった。

 レース後、琢磨はプラクティス、予選、カーブデイに決勝と2週間にわたった一大イベントを次のように振り返った。

「朝の雷雨のおかげで4時間も遅れるスタートでした。プラクティスで予選に向けて作ってきたクルマなので、トラフィックの中で走ってこられなかったのが辛いところでした。クルマとしては合わせ込むことができたと思っていたのですが、雨で走れなかった時間を取り返すことはできませんでしたね」

「レースはそれほど悪くなかったですが、リスタートの隊列を乱したということで、ペナルティを課せられました。ほぼ最後尾から追い上げてきたのですが、最後のスティントでは気温が下がってしまい、クルマ的にはかなりドラッグを多く感じました」

「最終的には14位という順位ですが、このチームに来て予選のスピードを上げるという使命は果たせたと思いますし、4台目として戦ってくれたこのチームを誇りに思いますし、本当に感謝しています」という琢磨。

 予選で琢磨の評価は大きく上がっていたが、それを上回る走りをレースで見せられなかったことは残念だったに違いない。それでも、スポット参戦の難しさはあれど、琢磨のスピードが健在だったことはアメリカの誰もが認めたことだろう。

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