遠藤航、久保建英、南野拓実...今季欧州サッカーで奮闘した日本人選手ベスト11を識者が選出

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2024年05月31日 07:30  webスポルティーバ

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サッカーの中心地・欧州でプレーする日本人選手が年々増えているなかで、識者3人に今季の欧州日本人選手のベストイレブンを選出してもらった。各ポジションで活躍したのは誰だったか。

前編「識者が選んだ欧州サッカー今季のベストイレブン」>>

【欧州のあらゆるリーグで日本人選手が活躍】

中山 淳(サッカージャーナリスト)

FW/小川航基(NEC)、久保建英(レアル・ソシエダ)、堂安律(フライブルク) 
MF/南野拓実(モナコ)、遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、伊東純也(スタッド・ランス) 
DF/伊藤洋輝(シュツットガルト)、板倉滉(ボルシアMG)、菅原由勢(AZ) 
GK/鈴木彩艶(シント=トロイデン)

 近年、日本人選手はヨーロッパのあらゆるリーグでプレーしているが、そのなかで今シーズンのベスト11を選出してみると、当然ながら日本代表選手が顔を揃えた。なお、布陣に選手を当てはめるのではなく、あくまでも選手の活躍を基準に配置したので、ここでは3−4−2−1を採用した。

 まず、前線の選手で最もゴール数を稼いだ、オランダのNECの小川は問答無用の選出。チームは惜しくもヨーロッパカップ出場権を逃したが、小川は加入初年度ながらリーグ戦で11ゴール、国内カップ戦でも4ゴールを記録。ヨーロッパ初挑戦で申し分のない成績を収めた。

 2シャドーに配置したのは、チームの主軸としてチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ突破にも貢献した久保と、シーズンを通して重要戦力としてハイパフォーマンスを維持した堂安のふたりだ。

 久保はシーズン終盤に疲労が見えたが、裏を返せば、開幕からフル稼働させなければならないほどの戦力だったということ。ヨーロッパリーグ(EL)にも出場した堂安も複数ポジションで躍動し、ブンデスリーガで7ゴール、ELでも2ゴールを記録し、チームの中心となった。

 両ワイドは、右に伊東、左に南野と、リーグ・アンから選出した。

 伊東は昨シーズンに続いて質の高いプレーを披露。ゴール数は昨シーズンより下回ったが、逆にアシストは昨シーズン以上の7を記録するなど、チャンスメイクの回数もリーグ屈指だった。一方の南野は昨シーズンの大不振からリベンジを果たし、9ゴール6アシストの活躍ぶり。チームのCL出場権獲得の立役者となった。

 ボランチは守田と遠藤。結果的に日本代表のコンビそのままとなったが、守田はスポルティング加入2年目でリーグ優勝に貢献。個人としても、チームの主力ボランチとして活躍した。遠藤はビッグクラブのボランチに定着し、リーグカップ優勝も経験。個人としての能力をさらに磨き、今シーズンのヨーロッパ日本人MVP級のパフォーマンスを披露した。

 最終ラインに選出したのは、伊藤、板倉、菅原の3人。菅原はAZで不動の右サイドバック(SB)としてシーズンを通して躍動したが、ここでは3バックの右に配置した。伊藤は今シーズンのブンデスリーガで台風の目となったシュツットガルトで左SB、センターバック(CB)、3バックの左など複数ポジションで活躍。

 板倉は、負傷とアジアカップで一時的に欠場した期間があったが、加入2年目のボルシアMGで不動のCBとして君臨。安定感も抜群で、今夏も移籍マーケットの人気銘柄だ。GKには、日本人で唯一、シーズンを通して正GKの座を守った鈴木彩艶を選出した。

 ほかにも、リーグやカテゴリーの枠を外せば、今シーズンもヨーロッパで活躍した日本人選手は多数いた。果たして来シーズンは誰がブレイクしてくれるのか、要注目だ。

【遠藤航は抜きん出た存在感】

篠 幸彦(スポーツライター)

FW/南野拓実(モナコ)、古橋亨梧(セルティック) 
MF/斉藤光毅(スパルタ)、守田英正(スポルティング)、遠藤航(リバプール)、久保建英(レアル・ソシエダ) 
DF/冨安健洋(アーセナル)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、町田浩樹(サン=ジロワーズ)、菅原由勢(AZ) 
GK/鈴木彩艶(シント=トロイデン)

 FWは、今季リーグ・アン2位と大いに躍進したモナコで公式戦31試合に出場し、9得点6アシストという活躍を披露した南野拓実。今季から指揮をとるザルツブルク時代の恩師アドルフ・ヒュッター監督によって、本来のプレーを取り戻した。

 もうひとりは、14得点でセルティックの優勝に貢献した古橋を挙げた。デンマークのブレンビーで11得点10アシストとブレイクした鈴木唯人、オランダで11得点の小川航基(NEC)も候補に入った。

 MFのボランチは、ポルトガルリーグを制したスポルティングの主軸である守田英正、リバプール1年目から見事にフィットし、アンカーポジションを確固たるものにしてチームを支えた遠藤航は、抜きん出た存在感があった。

 右サイドはすばらしいシーズンを送った堂安律(フライブルク)、伊東純也(スタッド・ランス)も候補に挙がるが、今季ラ・リーガ年間最優秀選手候補にノミネートされた久保が妥当だろう。左サイドは三笘薫(ブライトン)がケガの影響によって昨季と比べて振るわないシーズンとなった。そのなか、オランダで定位置を掴んで3得点5アシストとインパクトを残した、斉藤を挙げたい。

 DFでは、伊藤洋輝をCBに。ブンデスリーガでバイエルンを抑えて2位とサプライズを起こしたシュツットガルトで、CBや左SBの主力として存在感を示し、飛躍のシーズンとなった。もうひとりは、自身の決勝ゴールでサン=ジロワーズに110年ぶりのベルギーカップタイトルをもたらした町田浩樹を選んだ。

 SBには、今季もケガに苦しんだもののプレミアリーグの覇権争いを演じたアーセナルで左SBのポジションを掴んだ冨安健洋、今やエールディビジ最高の右SBのひとりとなった菅原由勢以外にいない。

 GKには、一時はケガでポジションを失ったものの、1月に再び正GKの座を取り戻した中村航輔(ポルティモネンセ)も候補に値するが、シント=トロイデンでシーズン通してポジションを守った鈴木彩艶を挙げた。

【現在の日本はウイングが強いのが特徴】

西部謙司(サッカーライター)

FW/南野拓実(モナコ)、久保建英(レアル・ソシエダ) 
MF/三笘薫(ブライトン)、守田英正(スポルティング)、遠藤航(リバプール)、伊東純也(スタッド・ランス) 
DF/冨安健洋(アーセナル)、伊藤洋輝(シュツットガルト)、板倉滉(ボルシアMG)、菅原由勢(AZ) 
GK/小久保玲央ブライアン(ベンフィカ)

 ほぼ日本代表の11人。唯一、小久保はA代表経験がないが、U-23アジアカップの活躍で選出した。代表歴という点では鈴木彩艶(シント=トロイデン)がいるが、アジアカップ前半のプレーがあまりいい印象ではなかった。

 ただ、このふたりの身体能力やサイズは、ワールドカップを勝ち抜くには不可欠になるだろう。日本が守勢に追い込まれるケースが想定される以上、上位進出にはGKのスーパーな活躍が必要になる。足元も確かで、経験を積んでさらなる成長に期待したい。

 菅原、板倉、伊藤、冨安のDFラインは、日本代表そのまま。ただ、冨安と伊藤の位置が入れ替わっているのは、所属クラブでのポジションを優先したためだ。代表では冨安がCB、伊藤が左SBなのだろうが、アーセナルでの冨安はCBではプレーしていない。

 負傷欠場が多い冨安だが、左右のSBをそつなくこなし、「偽SB」としてもある程度機能するマルチな才能を示している。相手のエースと渡り合える能力も抜群。課題は負傷だけだ。

 先にFWに言及すると、右の伊東は確定。金子拓郎(ディナモ・ザグレブ)の活躍と技術も魅力だが、今季はほとんどプレーを見ることができず、選出できなかった。左の三笘は負傷でシーズン後半を棒に振ったが、プレミアリーグのベストゴールに選出された得点など、前半戦の活躍は印象的だった。

 問題はセンターフォワード(CF)。上田綺世(フェイエノールト)はあまり活躍できず、古橋享梧(セルティック)も昨季よりインパクトは薄い。一方、残り2枠に久保、南野を入れないわけにはいかないので、ゼロトップ、または南野の「偽9番」とした。

 南野はレキップ紙の年間ベストイレブンでは左MFに選出されているが、CFもこなせるだろう。久保も本来は右ウイングがベストポジションなのだが、伊東がいるので代表同様にインサイドハーフとした。

 日本代表の編成としては、ウイングが強いのが特徴なので、ゼロトップではなくCFを置いたほうがしっくりくると思う。ただ、南野、久保、伊東、三笘、遠藤、守田を共存させるには、純粋なCFは外さざるをえなかった。日本代表ではなく、ベストイレブンという趣旨なので、ベストな11人を優先した次第だ。

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