清水直行がロッテの「日替わり打線」を分析 成長曲線上向きの藤原恭大ら飛躍に期待の若手は?

2

2024年09月07日 08:40  webスポルティーバ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

webスポルティーバ

写真

清水直行が語るロッテの現状 野手陣

(投手陣:新加入のサイ・ヤング賞投手、若手リリーフへの期待>>)

 清水直行氏に聞く、CS進出を目指すロッテの野手編。9月5日時点でチーム打率.250 (リーグ2位)、423得点(リーグ3位)と上々だが、今季に成長を感じている選手や、日替わりで変わる打順についての見解を聞いた。

【日替わり打線が機能する条件】

――ピッチャーに続いて野手陣についてお聞きします。現状をどう見ていますか?

清水直行(以下、清水) "打線は水物"といったらそれでおしまいなのですが、ほとんどの選手が同じ時期に不調に陥る傾向がありますよね。そんななか、藤原恭大はよくなりました。満塁の場面で力んで、明らかなボール球を振って三振したりすることもありますが、そういった壁をもうひとつ、ふたつ越えられたら、どんなピッチャーと対戦しても戦えるぐらいのところまではきているのかなと。成長曲線が上向きの軌道になった印象です。

――藤原選手は1番、3番、9番など任される打順が頻繁に変わっていますが、固定したほうがいいでしょうか。

清水 藤原に限らず、ロッテはほとんどの選手がいろいろな打順を任されることが多いですよね。選手によっては、固定してくれたほうがやりやすい場合もあると思います。それは「毎試合3番に固定してほしい」といったことではなく、「中軸のどこか」だったり、ある程度の固定を望む選手はいるんじゃないか、というニュアンスです。

――かつて近鉄やオリックスで指揮を執った仰木彬監督や、ロッテで指揮を執ったボビー・バレンタイン監督も、毎試合のように打順を変えて試合に臨むことが多かったと思います。吉井理人監督は両監督のもとでもプレーされていますね。

清水 その影響があるかどうかはわかりませんが、毎試合打線の並びを変えるやり方は近いですよね。吉井監督は、おそらく野手の疲労が蓄積しないように配慮しているんだと思いますが、それでも故障・離脱者が出てしまうのは、選手たちの体がついてきていないんじゃないかと。それは選手たち自身の問題で、打順の並びを変えることがよくないわけではありません。

 もうひとつ、打順を変える理由として考えられるのは、相手ピッチャーの球種や球質、球場の特性などに合わせて決めているということ。つまり、相手に合わせた布陣です。クリーンナップを上位と下位にふたつ作ったり、足があるバッターを散らすことで打順にバリエーションが生まれたりしますが、「自分たちの攻める形がない」という言い方もできます。ただ、それは悪いことではないですよ。「決まった形がないことが自分たちの形」という捉え方もできますし。

――どんな相手でも対応できる、自分たちの攻める形ができていることが理想ですか?

清水 個々の役割が明確になるという意味では、選手も試合に臨みやすくなりますし、作戦の成功率も高くなると思います。ピッチャーでは、昔はよく"先発3本柱"と言われましたけど、打線でも中軸は変えないとか、逆に中軸を変えることがあっても1、2番は固定するとか......ある程度は固定された部分がないと、自分たちの攻めていく形が浸透しないんじゃないかと思います。

――打順を変えるにしろ固定するにしろ、作戦を遂行する選手たちの技術や体力が伴っていなければいけない?

清水 ボビーのときに日替わり打線が機能していたのは、個々の能力が高く、与えられたポジションや打順でみんなが結果を出せていたからです。打順を変えようが固定しようが、結局プレーするのは選手。打順をどう組もうが打つ選手は打つし、技術がなければ何番を任されようが打てません。体力がなければ、休みをもらってもついていけませんよね。

 よく思うのですが、支配下選手登録70人のなかで、一番頼りになる選手が3番や4番を任されるわけじゃないですか。その選手たちが打てなかったら仕方がない、と。ただ、そうなると責任やプレッシャーが重くなるので、打順を変えるなどして集中しないように分散する。でも、それに耐えうる選手がいれば分散させる必要がない。結局、そういう選手が出てこなければいけないんです。

【ルーキーの上田、寺地にも期待】

――個々の選手の話に戻りますが、現状のロッテのバッター陣で藤原選手以外に注目している選手はいますか?

清水 小川龍成です。もともと守備はよかったですが、打席での粘りが出てきて自分のヒットゾーンもわかってきた。攻守に存在感が出てきましたね。しかし、彼が確固たるレギュラーになるために必要なのは、打球の力強さ。今の打球では、小技ができるユーティリティープレーヤーという枠から脱却できません。

 ただ、彼は自分がやらなければいけないことを熟考して泥臭く取り組み、頭角を現わしてきました。それは評価すべきだと思います。彼はもっとできると期待していますし、あとひと皮、ふた皮むけるためにも打球の強さを追求してほしいです。

 泥臭くといえば、藤原もそうですよね。追い込まれたらノーステップで打つ決断をして、打てる確率が上がった。泥臭く地に足をつけ、真摯な態度で取り組むことが成功への近道です。

――ケガで二軍調整中ですが、ドラ1ルーキーの上田希由翔選手はいかがですか?

清水 「使いたいな」と思わせるぐらいの安定感が出てきたら面白いなと。現在サードを守っている中村奨吾を脅かす存在になれば、内野の相関図が変わっていくでしょう。そういう意味では、彼の成長がチームを変えていく可能性があります。

 あとはファームで結果を出している、やはりルーキーの寺地隆成。非凡な打撃センスがありますし、キャッチャーだけではなくほかのポジションで可能性を探ることもひとつかなと。あくまで僕の個人的な意見ではありますが、キャッチャーから転向して成功している選手は過去に多いですし、彼は足もありますしね。

 とにかく、バッター陣はいつまでも外国人助っ人やベテランたちに頼ってばかりはいられません。若手の成長と下からの突き上げに期待しています。先ほどもお話しましたが、技術と体力が伴った確固たるレギュラーと呼べる選手が、若手のなかからもっと出てきてほしいですね。

【プロフィール】
清水直行(しみず・なおゆき)

1975年11月24日に京都府京都市に生まれ、兵庫県西宮市で育つ。社会人・東芝府中から、1999年のドラフトで逆指名によりロッテに入団。長く先発ローテーションの核として活躍した。日本代表としては2004年のアテネ五輪で銅メダルを獲得し、2006年の第1回WBC(ワールド・ベースボールクラシック)の優勝に貢献。2009年にトレードでDeNAに移籍し、2014年に現役を引退。通算成績は294試合登板105勝100敗。引退後はニュージーランドで野球連盟のGM補佐、ジュニア代表チームの監督を務めたほか、2019年には沖縄初のプロ球団「琉球ブルーオーシャンズ」の初代監督に就任した。

このニュースに関するつぶやき

  • くだらん伝統を30年もし続けとんがヤバいやろ。
    • イイネ!0
    • コメント 0件

つぶやき一覧へ(2件)

ランキングスポーツ

前日のランキングへ

ニュース設定