32歳で農家の嫁に。絶望したけど「田舎は驚くほど快適だった」/義実家・家族人気記事BEST

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2024年05月31日 09:20  女子SPA!

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 女子SPA!で大きな反響を呼んだ記事を、ジャンルごとに紹介します。こちらは、「義実家・家族」ジャンルの人気記事です。(初公開日は2018年5月12日 記事は取材時の状況)

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 結婚後に待ち受ける義理の両親との同居や、嫁姑問題……。

「あまり深く考えずに、代々続く農家の長男と結婚してしまった」と語る秋谷静香さん(仮名・32歳)は、東京生まれ東京育ち。田舎とは縁もゆかりもない、都会暮らしを送ってきました。

「2歳年上の彼とは職場で知り合ったんですが、結婚を機に彼が東北の地元に転職することになり、そのまま私も付いていったんです。結婚前の挨拶で一度は行ったことがあったんですが、『緑がいっぱいでいいところだな〜』と、当時は旅行気分だったので気軽なノリで行ってしまって……」

◆慣れない田舎に、最初はふさぎ込んだ

 しかし、改めて自分が住むとなると状況は一変します。集落の隣りの民家までは数百メートル離れていて、夜は街頭もほとんどなく真っ暗闇状態。最寄のコンビニまでは徒歩で小一時間かかり、田んぼのカエルの大合唱がうるさく、寝つけないほどだったといいます。

「なんか軟禁されているような感覚ですよね(笑)。最寄駅までも車で30分以上かかるし、電車も一時間に1〜2本あればいい方。しかも車両がめちゃくちゃ短くてプラモデルみたい。土地が余ってるからか、家の敷地は学校のグラウンドより広いんですが、土間や囲炉裏が現役でまだある古民家で、タイムスリップしたみたいでした」

 生活環境が一変し、とてつもないホームシックに陥ったという静香さん。家族は小姑一家や曾祖母なども入れて総勢12名。食事や家事だけでも相当な労働作業です。

「それに、ネットの匿名掲示板なんかで調べても、『農家に嫁いだら奴隷扱い』『とにかく働かされてコキ使われる』『嫁いびりが半端ない』なんてコワい話ばかり出てくるんですよ……。もう私の人生どうなっちゃうんだろうと、最初はずっとふさぎ込んでいました」

◆田舎暮らしって最高!2カ月経って訪れた変化

 農家の朝はとにかく早く、朝5時半にはニワトリの声でたたき起こされる毎日。そんな生活が2カ月ほど経った頃、彼女の体にある変化が起きはじめます。

「それまで夜遅くまで残業し、早朝出社という不規則な生活だったんですが、田舎に来て強制的に早寝早起きになったら体調が抜群に良くなったんです。

 朝食を用意して畑に持って行って、収穫を手伝って、朝日とともに朝食を食べる。朝の爽やかな気分の中、自給自足の無農薬の野菜を食べるとか、めっちゃロハス(笑)。

 それに結婚当初、義理の両親から『畑仕事はそのうちちょっとずつ覚えてくれたら嬉しい』と言われていたのですが、『そのうちと言わず、教えてください!』と言ったらすごく可愛がってもらえるようになったんですよ。もう、『リアル“ザ!鉄腕!DASH!!”じゃん!』と一人でテンションが上がってました」

◆大家族の家事も…「こんなにラクしていいの!?」

 さらに「古臭い田舎暮らしは何かと不便」と思われがちですが、結婚をきっかけに実家の住まいも大幅リフォーム。外見は古民家でも、オール電化&最新家電でかなり快適な空間になったとか。

「義理の両親がすごくいい人で、嫁いびりどころか、『いまどきこんな田舎に嫁いでくれる嫁なんて貴重=とにかく大事にしなくちゃ!』という考えで。大家族でも、食洗機を3つも買ってくれたので、食器を一気に突っこむだけで家事がめちゃくちゃ楽。

 事情を知らない友達は、『農家の嫁なんて可哀想』『薪とか割らされてるんでしょ……?』と勝手に上から目線で同情してくる子も多いんですが、適当に電話であわせながら『掃除機はルンバで、ほとんど自動でやってくれてるよ……』と思いながら、手作りの木苺ジャムを入れた紅茶を優雅に飲んでます(笑)」

 カフェとかランチをする場所も、「なかったら作っちゃえばいいじゃん」ということで、地域の30代〜60代までのママ友で、自分たちが料理しながらおしゃべりできる“カフェ”を作ってしまった静香さん。

 たとえ同じ状況でも、そのときの考え方・捉え方次第でポジティブにもネガティブにも一転します。できないことを嘆くのではなく、“何ができるか”を考えてみる。そんな発想が、成功への転機に繋がるのかも知れません……!

―シリーズ「人生の転機、上がったり下がったり」vol.12―

<TEXT/赤山ひかる イラスト/ただりえこ>

【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。

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