【漫画】「地雷系」と「量産型」はどっちが強い? Xで9万いいねを集める異色のバトル漫画

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2024年07月19日 17:00  リアルサウンド

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『地雷系のバトル漫画』より

 女性ファッションのジャンルとして定着したように感じる「地雷系」と「量産型」という言葉。その両者が激突する漫画『地雷系のバトル漫画』がXで約9.2万のいいねを集めている。


(参考:漫画『地雷系のバトル漫画』を読む


 厚底靴に仕込んだ地雷、触手になる巻いた髪……。このユニークなアイデアは大喜利的に考えたというが、すべてが「地雷系」と「量産型」のイメージと何ら矛盾がない。緻密さと躍動感を感じさせる本作が生まれた背景について、作者・いきろさん(@ikir0__)に語ってもらった。(小池直也)


――9万のいいねが集まっています。これについて、ご自身としてはいかがですか。


いきろ:一定の反応はあるかなと予想していましたが、完全に予想を超えてました。プロの漫画家さんのクオリティに比べるとまだまだ完成度は足りてないという評価なので。ここ数年、描きたいものと読み手が求めるもの、そのバランスを考えながらイラストを描き続けてきた結果が出たのかもしれません。あとは何といっても運がよかった、ということに尽きます。


――本作の着想を教えてください。


いきろ:1ページ目の「地雷キック」単体をアップしたら、数万いいねの反応をいただけました。続けて2ページ描いてみたら引き続き反応をたくさん頂けて、どうやら需要がありそうだと。なので次はまとまった話で描いてみました。地雷系などの病み可愛い的なビジュアルが好きで描き続けていて、そんな可愛い女の子がアクロバティックな構図で描いてみたらどうか、とか厚底に爆弾を仕掛けてみたら面白いんじゃないか、というようにアイデアを足していきました。大喜利のような構造がXと相性良かったんじゃないかと思います。


――「地雷系」と「量産型」というファッション的特徴について、どんなイメージを?


いきろ:そういった言葉が使われ始めたのは、たしか5〜6年前からですが、明確な定義はないと思います。だからこそ創造の余地がありました。本作では地雷系が爆発を駆使して戦う、量産型は語源的にも有名な配信者にガチ恋してワンチャンを狙う、そんなキャラクター設定にしていますね。


 武器については前者の爆弾は先ほどのイメージそのまま、後者はより髪を巻いている印象があったことから着想しています。バトル漫画でありがちな「量産型」の文脈とも重ねました。


――アニメ「機動戦士ガンダム」に登場する「量産型ザク」を起源とする言葉が、現実に存在する女性のファッションを指す言葉となり、それをもう再び漫画の想像力に戻したのは興味深いです。


いきろ:言われてみれば、確かにそうですね。「再変換した」という感じかもしれません。


――好きな男性を擁護する地雷系、男性総体を批判する量産型の志向性についても興味深かったのですが。


いきろ:前述にある通り量産型はワンチャンを狙うオタクというイメージがあったので「自分の常識を相手に押し付ける」という性格に設定にしました。それに対比させようと地雷系は比較的に一般寄りの感性にしています。男性に対する倫理観でそれを浮き彫りにさせたのは作品のポイントかもしれません。


――毎回設定を固めてから制作を始めるのですか?


いきろ:ある程度設定を作らないと不安で進められないです。本作の続きを描くのであれば、いつか考察の余地を与えるように残しつつ発表していければと思っています。


――バトルシーンの躍動感も印象に残りました。


いきろ:もともと構図やアングルを考えるのが好きだったのですが、初めて漫画に落とし込む上で、1コマ1コマの繋がりを成立させるのは改めて難しいなと感じました。あとバトル中に地雷系の子が空中に飛ぶ場面などは、1枚のイラストだと、その1枚で完結するような構図しか描かないので、前後の文脈ありきでこそ描けるという意味では描いていて楽しいシーンでした。


――次回作も準備されている?


いきろ:はい。今ネームが完了して、作画に取り組んでいるところです。早くて7月中には上げられると思います。色々試してみたいので、読者の反応を見ながら、隙あらば予想外のアイデアなど盛り込んでいきたいです。


――影響を受けた作品や作家は?


いきろ:漫画家ではありませんが、庵野秀明さんです。小さい頃から親が録画していた『新世紀エヴァンゲリオン』を観て育ちました。因果関係は定かじゃないですが、おかげで暗めの人間が出来上がってしまいました。あの決して明るいとはいえない物語を画作り・脚本など表現のクオリティで最後まで観客を引き付けたのはすごすぎます。


――作家としての展望、なりたい作家像を教えてください。


いきろ:きっかけがなかった漫画制作でしたが、ついに着手することができたので最後まで描き切りたいです。あわよくば単行本化などまとまった形になることを目指していければと思います。


(小池直也)


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