BMWが水素レースを「評価中」。トヨタやアルピーヌとは異なり燃料電池を活用したい考え

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2024年06月07日 17:50  AUTOSPORT web

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燃料電池車(FCV)はタンクに貯蔵した水素と空気中の酸素を化学反応させ電気を作り、その電気でもモーター駆動するるクルマ。排出されるのは水のみ
 BMWは同社のモータースポーツへの取り組みに水素技術を導入する「可能性を探っている」が、燃料電池を使用することがあらゆるプログラムの重要な要素になるとみられる。

 BMW Mのフランシスカス・ファン・ミールCEO(最高経営責任者)はSportscar365に対し、BMWは水素燃焼エンジンのコンセプトを信じておらず、その代わりに水素ベースのレースプログラムに燃料電池技術を組み込むことを検討していると語った。

 ミュンヘンの自動車メーカーは、2027年に延期されたル・マン24時間レースでの水素クラス創設を目指す技術ワーキンググループに参加しているが、そのアプローチはトヨタやアルピーヌと対立するものである。

 このふたつのブランドはともに、水素をガソリンの代わりとなる燃料として用いる内燃機関、いわゆる水素エンジンを搭載したコンセプトカーを発表している。

 これとは対照的に、ル・マン24時間の主催団体であるACOフランス西部自動車クラブは水素をレースに普及させるために燃料電池を中心に取り組んでおり、現在活動中のLMP3ベースのH24プロトタイプと昨年発表されたH24EVOの両方が水素燃料電池の技術を利用している。

 ACOは早ければ2027年にデビューする可能性のある水素クラスで、水素エンジンと燃料電池、双方の技術を受け入れる予定であると表明している。

「水素レースで解決策があるとすれば、我々がやりたくないのは水素を燃やす焼エンジンを作ることだ。なぜなら、そうするとまだ排出物があるためだ」と語ったファン・ミールCEO。

「だから、私たちは燃料電池水素レーシングカーに注目し研究している。しかし、実際にはまだチャレンジの段階だ。巨大なタンクが必要で、現在のLMDhのシルエットには合わないためだ」

「我々は水素プロジェクトに力を入れている。量産車を見ると水素を燃やすエンジンではなく、燃料スタックやモデルを見ることになるからだ。BMWは2005年に水素燃焼エンジンを搭載した7シリーズを発表している」

「燃焼エンジンで物を燃やし始めると、排気ガスが発生する(編注:水素エンジンでも微量の二酸化炭素や窒素酸化物が排出される)。しかし燃料電池では、テールパイプから水が出るだけだ。地域での排出量を減らすことについては、そのほうが明らかに簡単だ」

 燃料電池技術は、BMWのロードカーにおける水素開発の重要な要素となっている。最近では、BMW iX5ハイドロジェンのパイロット車両がヨーロッパで導入された。注目すべきは、BMWがこのプロジェクトでトヨタとの協力を求めていることで、トヨタはこのクルマに個別の燃料電池を提供している。

 ファン・ミール氏は、水素研究はBMWの優先順位を分ける戦略の一部であるが、同ブランドはどの推進技術も捨てず、ひとつを優先して他の技術を否定するつもりはないと指摘した。

 BMWはすでに終了したABB FIAフォーミュラE世界選手権での取り組みに見られるように、電動化を追求してきた。一方、WECやIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権で使用されるBMW MハイブリッドV8を製造している。

「もちろん、私たちは可能性だけでなく、課題についてもレースに注目している」とファン・ミールは語った。「私たちは今も自分たちの仕事に集中する必要がある」

「だがその一方で、何も見逃したくはない。私たちは実際に水素を研究している企業のひとつだと思うが、明日から始めるという目的ではないんだ」

「将来的な可能性があるかないかを見極めることが目的であり、それは大きな挑戦だと言える。簡単に聞こえるかもしれないが、実際はそうではない」

「そして同時に、私たちは純粋な電気自動車(バッテリーEV)にも目を向けている。そして純粋なEVレースにも注目している。そこにも多くのチャンスがあると考えているんだ」

「実際、レースはシリーズ生産車のようなものだ。すべてのドライブトレインに目を向ける必要がある。ひとつを諦めてはいけない。そして、ゲームの最前線に立つために、つねにさまざまな可能性を見ておかなければならないんだ」

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