水素燃料電池プロトタイプのH24EVO 6月12日、週末に“世界三大レース”のひとつであるル・マン24時間レースが開催されるフランスのサルト・サーキットで、ミッションH24の次世代プロトタイプカー『H24EVO』が初公開された。
同サーキット内のハイドロジェン・ビレッジ(水素村)において、ACOフランス西部自動車クラブのピエール・フィヨン会長と、ミッションH24の共同代表であるジャン・ミシェル・ブレッシュによって初披露されたこのクルマは、ACOが近い将来に水素を用いたレーシングシーンを実現させるために研究を進める“ミッションH24”プロジェクトの開発車両だ。
ミッションH24は、これまでに『LMPH2G』と『H24』というプロトタイプで実験を繰り返しており、H24EVOはこれらの水素燃料電池車(FCV)の後を継ぐ3代目のFCプロトタイプカーとなる。
2023年10月にレンダリングが発表されて以来、H24EVOは「未来的」「壮観」「新時代」を感じさせるデザインとして注目を浴びた。今回登場した1分の1スケールモデルでは、スケッチ公開時には見られなかったブルーとホワイトを基調としたカラーリングが施されたほか、プロジェクトに参画するトタルエナジーズ、シンビオ、ミシュラン、ディーツマン、OPモビリティ(旧プラスチックオムニウム)、リシャール・ミルなどのロゴも掲出されている。
ブレッシュ氏とテストドライバーのステファン・リケルミ、エイドリアン・タンベイ、さらにテクニカルディレクターのバセル・アスランとともにアンベールを行ったフィヨン会長は、「H24EVOは、従来のサーマルカーと競争できる水素電気プロトタイプを送り出すというミッションH24の新たなステップを示すものである」と語った。
「水素カーはサーキットにいるのではなく、サーキットで競争するのだ」
H24プロジェクトの社長兼ミッションH24の共同代表であるブレッシュ氏は次のように述べた。
「私たちが設定した目標は、H24EVOをFIA公認の初の電気水素プロトタイプとすることであり、最高のGT3マシンと同等の性能を示すことだ」
「そのためには、必要なパワーを得るための最新技術を統合する必要がある。この場を借りて、H24EVOプログラムへのシンビオの非常に強力な関与に敬意を表したい」
そのシンビオは300kWを発生する燃料電池をH24EVO向けに供給している。OPモビリティは700気圧の水素タンク、トタルエナジーズは移動式水素ステーションでサポート。脚元にはリサイクル素材を71パーセント使用したミシュランのレース用タイヤが装着されている。
リヤアクスルに搭載される1基の電気モーターにより最高出力872hp(884PS)を発揮するH24EVOは、デザイン発表時の計画から変更なく2025年第1四半期にシェイクダウンを実施する計画だ。