最近よく聞く「時間対効果」の意味を持つ「タイパ」という言葉。いかに時間を短縮して大きな満足感を得るかは、多忙をきわめる私たちにとって大きな課題といえるかもしれません。今回紹介する『今日から変わる わたしの24時間』は、暮らしとオリジナルウェアの店「OURHOME」を主宰する整理収納アドバイザー・Emiさんが自身の時間管理術について公開した書籍。ビジネスパーソンであれ家事中心の人であれ、タイムマネジメントに悩みを抱える人にとっては気づきの多い一冊になるのではないでしょうか。
12年前にフリーランスとなったのち、双子育児のかたわら兵庫県西宮で起業し、オンラインショップと実店舗を運営してきたEmiさん。順風満帆にキャリアを積んできたように見えますが、実は仕事も暮らしもうまく回らず、気持ち・体ともにダウンしてしまったこともあったそうです。そんな中で取り入れるようにしたのが、同書のchapter1でも紹介されている「今決める」ということでした。
子どもの個人面談の日程や仕事のスケジュール、美容院や歯医者の予約、家族の誕生日プレゼントなど、私たちの毎日には決めなくてはならないことが満載です。「時間があるときにじっくり考えよう」とずっと思い込んでいたのを、あるときから「後回しにしないで今決める!」と意識し始めたというEmiさん。すると物事がサクサクと進んでいき、時間も気持ちもよどまずにさ〜っと流れるようになったのだとか。そしてこれらの日々の小さな「決める練習」の積み重ねにより、大きな物事も後悔せず決断できるようになったといいます。同書ではこのように、「時間のつかいかたや捉え方」から解決を試みる実例がいくつも公開されています。
そしてもうひとつ同書で大切にされているのが、時間効率をただただ上げるのではなく、「生み出した時間で自分のやりたいことに時間を使おう」という視点です。自分が毎日ごきげんでいるために、「やりたいことファースト」でスケジュールを組むのもありですし、一日の中で自分のメンテナンスやケアに充てるゴールデンタイムを設けるのもあり。その分、スケジュール管理はスマホのカレンダー機能で効率よくおこなったり、料理は一度に2倍の量を作って翌朝のお弁当に回したり、服選びをルーティン化したりといった方法でやりくりし、時間の貯金をする。必要なものに時間をかけ、不要なものはできるだけ簡略化するといった管理術は、整理収納を得意とするEmiさんならではと言えるかもしれません。
"時間に追われずに、時間を追いかけよう" というEmiさんの気持ちが込められた同書。「時間をうまくやりくりできず、自分のしたいことに手が回らない」というストレスを抱える人は一読してみてはいかがでしょうか。とはいえ、書かれていることすべてをやろうとして苦しくなってしまっては本末転倒。「ご自身にとって、いいところだけ読んでピ〜ン! ときたことをまずは3つだけやってみてほしい」(同書より)とのEmiさんの言葉のとおり、まずはできるところから取り入れて、自身にとって心地よい状態を見つけてみるのがよさそうです。
[文・鷺ノ宮やよい]
『今日から変わる わたしの24時間』
著者:Emi
出版社:大和書房
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