7906頭の頂点に立ったダノンデサイル 血統から"史上最も極端な後傾ラップ"で力発揮した背景を解説

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2024年05月27日 20:00  netkeiba

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日本ダービーを制したダノンデサイル(撮影:下野雄規)
【栗山求(血統評論家)=コラム『今日から使える簡単血統塾』】

◆血統で振り返る日本ダービー

【Pick Up】ダノンデサイル:1着

 ラスト5ハロン「56秒8」は日本ダービー史上最速。最初の5ハロンが「62秒2」という超スローペースだったので、その差5秒4という極端な後傾ラップとなりました。勝ったダノンデサイルは、日本ダービー史上例を見ない特殊な流れのなかで、逃げ馬の直後で距離ロスなく脚を溜めれたのが最大の勝因でしょう。

 父エピファネイアは、前週のオークスで1番人気ステレンボッシュが2着と敗れていましたが、1週間遅れでビッグタイトルを手にしました。自身は2013年の日本ダービー2着馬で、このときの1着馬はキズナ。今回、キズナ産駒のジャスティンミラノをくだして産駒が日本ダービー初制覇を果たしました。

 母の父コングラッツはエーピーインディ系。現3歳のダート最強馬フォーエバーヤングの母の父でもあります。現3歳7906頭のなかで「母の父コングラッツ」はわずか11頭しかいないにもかかわらず、芝とダート双方の超大物を出したのは特筆すべきことです。

 母トップデサイルはアメリカ産馬。現役時代に米G1・BCジュベナイルフィリーズで2着となりました。社台ファームが輸入し、ここまで3頭の仔がデビューを果たしていますが、ダノンデサイルを含めてすべて2勝以上を挙げています。競走馬としても繁殖牝馬としても優秀です。

 エーピーインディ系はスピードの持続力に強みがあります。ラスト5ハロン「57秒0」という史上2番目のタイムだった2021年の優勝馬シャフリヤールも、ダノンデサイルと同じく母の父がエーピーインディ系(エッセンスオブドバイ)でした。レース終盤に速いラップが5ハロン続く特殊な流れに、エーピーインディ系の血がうまくフィットした可能性はあると思います。

◆血統で振り返る葵S

【Pick Up】ピューロマジック:1着

 父アジアエクスプレスは現役時代、朝日杯FSとレパードSを勝ちました。芝・ダートどちらでも走れるタイプでしたが、産駒の傾向を見ると圧倒的にダート向き。通算111勝のうちダートが98勝で、芝ではわずか13勝しか挙げていません。JRAの重賞初制覇が芝というのは意外でした。

 芝をこなしたのは母方の血の影響です。母メジェルダはディープインパクトの娘で、現役時代にファンタジーSで2着と健闘しました。ピューロマジックの全兄メディーヴァルは芝1000mのオープン韋駄天Sの勝ち馬で、マジェスティックウォリアーを父に持つ半兄バグラダスはGI朝日杯FSで5着と健闘しています。ダート向きの種牡馬と交配しても芝向きの産駒を出すところが母メジェルダの非凡なところです。

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