LINEMOの新料金プランに「10GBまで」を加えた理由 20GBは値上げだが「ほとんどのお客さんには値下げになる」

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2024年06月06日 18:21  ITmedia Mobile

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MNOでは「10GB以下最安」をうたうLINEMOの新料金プラン「ベストプラン」

 ソフトバンクが、オンライン専用ブランド「LINEMO」の新料金プランを7月下旬以降に提供する。


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 「LINEMOベストプラン」と「LINEMOベストプランV」の2つを用意し、いずれも2段階制になっているのが特徴だ。前者のベストプランは低容量のユーザーを対象にしており、0〜3GBが月額990円(税込み、以下同)、10GBまでが月額2090円となる。後者のベストプランVは中容量のユーザーを対象にしており、0〜20GBが月額2970円、30GBまでが月額3960円となる。


 LINEMOベストプランには通話定額は付かないが、LINEMOベストプランVには5分かけ放題が付いている。国内通話かけ放題は、ベストプランは月額1650円だが、ベストプランV向けには月額1100円の「通話定額 for LINEMOベストプランV」を提供する。


 月額990円で3GBの「ミニプラン」と、月額2728円で20GBの「スマホプラン」は、新料金プランの提供に合わせて新規受付を停止するため、今後はミニプランがLINEMOベストプラン、スマホプランがLINEMOベストプランVに切り替わる形となる。


●データ容量3GBを超過するユーザーが増えている


 LINEMOベストプランを10GBまでの段階制とした理由について、ソフトバンク 専務執行役員 コンシューマ事業推進統括の寺尾洋幸氏は、ミニプラン加入者の3GBを超過する割合が年々増加していることを挙げる。月間データ超過の割合は、2021年7月時点では17%だったところ、2024年4月は34%に上がっている。


 「3GBを超えて追加でデータを購入するか我慢するか。満足いただけないと解約が増えるので、ここを見直したい」と寺尾氏は話す。MM総研が2024年1月に実施した調査によると、スマホユーザーの月間データ使用量は、4人に3人が10GB以下という結果も出ていることもあり、「10GB」まで使うユーザーに対してお得なプランにするのがいいと考えた。


 10GBまで月額2090円という料金は、MNOが提供している10GB以下の料金プランの割引前価格で「最安」をうたう。「キャリアと比べても競争力のある料金で、複雑な条件はない」と寺尾氏は自信を見せる。


 データ容量が10GB以下のユーザーは「価格コンシャス」な人が多いため、通話定額はあえて付けず、LINEMOベストプランの最低料金はミニプランの990円から据え置きとした。


●LINEMOベストプランVは、5分かけ放題をセットにすれば値下げ


 一方、中容量のLINEMOベストプランVは、月額550円の5分かけ放題を標準でセットにしたため、20GBまでの月額2970円は、5分かけ放題が付かない月額2728円のスマホプランから242円の値上げとなった。そのスマホプランもキャンペーンによって7カ月間は5分かけ放題が無料なので、7カ月目までなら5分かけ放題込みでもスマホプランの方がお得。5分かけ放題を継続して使う場合、8カ月目からは550円が加算されて3278円になるので、8カ月目以降の5分かけ放題込みなら、ベストプランVの方が308円安くなる。


 5分かけ放題が不要なユーザーにとっては値上げになるが、寺尾氏によると、スマホプランを契約している「かなりのユーザーが、5分定額を利用いただいている」という。それなら、分けるよりもセットにした方がシンプルだと考えた。


 とはいえ、現行プランでは5分かけ放題は7カ月目までは無料だが、8カ月目以降に不要な場合は自ら外す必要がある。それを忘れて、あるいは面倒でそのまま使っている人も多いのでは……と邪推してしまうが、寺尾氏によると、ほとんどのユーザーが、自らの意思で8カ月目以降も5分かけ放題を使っているという。


 「(キャンペーンが終了する)8カ月目の前に、(5分かけ放題を)継続されるか複数回ご案内しているが、ほとんど減らない。ARPUを上げていかないといけないというテーマの中で、全体の中で2970円という料金。ほとんどのお客さんには値下げになるのでは」(寺尾氏)


●データ容量超過後の通信速度は、一部で128kbpsに制限


 データ容量超過後の通信速度は、ミニプランは300kbps、スマホプランは1Mbpsとしているが、「一部でつなぎっぱなしのユーザーがいる」(寺尾氏)ため、公平性の観点から新プランでは制限を強化。LINEMOベストプランでは10GB超〜15GB以下は300kbps、15GB超は128kbpsに、LINEMOベストプランVでは30GB超〜45GB以下は1Mbps、45GB超は128kbpsに制限する。


●LINEMOやY!mobileからソフトバンクブランドへの移行が急増


 LINEMOの新料金プランでは、低容量と中容量に対しててこ入れをする形となったが、ソフトバンクでは他にソフトバンク(SoftBank)とY!mobileのブランドも抱えている。寺尾氏がよく質問されるというのが「3ブランドのすみ分けをどうするのか?」という点だという。


 ソフトバンクブランドでは、無制限や大容量のデータ容量を軸に、PayPayの還元率を上げる「ペイトク」プランを導入。家族割引があるのもソフトバンクならでは。また、高額なスマートフォンを1〜2年で買い替えやすくする端末購入プログラム「新トクするサポート」も導入している。「大容量、経済圏、家族を生かしたソフトバンク」だと寺尾氏はまとめる。


 Y!mobileはデータ容量だけを見ると、一部、LINEMOと重複している部分があるが、大きな違いは店頭でのサポートを受けられること。また、現行プランの「シンプル2」は、PayPayカード、ソフトバンク光、ソフトバンクでんきなどをセットで申し込んだ際の割引があり、ソフトバンク経済圏を生かした面もある。


 対するLINEMOの特徴は「シンプル」(寺尾氏)の一言に尽きる。セット割の条件はなく、料金プランの表を見るだけでパッと頭に入ってくる。オンライン専用で、1人で使ってもお得になるようこだわった。ショップでのサポートは受けられないが、LINEを使ったサポートを受けられる。


 LINEMOではアジャイル開発を取り入れており、高速に改善を繰り返す体制も整えている。これまで、LINEMOのサービス開始からサイトやアプリなどで4200件の機能を改善してきたという。LINEMOは3ブランドでは最も早くeSIMでの契約に対応していたこともあり、eSIMの申し込み比率も高く、2021年から3年で2倍に伸びたという。


 寺尾氏が特に注目しているのが、メインブランドであるソフトバンクへの移行が増えていることだ。プレミアムなサービスを受けられる「ソフトバンク」と、安価に利用できる「Y!mobileとLINEMO」という違いが浸透してか、Y!mobileやLINEMOからソフトバンクに移行するユーザーが、2022年後半〜2023年から一気に伸びたという。現在は「ソフトバンクからY!mobile、LINEMOへの移行」と「Y!mobile、LINEMOからソフトバンクへの移行」がほぼ拮抗(きっこう)しているとのこと。


 「LINEMO、Y!mobileに入った人が、もっとデータを使いたい、もっとPayPayでお得になりたい、新しい端末をお得に買いたいというときに、ソフトバンクブランドに移行するという動きが出ている」(寺尾氏)


 より安価なプランに移行するのは自然な動きだが、より高額なプランへの移行が進むのは、キャリアにとっては願ったりかなったり。「ブランド間で流通をすることで、グループ内にとどまってもらえるようにする」と寺尾氏が言うように、安価なLINEMOやY!mobileだけでなく、ソフトバンクブランドの魅力が高まることが、グループ内の解約率抑止にも貢献しそうだ。


このニュースに関するつぶやき

  • >ソフトバンクブランドへの移行が急増 乗り換えをご検討ならソフトバンクがおすすめ♪ってLINEMOからメール来るから当然なんでは?
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