芸人ヒロシも訪れた電気、水道のない無人島…記者がぼっちサバイバルキャンプ体験 世間と隔絶された24時間で見つけた「楽しみ」

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2024年09月20日 16:10  まいどなニュース

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まいどなニュース

プライベートの携帯電話はあえて持たなかった。社会から隔絶された不安とすがすがしさが入り交じる

 島根県松江市内にある無人島の野営場が玄人キャンパーに注目されている。大橋川に浮かぶ狐森島(きつねもりじま)。キャンプ好きで知られる芸人ヒロシさんも訪れた。電気や水道などライフラインなどはなく、船で渡された後、約24時間のサバイバルが始まる。記者もスマホを手放し、世間と隔絶された1日を過ごした。文明品がない環境で感じたものとは…。

【写真】無人島で緑のトンネルをくぐる記者

スマホを置いて乗船

 午前10時半ごろ、矢田渡船観光(松江市朝酌町)の朝酌乗船場(同)に着くと渡し船のスタッフが出迎えてくれた。「さあ行きましょう」。年季が入った味わい深い船に乗り込んだ。スマホは乗用車に置いていった。

 向かう先は、大橋川と朝酌川などの合流地点にある東西約1キロ、南北約100メートルの三角形の島だ。出航して5分すると姿を現し、杉林や草原が見えてきた。

 島に上陸。島や野営スペース、簡易トイレの説明をしてくれたスタッフが「それでは自由に過ごしてください」と、さっそうと船に乗り込み帰って行った。

諦めのスイッチ作動

 取り残された感がかえって新鮮だ。木々が揺らぐ音、小鳥のさえずりが耳に入るだけの静寂に包まれた。「ここには何もない」。良い意味で諦めのスイッチが入った気がした。

 この日は降雨の可能性もあり、安全に過ごすために妙に頭が働いた。やるべき優先順位は明確で、杉林の中に進み、タープをくくりつけて雨露をしのぐスペースを作り、テントを張る。

 続いて落ちた枝を拾い集め、倒木をのこぎりで切り取り、一夜を過ごせるだけの燃料を確保。大げさだが「生きる」に全集中する感覚が楽しい。

生命にフォーカス キジと散歩

 たき火台に火を付けて腹ごしらえを終えるとまだ午後1時半。ここから「自由時間」が始まる。いつもなら仕事や子育て、スマホチェックなどをするが、それがない。まったくの空白である。

 釣りざおでも持ってくればよかったと思いつつ、岸壁で椅子に座る。大橋川の水面を跳びはねる魚、水鳥が行き交う様子、トンビがカラスとケンカする様子をただただ観察する。さまざまな命があるのだなあ、と胸がじんわりした。

 ひたすらボーっとたたずんでいると背後にキジの姿。ゆっくりと追いかけながら散歩した。

 読書も進んだ。日が暮れると、たき火を使っての夕食の時間だ。一般のキャンプ場のように周囲に気を使うことはない。炎の揺らめきを見ながら、ちびりちびりと酒を飲む。家族の顔が浮かび、これまでの人生や今後のことにも思いをはせる。

 えも言えない夜を過ごし、翌朝は小鳥のさえずりで目を覚ました。

(まいどなニュース/山陰中央新報)

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