『悪は存在しない』『ドライブ・マイ・カー』の映画監督・濱口竜介の著書「他なる映画と」(全2冊)が7月3日(水)より、全国の書店にて発売される。
村上春樹原作『ドライブ・マイ・カー』で米国アカデミー賞国際長編映画賞に輝き、また、カンヌ、ベルリン、ヴェネチアの世界三大映画祭を制覇した、いま世界がもっとも注目する映画監督のひとり、濱口竜介。
その濱口監督がこれまでに発表してきた映画論を2冊の書籍にまとめており、1巻目は「映画講座」篇、2巻目は「映画批評」篇となっている。
1巻目の「他なる映画と 1」は、仙台・神戸・鎌倉・ソウルなどで開かれた映画講座を収録。全て初活字化となる。
本書の半分を占める「他なる映画と」と題された全3回の連続講座では、映画史上の傑作・名作を取り上げながら、映画の画面はどのようにつくられ、そこで俳優たちはどのように演技し、監督はどのように演出してきたか、という映画の核心へと迫る。
そのほか、濱口監督にとって重要なテーマである「映画における偶然」を考察する講演や、小津安二郎監督『東京物語』と侯孝賢(ホウ・シャオシェン)監督『悲情城市』をめぐって、その細部における演出を分析していくレクチャーなども収録している。
2巻目の「他なる映画と 2」には、この15年のあいだに執筆してきた、作品レビューや映画をめぐる論考・エッセーをまとめた。
取り上げられる映画監督は、リュミエール兄弟、ロベール・ブレッソン、小津安二郎、マノエル・ド・オリヴェイラ、エリック・ロメール、土本典昭、ジョン・カサヴェテス、クリント・イーストウッド、ジャン=リュック・ゴダール、ジョナサン・デミ、エドワード・ヤン、相米慎二、ペドロ・コスタ、レオス・カラックス、ギヨーム・ブラック、そして瀬田なつき、三宅唱、小森はるかと、映画史の始まりから、現代の最新鋭にまでわたる。
なかでも、映画を志す者にとってのバイブル、ロベール・ブレッソンの著書「シネマトグラフ覚書」を読み解く論考は7万字に及ぶ力作で、本書のための書き下ろし。さらには、蓮實重彦やアンドレ・バザンといった映画批評家の仕事を論じた文章なども収録する。
「映画を見ながら、映画をつくってきた」と自ら語る濱口竜介は、いったいどのように映画を見てきたのか。この2冊を通じて明らかにされるだろう。
濱口竜介著「他なる映画と 1」「他なる映画と 2」は7月3日(水)より全国書店にて発売。
出版社:インスクリプト 四六判並製 432頁/384頁 定価:各巻 本体2,500円+税
(シネマカフェ編集部)