前田美波里、『菊田一夫演劇賞』授賞式で菊田一夫さんの思い出 芸歴60周年で誓う「できれば後20年」

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2024年06月06日 14:10  ORICON NEWS

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『第四十九回 菊田一夫演劇賞』授賞式に出席した前田美波里 (C)ORICON NewS inc.
 『第49回 菊田一夫演劇賞』の授賞式が6日、都内で行われ、俳優の前田美波里(75)が特別賞を受賞し、登壇した。

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 前田は、永年のミュージカルの舞台における功績に対して特別賞が贈られた。ほかの登壇者が出演した舞台やミュージカルへの思いを語る中、前田は「菊田一夫先生の思い出をお話ししたいと思います。私が15歳で受けたミュージカル『ノー・ストリングス』のオーディションに合格すると菊田さんは『君の名前を言ってくれ』と話し、前田が名乗ると『あん。ちっちゃいぞ、その声。舞台人になるならもっと大きな声で言え』」と返されたそう。「すいません。前田美波里です」と前田が再度名前を言うと「『芸能人みたいな名前だな』と菊田先生がおっしゃったのをよく覚えております」と懐かしんでいた。

 菊田さんと数多くの作品を共にした。「その中に、日本初の6ヶ月公演の帝劇『風と共に去りぬ』がございました。まだ私、当時高校生でしたので、高校を半分終えて舞台に行く。卒業する日は振り袖を着たまま、卒業証書をもらうことができなくて駆け込んで入っていったのを覚えております」と思い出を語った。

 一方で、厳しい一面も。『風と共に去りぬ』では、とある先輩がメイクをせずに舞台に上がったそう。「(『風と共に去りぬ』では)ご存知ない方もいるでしょうけど、生の馬が演技をしておりました。その横を私たち若い役者は、走る、駆ける、転ぶ。馬はその場でパカパカがやっているんですが、私たちが逆に進んで遠ざかるんです。そのシーンは化粧をしないと、すぐに帰れるので、やめちゃった。私は、そういうのは絶対いけないと思って、一生懸命化粧をして挑んだんです。そうしましたら、袖口に菊田先生が立っていて『君はこっち、君はこっち』と。何を言われたのかと思いましたら、化粧をしてない役者はクビになりました。それほど厳しい方でもございました」と秘話を明かした。

 そんな菊田さんから言われて今も思い出すことをがあるそう。「菊田先生が『1年やっても無理。10年やって1年生だと思わなくちゃ舞台はやっていけないよ』と。60年経ちました。ちょうど芸歴が60年になるわけです。やっと6年生なんです」とにっこり。「だから皆さん、もう少し私生きたいと思います。それも舞台の上で。せっかく素晴らしい賞をいただいてたので、もう少し頑張って。あとせめて20年。いいじゃありませんか、よぼよぼになっても。そんな演出家の方がたくさんいらっしゃいますから(笑)。どうぞ書いて、私に声をかけてくださいませ。いくつでもいいです。舞台の上で死にたい気持ちでおりますので」と生涯現役宣言。最後は菊田さんの写真に向かって「菊田一夫先生、本当に ありがとうございます。すごくうれしい賞をいただきました」と感謝していた。

 『菊田一夫演劇賞』は、1975年に日本の演劇界に偉大なる足跡を残した菊田一夫氏の業績を永く伝えるとともに、その念願であった演劇の発展のための一助として創設された演劇賞。大衆演劇の舞台ですぐれた業績を示した芸術家(作家、演出家、俳優、舞台美術家、照明、効果、音楽、振付、その他のスタッフ)を表彰する。

■『第49回 菊田一夫演劇賞』受賞者
演劇大賞:『ラグタイム』上演関係者一同(『ラグタイム』の高い舞台成果に対して)
演劇賞:柿澤勇人(『スクールオブロック』のデューイ・フォン役、『オデッサ』の青年役の演技に対して)、宮澤エマ(『ラビット・ホール』のベッカ役、『オデッサ』の警部役の演技に対して)、三浦宏規(『のだめカンタービレ』の千秋真一役、『赤と黒』のジュリアン・ソレル役、『千と千尋の神隠し』のハク役の演技に対して)、ウォーリー木下(『チャーリーとチョコレート工場』、『町田くんの世界』の演出の成果に対して)
特別賞:前田美波里(永年のミュージカルの舞台における功績に対して)


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