83歳が許可取得「生きがいだから、あと20年は頑張る!」 法改正で手作り漬物あきらめた人もいるなか周囲の刺激に

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2024年06月11日 07:00  まいどなニュース

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漬物名人の赤塚さん83歳、生きがいを守るために一大決心(道の駅よつくら港のXより)

「漬物名人赤塚さん、生涯現役宣言 2024年6月1日以降、道の駅や直売所などの売り場から漬物が販売できなくなる可能性があることを踏まえて、新たに許可を取りました。「あと20年はがんばるからおねがいします」。「赤塚さんの漬物」はこれからも続きます」

【写真】1袋100円から、これはお手頃価格です

令和3年6月に食中毒事故をきっかけに漬物製造業が「許可制」の対象となり、3年間の経過措置期間を経て今年6月1日から漬物の製造と販売の基準が厳格化。農家のおばあちゃんやお母さんが自宅の台所で作る、いわゆる「家庭の手作り」は基準を満たすことができないものが多く、全国各地の農産物直売所や道の駅で、商品が取り扱い中止になるケースがニュースになりました。

法改正に対し「漬物文化が破壊される」「引き継いできた味が消える」という怒りとともに、「あの人の漬物がもう食べられないなんて」という落胆の声も続出しています。

そんななか福島県いわき市にある道の駅よつくら港(@yotukurakou)の投稿には、「猶予期間で必要なインフラ整備して許可をとる。食品を扱うプロフェッショナル」「先見の明がある方は、年齢や経験関係なく危機感を持って対応する」「正規の手続きを踏んでる人をもっと周知すべき」と絶賛の声が寄せられました。

「漬物作りは生きがい」と話す83歳の漬物名人赤塚さんのこと、「道の駅よつくら港」としての思いなどを聞きました。

お客さんから「赤塚さんの漬物、買えなくなるの?」

道の駅よつくら港に漬物や惣菜、お弁当を提供する製造者は16名いましたが、今回の法改正を機に廃業を決めたのは4名(現在、今後について検討中の製造者は1名)。

継続する人の中でも、専用の空間が必要な人、冷蔵庫や作業台、シンク、手洗い場などを整備する必要がある人など、製造者ごとに法改正への対応には差があり、かかる費用は千差万別でした。

赤塚さんは、同施設がオープンした2010年から作り続けて、今やベテラン製造者。東日本大震災で津波の被害を受けた後も漬物を1袋100円から販売してきました。「長い歳月、漬物を販売していることで、赤塚さんの漬物が食べたい、というファンの人もじわじわと増えました」と職員の新妻さん。

製造販売の基準が厳しくなると知ったのは去年、赤塚さんは「もう辞めようかな」とこぼされたそうですが、「漬物づくりは長年続けてきたことで、生きがい。みんなの笑顔が見たいから、やれるとこまでやる」と一念発起。

それまで台所で漬物製造を行っていましたが、空き部屋になっていた自宅の一室を漬物製造専用の空間に改装することを決意。息子さんにも相談するなど、多種多様な補助金からマッチするものを選び、その申請や、保健所・業者とのやり取りを重ねました。

念願の許可を受けたのは法改正直前の5月。6月1日も漬物を対面で販売することができ、今後も毎週の土日祝日には自ら接客を行っていく予定です。

「雨の日も風が強い日も必ず販売に来てくれます。赤塚さん自身、惣菜やお弁当、漬物を作る製造者仲間で情報交換をしたり、お客様と直接話をしたりするのが楽しいそうです」と新妻さん。赤塚さんとの交流を目当てに訪れるリピーターも。法改正を目前に控えた5月は、「赤塚さんの漬物は買えなくなるんですか?」という問い合わせが相次いだことから、冒頭の発信をしたそうです。

同施設の白土駅長は「食べものを扱う場所ですから、食中毒などの発生はあってはならないこと。お客様の不安軽減にもつながります」。

10年以上の付き合いになる赤塚さんのことを「道の駅を盛り上げてくれる存在。製造販売を継続するために奮闘する姿を見て、“私も続けたいから許可を取る”と刺激を受けた人もいます。前向きな姿に私たちも感銘を受けています」。

「後20年は作りたい」と宣言している赤塚さんは、毎週末に対面で販売するために、今日も専用の漬物製造室で漬物作りに励んでいます。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・宮前 晶子)

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  • 道の駅で買う漬け物や惣菜は美味しいですよね!
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