前回からの続き。私は1年前に夫を亡くしました。2人の息子たちはすでに家庭を持って自立をしており、夫がいなくなった家でひとりで暮らしています。ときおり息子やそのお嫁さんが顔を見せに来てくれますが、やはりひとりで老後を過ごすのは寂しいものです。そろそろ同居のことを考えて欲しいと思い、息子たちに伝えましたがことごとく断られてしまったのです。親が寂しい思いをしているのにかかわらず、平然と同居を断れる息子たちが信じられませんでした。なんて親不孝者なんでしょう……! そう思っていると、次男のジロウから「同居ができないワケ」を聞かされてしまうのです。
子どもに「野球やりたい!」と、言われたときも……どうせプロになれるわけでもないのに、高いお金を払ってわざわざ習い事をさせる意味がわかりませんでした。
体調が悪いと言われるのも、面倒でした。「病気なんて気合いで治せ」くらいは言ったかもしれません。
子育ては面倒で、疲れるだけでなにもいいことはないと思っていました。
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息子たちを育てているときは、本当に何度も何度も「ひとりになりたい」と思ったものでした。
子どもから要求されるすべてのことがうっとうしく、当時はまだ「家事育児は女性の仕事」という風潮が強かったのもあり、私は毎日疲弊していました。
なので子どもを「生かす」ことに専念し、子どもにまつわる煩わしいことすべてを放棄していたのです。
それでも子どもは育ちます。
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子どもたちが大きくなって、ようやく子どもを産んだ意味が分かりました。
子どもたちがいてくれることで、将来は安泰です。
育ててあげた恩義は、同居をして最期まで面倒をみることで返してもらいたいと思っています。
【第6話】へ続く。
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