その国にあまり詳しくなくとも、誰もが知っている偉人や著名人の出身地と知ると、急に身近に感じられるもの。
以前、Sirabee編集部が「インド人の名前」に関する意識調査を実施したところ、驚愕の事実が明らかになったのだ。
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■大学生格ゲーマーの唱えた大胆な仮説
時は遡り2012年、当時大学生であった記者が家と大学、アルバイト先とゲームセンターを行き来していた頃である。
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格闘ゲーム『ストリートファイターIV』(以下、スト4)シリーズに熱中していた記者の頭に、ふと「日本人の認識しているインド人の名前は、ガンディーとダルシムの2つに大別されるのではないか」という仮説が生まれたのだ。
当時は大学生の戯言としてSNSのネタにする程度であったが、月日は流れ2023年。同年6月にリリースされた『ストリートファイター6』(以下、スト6)の大ヒットを見て、考えが確信に変わる。
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■そもそもダルシムって誰だ?
「インド独立の父」として知られるマハトマ・ガンディーは、国際的に有名な偉人中の偉人。ここ日本でも「非暴力、非服従」「助走つけて殴るレベル」などのフレーズとセットで「存在が常識」と言って良いレベルである。
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一方のダルシムは、『ストリートファイター』シリーズに登場するインド代表のファイター。ヨガの真髄(?)による自由に伸び縮みする手足と、口から繰り出す炎を武器に戦うスタイルは、多くの日本人に「インド人」という存在を根本から誤解させた。
格ゲーの歴史的名作『ストリートファイターII』の時点で彼の戦闘スタイルは完成されており、その後に様々な格ゲーに登場した「手足が伸びる」「火を吹く」「遠距離戦を得意とする」などの特徴を持つキャラクターたちの始祖的存在として認識されている。
そこで今回は、この2名に現在のインド首相「モディ」(ナレンドラ・モディ)を加え、全国の10〜60代のネットユーザー800名に「インド人の名前」と聞いて連想する名前を選択してもらうことに。
果たして、その結果は…。
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■ダルシム、あまりに強すぎる…
調査の結果、最も多かったのは「ガンディー」の68.5ポイント。やはり独立の父の知名度は圧倒的である。そして「モディ」は「ガンディー」の1割ほどとなる6.4ポイント。
そして我らがダルシムはと言うと…なんと、現首相・モディを上回る9.4ポイントを獲得していたのだ。つまり、この3名はガンディー、ダルシム、モディの順に知名度が高いというワケである。
なお、性年代別の回答を見ると男性(特に30〜40代)のダルシム支持率が高く、女性との差が非常に大きくなっていた。
続いては、『スト4』の強豪ダルシム使いとして名を馳せる猛者・だるいさんに今回の調査結果を見てもらい、ダルシム使いとしての率直な意見を聞くことに。
すると、だるいさんからは「インド人の名前と聞いて真っ先に連想するのは、ガンディーですね。イギリスから独立する際の中心人物と認識しています。愛に溢れた方だったんじゃないかなぁと。僕も暴力は苦手です」と、二重で耳を疑うコメントが。
強豪ダルシム使いが「ダルシム」を真っ先に連想しなかったのも意外だが、遠距離から的確な立ち強P(通称、ズームパンチ)を振り、対戦相手を笑顔でボコボコにする人物の発言とは思えない。
だるいさんはアンケートの結果を受け、「ダルシムの知名度が高くてびっくりです!」と驚きつつ、「対戦相手をどう動かして捌くかが面白いキャラです」と、ダルシムの魅力について語る。
続けて「そんなダルシムにも、ひとつだけ残念なところがあって…ダルシムを使い続けても手足が伸びないし、火を吹けるようになりませんでした」と、声を震わせてコメントしてくれたのだ。そのトーンは、完全にダルシム末期患者のそれである。
なお、ダルシムの魅力に開眼した理由は「『スト4』ダルシムが手足を伸ばした後、戻り方のインパクトが強かったから」とのことで、だるいさんは「伸びた手足の戻り方フェチ」であると判明したのだった。
『スト4』シリーズではダルシムを15年以上触り続け、トータル対戦数はおよそ70,000試合にも及ぶというだるいさん。
もちろん、そんな歴戦の猛者も初めからダルシムを使いこなしていたワケでなく、「最初は本当に弱くて、負け続けてた思い出があります」と、過去の自分を振り返る。
そして「時代の波に乗り遅れていますが、そろそろ『スト6』を始めようと思っています。もちろんダルシムで頑張ります!」と、ダルシム愛を宣言してくれた。その目には、まるで「ヨガファイア」のような、熱い炎が点っていたのだ。
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■プロデューサー、完全にノリノリである
ダルシム使いの熱いコメントが得られたが、『ストリートファイター』シリーズを展開する「株式会社カプコン」は、今回の調査結果をどう感じるのかも気になるところ。
そこで続いては、「ふざけたアンケートしやがって」と怒られるのを覚悟でカプコンに取材を打診したところ、まさかの大ウケ。『スト6』プロデューサー・松本脩平氏その人が、ノリノリで取材に対応してくれたのだ。
ダルシムが知名度2位の座に輝いた件について、松本氏は「こんなにも『ダルシム』の名前が出てくるのは光栄ですね! しかも、現首相よりも連想して頂けているのもスゴいですね」と、感動した様子を見せる。
続けて「…でも、僕もこのアンケートの質問をされたら『ガンディー』か『ダルシム』の2択になりますね(笑)」と、コメントしてくれたのだ。
残念ながら、今回はガンディーに敗れてしまったダルシム。しかし『スト6』の人気ぶりを見ると、両者の知名度が逆転する日は近いかもしれない…?
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■執筆者プロフィール
秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク。
新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。
X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテ、ハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。
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(取材・文/Sirabee 編集部・秋山 はじめ 取材協力/カプコン)