「Threads(スレッズ)」が節目の1周年 テキスト基盤のSNSはどう進化し、どこに向かうのか

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2024年07月09日 21:21  ITmedia Mobile

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「Threads(スレッズ)」は「Facebook」「Instagram」を手掛ける米Metaが提供する、テキストベースのSNSだ

 テキストベースのSNS、「Threads(スレッズ)」がサービス開始から1周年を迎えた。米Metaの日本法人、Facebook Japanが7月9日にオンラインでイベントを開催し、Threadsがどのように活用されているのかや、重点的に開発している機能などを紹介した。


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●Threadsとはどのような存在か


 Threadsが日本でも利用可能になったのは1年前の2023年7月6日。コミュニティーが集い、関心のあるトピックから次のトレンドまで、あらゆる情報についてオンラインで会話できる場となる。


 キャッチコピーに「Instagramのテキストベースの会話アプリThreadsでコミュニケーションをより豊かに」とあるように、Threadsはテキストでの投稿ややりとりが主となる。


 貴重な思い出を写真としてInstagramに、日々の出来事を文字でThreadsに投稿させようとする、Metaの思惑は手に取るように分かる。InstagramをテキストベースのSNSとせず、あえて別サービスのThreadsを用意した、という点は正解だろう。


 Instagramのプロフィールを含むアカウント情報を流用できるのも利点で、Instagramを既に持っている人をも巻き込み、同じアカウントで用途に応じて使い分けてほしい、という意図も当時のニュースリリースからは伝わってきた。


 サービス開始当初、呼び名は「スレッズなの? スレッドなの?」とする疑問をTwitter(現X)で多く見かけたThreadsだが、サービス開始から約7時間で1000万ユーザーに達した他、大手企業公式アカウントが登録されるなど、当時の勢いは計り知れないものだった。


 Threadsの登場と同じ時期、Twitter(現X)は混乱の最中にあった。投稿やそれに付随する画像などが一時的にできない他、ログインしなければまったく閲覧できなくなるなど、以前に比べて制限事項が多くなっていたため、乗り換え先としてThreadsが注目されていた。


 それから約1年後の2024年7月3日、MetaはThreadsの月間アクティブユーザーが1億7500万人を超えたと発表。Threadsのプロダクト開発を担当するチームは「誰の発言にも価値がある」と考え、「利用者が自身の考えやアイデアを気軽にシェアできる場所を作ることを目指している」ことを明かした。


●Threadsはどのように活用されているのか


 ここからは、この1年でThreadsがどう変化したのか、そして、何を重視しているのかを紹介する。


 Facebook Japanの山谷道裕氏によると、Threadsでテキストだけで投稿する人が全体のうちの63%で、投稿に写真を含める人が25%となっている。山谷氏は「Threadsが写真を10枚貼れることや、Instagramより小さく写真が表示されることから、気軽に投稿できるとの意見をもらうことが多い」と話す。


 これまでに作成されたトピックの数は約5000万。Threadsにおけるトピックは旧Twitterの「トレンド」に相当する。ユーザーが何に関心を持っているのかや、話題となっていることが分かる。


 2023年12月には投稿にタグ(ハッシュタグ)を付けられるようになり、投稿内容に関連するトピックをタグとして追加することで、世の中のトピックをカテゴリー分けできるようになった。いわばInstagramに近い機能がThreadsでも徐々に利用できるようになった。


 山谷氏は「世界中で最もアクティブにThreadsを利用しているユーザーは日本、インド、台湾など、アジア太平洋地域の国々にいる」とし、「日本のApp Storeにおける人気アプリランキングのトップ5入りするのがThreadsである」と胸を張り、日本でも多くの人がThreadsを使っていることを明かした。


 ちなみに、他の国ではどのようにThreadsが使われているのか。例えば、台湾では引用投稿が多く、「Threadsに存在する投稿に自分の意見や情報を加えて発信する人が多い」(山谷氏)という。インドでは「メンションの利用と動画を含む投稿が多い」そうだ。


●Threadsがどのようなことに重きを置いているのか


 では、Threadsはどのようなことを重点的に捉え、アップデートを重ねてきたのだろうか。山谷氏はThreadsにおける主な注力事項について、次の3点を挙げる。


・利用者がよりタイムリーに情報を発信できること


・安心して会話を楽しめるフレンドリーな場所を作り、維持すること


・クリエイターに価値を提供すること


 1つ目のタイムリーな情報発信について、山谷氏はアプリだけでなくWebからもアクセスできることを関連づけて解説する。スマートフォン向けのアプリは1つの画面をスクロールするのに対し、Webでは横いっぱいに広がるPCなどのディスプレイを生かし、複数のタイムラインを1画面で表示できるようにした。


 スポーツのスコアをリアルタイムに表示できるのも特徴だという。2024年7月にはNBAに加え、MLBの試合スコアも確認できるようになった。


 2つ目のフレンドリーな場所の提供について、山谷氏は会話を促進することを目的に開発された「GIFやアンケート」を挙げる。活字だけでは表しづらい表現はGIFを使い、投稿主がアンケートを通じて読み手の考えを知るきっかけになる。


 リプライできるユーザー(自らの投稿に返信できる人)の制限などの機能も、安心して利用できるThreadsのよさだろう。山谷氏は「この点はMetaが特に注力している機能の1つ」だとアピールする。


 Instagramにも同様の機能はあるが、Threadsでも一般的に不適切とされる言葉を含む投稿を非表示にしたり、指定したキーワードを含む投稿やコメントを非表示にしたりできる。山谷氏はThreadsユーザーに対し、「ぜひこの機能を利用してほしい」と呼びかけた。


 3つ目のクリエイターへの価値提供については、「Mastodon」など他のサービスとも連携する「フェディバース」に対応したことが挙がる。


 フェディバースはフェデレーション(連合)とユニバース(宇宙)を組み合わせた造語だ。日頃、聞きなれない言葉だが、Threadsと他のサービスが相互連携することで、各サービスのユーザーが垣根を超えてつながりやすくなる――そんなイメージだ。


 Threadsは今後も、誰もが安心して情報を発信できる場として、アップデートを重ねる予定だという。山谷氏は「アルゴリズムの改善や、さまざまな機能の開発、実装、誹謗(ひぼう)中傷をはじめとする望まないコミュニケーションを防ぐ機能を通して、利用者自身が自分の考えやアイデアを気軽にシェアできる場を目指す」とした。


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