今回は、企業年金を受給している場合の、遺族厚生年金の受け取りについてです。
Q:企業年金を受給している妻は、遺族厚生年金を受け取る場合、差し引かれますか?
「私は、企業年金を老齢厚生年金とあわせてもらっています。夫が亡くなったときには、遺族厚生年金がもらえると思いますが、その場合は、遺族年金額から企業年金の金額が引かれてしまうのでしょうか?」(匿名希望)A:企業年金のうち、代行年金(国の代行部分)のみが、遺族厚生年金から差し引かれます
厚生年金加入者である配偶者が亡くなり、遺族年金を受給できるようになった場合、すでに自身の老齢厚生年金を受給している65歳以降の人は、遺族厚生年金から自分の老齢厚生年金額分を引いた差額を遺族厚生年金額として受け取ることになります。自分の老齢厚生年金と企業年金を両方、受け取っている相談者の場合についてはどうなるのでしょうか? 遺族厚生年金から、まず相談者の老齢厚生年金額分が差し引かれます。その上で、企業年金の一部分が引かれます。
そもそも企業年金には、「代行年金(国の代行部分)」と「基金独自の上乗せ年金」の2つの要素から成り立っています。このうち代行年金(国の代行部分)の金額だけが、遺族厚生年金から、差し引かれるということになります。基金独自の上乗せ年金については、遺族厚生年金から差し引かれません。
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遺族年金請求者の企業年金の「年金証書」で、代行年金(国の代行部分)の金額がいくらなのか確認できます。または年金証書に同封されている問い合わせ先に確認してみましょう。
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
(文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士))