インタビューに答える東京財団政策研究所の森信茂樹研究主幹=20日、東京都港区 ―定額減税は消費につながるか。
今回は1回限りで恒久的減税ではないが、経済にはプラスになる。(一定程度)消費に使われることは間違いないが、どれくらい回るかは分からない。お金をもらっても医療や介護など将来不安があると使わない。その分効果は減殺される。
―政府は給付でなく減税にこだわった。
誰が考えても給付だけの方が簡単だ。減税にこだわったのは岸田文雄首相が「増税メガネ」と呼ばれ過剰反応をしたからだ。一方で、防衛増税や、子ども・子育て「支援金」といった負担増の話もある。国民からすれば(負担増か減か)どっちを見てやっているのだろうという感じはする。
―今後の課題は。
住民税非課税の基準だけでは、住民税を払っているが生活が苦しい人たちは取り残されてしまうため、以前から給付と減税が一体化した「給付付き税額控除」の仕組みを導入すべきだと主張してきた。今回、デジタル庁が納税額が少なく全額減税しきれない世帯への給付額を算定するツールを作った。今後はツールをいろいろな給付に対応できるインフラにつなげるべきだ。
―定額減税は1回限りで終わるか。
終わると思う。2025年度のプライマリーバランス(基礎的財政収支)の黒字化が見えてきており、再び減税すれば実現が遠のく。目標を達成して次のステップに進むべきだ。春闘による賃上げもあり景気が腰折れすることはないだろう。