井上浩樹も井上尚弥・拓真と一緒に深夜のコンビニでカップラーメン 東京ドーム大会の裏側を明かす

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2024年06月05日 10:40  webスポルティーバ

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井上浩樹選手インタビュー
 
 5月6日の東京ドーム、メインイベントで井上尚弥がルイス・ネリを圧倒した大会で、WBA世界バンタム級王者・井上拓真が石田匠選手を判定で下し、2度目の防衛に成功。さらに、世界初挑戦した武居由樹は、WBO世界バンタム級王者・ジェーソン・モロニーを判定で下して新王者となるなど、大橋ジムの面々が結果を残した。

"モンスター"に負けない激戦を繰り広げたふたりの戦いぶりと、注目のバンタム級戦線について、元WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王者で、井上尚弥のいとこ・浩樹に聞いた。

【武居がペースダウンしないために必要なこと】

――セミファイナルの試合では、武居由樹選手がWBOバンタム級の新王者となりました。

「その試合は尚弥さんと控え室にいたので、詳しくは見ていないのですが、武居が要所要所でうまくパンチを当てているのと圧力をかけている様子は見えました。ポイントは取れていると感じましたが、最終ラウンドはペースダウンしてしまいましたね。それでも最後まで耐えきったので、判定で勝てるだろうと話していました。実際、12ラウンド以外は危うい場面もなかったと思います」

――最終ラウンドのピンチになった場面はどう見ましたか?

「まだペース配分がうまくできない部分もあるのかもしれません。もともとはキックボクシングで、3ラウンドなど短いラウンドで戦ってきた選手ですから、12ラウンドという長丁場には慣れていないんでしょう。彼は1発1発を全力で打つタイプだと思うんですけど、全力のパンチだけじゃなくて、"見せる"フェイントを混ぜたり、どこかで休むラウンドを作れるようになると、12ラウンドにペースダウンすることもなくなるでしょう。

それに慣れる前に、世界王者になったのがすごいですね。これから、どんどん強くなると思います」

――大会後に大橋会長が、尚弥選手と武居選手がスパーをした話をしていました。「武居がコテンパンにやられた」とのことでしたが、浩樹選手もそれを見ましたか?

「見てはいなかったんですが、スパーというか、マスボクシングだったと聞いています。過去に、ふたりがマスをしているのは何回か見ましたね。もちろん尚弥さんの強さが際立っていたんですが、時折、武居の勢いのある踏み込みなど、すごくいい部分も出ていました」

――武居選手は、スタンスをかなりワイドに取る印象があります。どういった効果、意図があるんでしょうか?

「キックボクシング時代のほうが狭かったですね。ボクシングに転向してから広くなったのですが、重心を低くしてパンチに体重を乗せたり、足を大きく使って回ったりとか、そういう狙いがあるんじゃないかと思います」

【拓真は1ラウンドにダウンも「このままいけば大丈夫」】

――続いて、2度目の防衛に成功した拓真選手の試合についても印象を聞かせてください。

「この試合は会場のリングサイドで見ていました。尚弥さんにもお願いされて、『ちょっとアドバイスをあげてほしい。しっかり声出し頼むね』みたいな感じで託されたんです」

――それは、いつ頼まれたんですか?

「試合の前日くらいでしたかね。しっかり拓真のペースになるような、気持ちよくボクシングできるような声を掛けてくれたら、という感じでした。たとえば、相手のパンチを避けた時に『もらってないよ!』『よく避けられてるよ!』といったように。相手が嫌がる言葉ではなく、あくまで拓真が乗っていけるような声かけですね」

――ただ初回に、拓真選手は石田選手のジャブがカウンター気味に入ってダウンを奪われました。

「でも、1ラウンドにもらったのはそのジャブくらいでした。そのあとの2、3ラウンドはポイントを取ったと思ったので、ダウンでついたポイント差もイーブンになり、このままいけば大丈夫だと思っていました。パンチをしっかり外して、右アッパーを当てて、ジャブの差し合いでもしっかり勝てていたので、そのあとに怖さを感じることはなかったですね」

――前戦では、ヘルウィン・アンカハスを右ボディーでKOしました。今回もKOで......という意識はありそうでしたか?

「前回はインパクトがあるKO勝利でしたから、今回も『倒そう』という意識はあったとは思います。でも、石田選手はそう思っても簡単に倒せる相手ではありませんからね」

――試合後、拓真選手とどんな会話をしましたか?

「『(石田の)ジャブがけっこう重かった』といった話はしましたけど、その日の話題は、すべて尚弥さんに持っていかれましたね(笑)。それほどインパクトが強すぎましたよ」

――バンタム級の4本のベルトは、日本人選手がひとつずつ持っている状態になりました(WBA:井上拓真、WBC:中谷潤人、WBO:武居由樹、IBF:西田凌佑)。

「今後どうなるか、僕もすごく楽しみでです。トーナメントみたいなものをやるとしても、武居と拓真は同じジムですからね。それぞれがどう動くのか......注目です」

――ところで、ここしばらく禁止していたという尚弥選手、拓真選手と一緒に試合後に食べるカップラーメンを、東京ドーム大会後に解禁したそうですね?

「そうですね(笑)。今回はふたりとカップラーメンを食べました。急遽3人で、コンビニに集まって(笑)。夜中の駐車場で食べましたよ」

――すごい光景ですね、周りの人は驚きませんでしたか?

「全然人がいない時間だったので、誰にも気づかれませんでした。懐かしさも感じつつ、ふたりの勝利を祝いながらの一杯は最高の味でしたね」

【プロフィール】
■井上浩樹(いのうえ・こうき)

1992年5月11日生まれ、神奈川県座間市出身。身長178cm。いとこの井上尚弥・拓真と共に、2人の父である真吾さんの指導で小3からボクシングを始める。アマチュア戦績は130戦112勝(60KO)18敗で通算5冠。2015年12月に大橋ジムでプロデビュー。2019年4月に日本スーパーライト級王座、同年12月にWBOアジアパシフィック同級王座を獲得。2020年7月に日本同級タイトル戦で7回負傷TKO負けを喫し、引退を表明したが、2023年2月、約2年7カ月ぶりに復帰。8月、WBOアジアパシフィック・スーパーライト級王座決定戦に勝利。2024年2月22日に、東京・後楽園ホールで、東洋太平洋同級王者・永田大士との王座統一戦に敗れた。19戦17勝(14KO)2敗。左ボクサーファイター。アニメやゲームが好きで、自他ともに認める「オタクボクサー」。

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