お笑いコンビ、キャイ〜ンの天野ひろゆきさんとウド鈴木さん、ずんの飯尾和樹さんとやすさんの4人は同じ事務所のほぼ同期。天野さん曰く、この4人の関係を表す言葉は、仲間、友達ではなく、「珍友」と呼ぶのがしっくりくるという。そんな4人によるエッセイ集が『キャイ〜ン ずん 作文集 ほぼ同じでぜんぜん違う』(天野ひろゆき、ウド鈴木、飯尾和樹、やす著、徳間書店刊)だ。
■キャイ〜ンとずんの強い絆
本書では、4人が芸人としてスタートし、下積み時代を過ごした東京・錦糸町、三軒茶屋、五反田をめぐるツアー、やすの生まれ故郷である宮崎、本場の喜多方ラーメンと美味しい魚とうまい酒を求めて福島・会津の旅など、4人一緒の旅を実施し、その土地その土地で繰り広げられる珍道中の座談会を掲載。また、4人それぞれの幼少期から出会い、芸人デビュー、売れたきっかけ、活動、芸能界の交遊などをまとめた作文集だ。
メンバーの一人である天野さんは3人のことをどのように思っているのか。相方のウド鈴木さんとは30年以上ほとんど一緒にいて、仕事で欠かすことのできないパートナー。普段の移動は別々のコンビも多いが、キャイ〜ンは新幹線も一緒だという。天野さんによると、ウドさんは自分の信念をよくも悪くも貫く人間。その信念に対して合う、合わないはあるが、信念そのものに悪がない。なので、今は本人の思いをしっかり聞いてから、自分の思いを伝えるようにしているという。そして、絶対に自分を裏切らないという信頼がある。趣味も生活スタイルも違う2人が仲良く見えるのは、こうした関係性があるからなのだ。
ずんのやすさんを一言で言うなら、小さい問題を気にして、大きな問題を気にしない男。雨の日だと靴が汚れるなど、天野さんからしたらどうでもよいことをしっかり気にする。ただ、人生に関わるような大問題を気にしないところがあるのだとか。
ずんの飯尾さんは、「正義の男」。間違ったことが嫌いで、ズルさや悪さをとことん嫌う。少しでもそれを感じると近づかないし、気を許さない。もし友だちがそうした行動をしそうになったら、有耶無耶にせず、必ず忠告する。「それは違うんじゃない」とちゃんと言える人なのだ。そして、とにかく先輩からも後輩からも飯尾さんの悪いことを一度も聞いたことがないという。それだけ人に対するアプローチが柔らかいのだと思う、と天野さん。
今もお笑い界の第一線で活躍するキャイ〜ンとずん。4人それぞれのエッセイや旅の座談会を読むと、4人の関係性や仲の良さが伝わってくる。そんな4人の個性あふれる作文集を本書から楽しんでみてはどうだろう。
(T・N/新刊JP編集部)