能登半島地震の影響は、海女が素潜り漁を行なってきた豊かな海にも広がっています。海底から1列で噴き出す「泡」や、海藻に降り積もる泥など、地震で起きた異変をJNNのカメラがとらえました。
輪島の海女漁保存振興会 門木奈津希 会長
「何?何?何?やったね。気持ち悪かったです」
石川県輪島市で素潜り漁を続けてきた海女。能登半島地震の後、海で起きた異変を目の当たりにしています。
門木奈津希 会長
「砂地から出ていたので、ポコポコ出ているので砂ほじってみたり」
海底から噴き出しているという「泡」。九州大学の菅浩伸教授は、その謎に迫る調査を行ないました。
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九州大学 浅海底フロンティア研究センター 菅浩伸 教授
「一体この気体がどういう成分なのか。まず第一に漁業者の方々には、害がないのかどうかというところ。一番心配されていますので、それを調べる」
輪島市沖の水深20メートルの海に潜ってみると…
報告
「人間の吐く息と変わらない大量の泡が、海底のいたるところから湧き出ています」
泡は1列になって噴き出していました。
水深15メートルにも泡の列が…。生物が付着しておらず、最近できたとみられる岩盤の割れ目から出ていました。九州大学は、この泡を採取して成分などを調べています。
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分析の中間結果が輪島の海女らに報告されました。
菅浩伸 教授
「いわゆる危ない元素は含まれていないということは分かりました」
能登の海では、別の問題も浮上しています。
報告
「地震から8か月たちますが、海藻の表面には細かい泥が堆積しています」
海底の藻類や貝類を覆う細かい泥。菅教授が6月に調査した時よりも増えているということです。土砂崩れが起きたところから、梅雨の雨などで流れ込んだとみられています。
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菅浩伸 教授
「岩の上に生えている藻類、それから貝類の上に細かい土砂がたまってくると、ふたをしたような状態になる。ある意味で窒息してしまう」
さらに、水中ドローンで水深50メートルの海底を撮影してみると…
九州大学 三納正美 准教授
「10センチか20センチくらいの段差的な地形が、連続的に走っているのが見えました」
輪島港の沖、およそ3キロの海底で活断層の可能性がある段差が見つかりました。
毎年7月から9月に漁を行なってきた海女。今年は試験的な漁は行なったものの、環境の変化で漁ができない状況が続いています。
海女 山岸美咲さん
「今こうなって初めてやっぱり海好きだった。いやいや行っていたつもりだったけど」
門木奈津希 会長
「当たり前が当たり前じゃなくなった。もとの海女漁に早く戻ってほしいです」
海にも残る地震の爪痕。豊かな海で海女が再び漁をできるのは、いつになるのでしょうか。