脱・テレビアニメ? アニメ制作市場、初の3000億円台 従来のビジネスモデルからの変化とは

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2024年09月06日 05:21  ITmedia ビジネスオンライン

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23年のアニメ制作業界、市場規模が初の3000億円突破(画像はイメージ、提供:写真AC)

 アニメ制作の市場規模が、初めて3000億円を突破した。帝国データバンクが調査結果を発表し、2023年は事業者売上高ベースの市場規模が、前年の2757億8300万円を22.9%上回り、過去最高となる3390億2000万円だと分かった。現状の業績ペースで推移した場合、2024年は3400億円前後での着地が予想される。


【調査結果】アニメ制作市場の推移


 テレビアニメ制作本数が安定したことに加え、動画配信サービス(VOD)事業者向けの大型制作案件も多かったことなどが市場拡大に貢献した。興行収入140億円を超えるヒットを記録した『すずめの戸締まり』や、『君たちはどう生きるか』など、劇場版アニメの好調も各社の業績を押し上げた。


 2023年の国内アニメ制作会社1社当たり平均売上高は、11億2300万円だった。2022年以降、2年連続の増加でこちらも過去最高。「増収」が37.2%、「減収」が24.9%と、増収が減収を上回った。一方で「増益」となった企業が44.9%、「赤字」は32.3%で4年連続で3割を超え、二極化が進んでいる。


●IP保有の有無が収益に直結


 制作態様別にみると、直接制作を受託・完成させる能力を持つ「元請・グロス請」の平均売上高は23億6300万円。前年の17億2200万円を上回り、過去最高を更新した。元請・グロス請のうち「増益」は51.7%で、18年ぶりに5割を超えた。「赤字」(22.4%)も4年ぶりの低水準となり、収益力が改善されたことがうかがえる。


 下請としてアニメ制作に携わる「専門スタジオ」の平均売上高は3億9100万円と、3年連続で前年を上回った。「前年並み」が過去最高となる46.6%で売り上げの頭打ちにある企業も多いとみられる。損益面では「赤字」が43.1%と、3年ぶりに40%を超えた。


 業界を見渡すと、配信サービス向けの制作収入が重要な収益源となる傾向が見られる。その他、シリーズ化した作品では劇場版に制作資源を集中投入する動きもあるという。いずれも制作会社が積極的に版権(IP)を保有するケースが増えており、テレビ向けアニメを多く受託・制作する従来型のビジネスモデルに変化が生じている。


 一方で、アニメーターの低賃金、IP収入が期待できない専門スタジオではコスト増による収益悪化が深刻化していることから、収益拡大分の還流に期待が集まる。生成AIが広がる状況で、著作権侵害への対応策も今後の焦点となると帝国データバンクはコメントしている。


 7月時点の信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)や外部情報を基に集計・分析した。



このニュースに関するつぶやき

  • 増収しても制作スタッフ(アニメーター等)に還元されなければ意味がない(´・ω・`)
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