AIが生んだ架空の動物と話し、VRで鳥になる体験。自然と環境がテーマの『人間×自然×技術=未来展』レポ

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2024年07月08日 19:10  CINRA.NET

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Text by 生田綾

もしもAIを使って、架空の鳥と話せたら? VRで鳥のように、大空を自由に飛べたら? 廃材が生まれ変わるとしたら?

『人間×自然×技術=未来展』が、東京・有楽町にあるSusHi Tech Square 1F Spaceにて9月23日まで開催中だ。「自然と環境」をテーマに、さまざまなクリエイターによる体験型の展示を展開している。

クリエイティブディレクターは亀山淳史郎(SIGNING 経営補佐)。キュレーターを田尾圭一郎(田尾企画 編集室)と生田綾(CINRA編集長)が務めた。

展覧会をレポートする。

東京都が推進するSusHi Tech Squareは、デジタルを切り口に、さまざまな展示やワークショップ、イベントを体験できる施設。これまで「身体」をテーマにした第1期『わたしのからだは心になる?』展、「都市」をテーマにした第2期『都市にひそむミエナイモノ展』 を開催し、好評を博した。

第3期展覧会として開催される本展では、9組のクリエイターや研究者が参加。「人間×植物×AR」「人間×動物×AI」「人間×鳥×VR」「人間×昆虫×ドローン」など、さまざまな視点で、東京の多様な自然との共存のありかたを問いかけている。入場は無料。

展示作品は以下の通り。

展示会場の入り口にあらわれるイマーシブ映像。作品に人が近づくと風景が変化し、東京都のシンボルであるイチョウの葉が舞い上がる。

この世に存在しない、架空の鳥類と対話をしているような感覚を体験できる作品。映像と音声は、メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』を学習したAI、MaryGPTによって生成されたテキストをもとに構成されている。

日本列島の上空を自由に飛び回ることができるVRコンテンツ。 国土地理院の基盤地図情報をもとに、2万分の1のスケールで立体化。VRゴーグルとコントローラーを用いて実際の日本の上空を自由に飛んでいるような体験を楽しめる。

建築現場や家具の製作工房からでた廃材を用いたアート作品。アーティストの手によって新しい「生命」を吹き込まれた廃材は、原寸大の動物になっていまにも動き出しそうだ。

デジタルデバイスが浸透し、身近になった「JPG」や「MP3」といったあらゆる拡張子がNFT化され、《ハイパー神社(鬼)》に祀られている。自ら「オニ」となった来場者は、プロジェクションの茅の輪をくぐり、LEDの参道を通って賽銭箱から2Dメタバースの拝殿を参拝することができる。

来場者は、東京の夏をイメージしたハスの花が咲く水辺を舞台に、ミツバチを模したドローンを操作。花粉を運び、 花の授粉を疑似体験することができる。

コンセプトは「移動する公園」。緑と一体化した遊具やベンチが置かれており、キャスター付きや組み立て式など、すべて移動可能な構造になっている。

巨大な切り株と廃材からつくったカウンターテーブルが一体化。来場者が水をやって育てるインタラクティブな植栽PODが備えられていて、植物が育つ様子を、タイムラプス動画で鑑賞できる。

東京都立大学・岡本龍史と鳥取大学乾燥地研究センター・石井孝佳の研究によって生まれた新たなCybrid(サイブリッド)植物、「イネ‐コムギ」や「トウモロコシ‐コムギ」「パールミレットコムギ」を展示している。

会場内ではアートコミュニケーターが常駐し、訪問者が作品に対する疑問や感想を気軽に共有できる環境が整えられている。

さらに展示会場では、大人も子どもも楽しめる廃材でできたキッズライブラリー付きのプレイグラウンドや、頭から植物が生えてくるARフィルターを体験できるブースも展開。

会期中は、アート作品を鑑賞して感じたことを参加者同士でゆったり語り合ってもらう「哲学カフェ」(金曜夜に開催)や、メディアアートの鑑賞プロセスを体験できるワークショップ、廃棄物を材料にランタンをつくることができる「廃材ワークショップ」、アート×ビジネスを語り合うビアバッシュ、夏祭りなど、さまざまなイベントも開催する。
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