呂布カルマが語る「ラッパーが音楽フェスを敬遠しがちな理由」

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2024年06月06日 17:40  週プレNEWS

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『週刊プレイボーイ』でコラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」を連載している呂布カルマ


ラッパーとしてはもとより、グラビアディガー、テレビのコメンテーターなど、多岐にわたって異彩を放っている呂布(りょふ)カルマ。『週刊プレイボーイ』の連載コラム「呂布カルマのフリースタイル人生論」では『音楽フェス』について語った。

*  *  *

★今週のひと言「ラッパーが音楽フェスを敬遠しがちな理由とは?」

ぼちぼち各地で音楽フェスが始まる季節ですね。

ハッキリ言うがラッパーはフェスが苦手だ。

これは個人的な話ではなくて、ラッパーという属性とフェス文化の親和性の話だ。

最近では大規模なヒップホップフェスも増えてきたが、やはりまだまだフェスといえばロックバンドのものという印象だ。

そして俺は、ラッパーにしては比較的そーいったヒップホップ以外のフェスに呼ばれることが多い。都市型や屋内型のフェスならまだしも、日中の屋外型フェスは本当にしんどい。

基本的にフェスシーズンに入ると、通常の深夜帯のクラブイベントなんかも活発になる。

週末は朝まで徹夜で酒を浴びるように飲みつつライブを行ない、翌日の昼間から日差し照りしきる屋外フェスで死にそうになりながらステージに上がる、なんてこともざらだ。

それなら前日のイベントでの酒量を抑えろよっていう話だが、翌日の仕事のためにパーティを手抜きするのは不誠実ではなかろうか。

今夜死んでもいい──そんなつもりでパーティごとに楽しむのが望ましい。

これまた大変なのが野外フェスの楽屋。個室ではなく簡易的なテントにパイプ椅子&長テーブルといった感じなので、横になったり体調の回復を図るのは難しく、しかも出演者が多いために時間制になっていたりする。

さらにいくつもの会場を徒歩で長距離移動する必要もあって、運動不足で不健康がデフォルトのラッパーたちにとっては、かなり過酷になっている。

ちなみに野外フェス参加初期などは、普段薄暗いクラブでの飲酒に慣れ親しんでいたため、昼間っから太陽の下で飲むビールがめっぽううまく、アホみたいに太陽光線を浴びつつ必要以上の飲酒になってしまい、本番のステージに出る頃には最悪の体調になってしまっていた。

あと、ラッパーはそのほかのジャンルのミュージシャンに比べ、みんなスニーカーをはじめとする靴をきれいに保つことに心血を注ぐ。

「毎日磨くスニーカーとスキル」なんていう有名なパンチラインもあるぐらい靴を汚すことを嫌うのだが、野外フェスではシーズン的にも小雨が降ることも多く、いやが応にも靴が泥だらけになってしまうのだ。

ライブハウスにいる人たちは普段から薄汚れたコンバースとかを履いてるイメージだし、フェスに来るお客さんたちもハイキングみたいな格好をしているから、泥汚れドンと来いって感じなんだろうが、俺以外のラッパーたちも野外フェスにおける足元の汚れが実はけっこうなストレスになっているんじゃないだろうか。

客層の問題もある。

普段は深夜の酔っぱらいたちに向けてのパフォーマンスが主で、必然的に歌詞に描かれる内容やメッセージもそういった層に向けてのものが多くなりがちで、昼間のフェスで子連れのお客さんたちに向けてやるような曲がない。

薬物の使用や、暴力、ふしだらな性行為を礼賛するような歌詞が大半なのだ。

このコラムを書きながら改めてロクなもんじゃねぇなとわれながら思うが、それが現実だ。

とはいえ、ラッパーがフェスに苦手意識を持っていようが、お客さんたちにそれは関係ない。

俺たちは呼ばれればどこへでも行く。

心で泣きながら「フェス最高!」とか叫んだりもするのだ。

撮影/田中智久

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