「スラム街の“放浪者”は、斯くしてバルセロナへの愛を宣言する」 今季絶好調のハフィーニャを現地紙が特集

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2024年09月24日 16:51  サッカーキング

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今シーズン絶好調のFWハフィーニャ [写真]=Getty Images
 スペイン紙『マルカ』は23日、「ハフィーニャ、スラム街の“放浪者”は、斯くしてバルセロナへの愛を宣言する」と題し、ここまで絶好調を維持するバルセロナのFWハフィーニャに関する特集記事を公開。過去に実施された複数メディアのインタビューも引用しつつ、同選手の半生を紹介している。

 22日のビジャレアル戦後、ドブレーテの活躍を見せたハフィーニャは「バルセロナは僕にとって特別なクラブなんだ」と口にした。1996年12月14日生まれの現在27歳。2016年2月に、母国ブラジルのアヴァイの下部組織からポルトガルに渡り、ヴィトーリア・ギマランイスの下部組織に入団すると、翌月にトップチームデビューを果たした。そして、スポルティングとレンヌを経て加入したリーズで大成し、2022年夏にブラウグラナに到着。ハンジ・フリック監督が就任した今シーズンは、より一層存在感を発揮しており、すでに昨シーズンの公式戦得点数の半分にあたる5得点を記録している他、ラ・リーガにおける8月度の月間最優秀選手に選出されるなど、リーグ戦開幕6連勝の原動力となっている。

 加入当初から憧れのクラブであることを公言するとともに、その理由として自身の“アイドル”の存在を挙げていたハフィーニャ。2022年には、「リーズ時代にもたくさんのオファーが届いたけど、自分が何を望んでいるのかをよく分かっていた。子供の頃のアイドルがバルセロナでプレーしていたから、ここに来るのが夢だったし、それを実現するための努力を惜しむつもりはなかった」とし、「ロナウジーニョは僕のアイドルのひとりで、それはバルセロナのシャツを身にまとっていた。ここに来るまで話すことはできなかったけど、きっと彼は僕に夢を追いかけるように言ってくれただろう」と明かしていた。

 そんなハフィーニャの、ファンタジスタに夢見た少年のルーツは、“ファヴェーラ(ブラジルにおけるスラム街を指す言葉)”にあった。「僕はレスティンガ(ポルト・アレグレ南地区)の出身なんだけど、そこでは自分の道を進み、迷わないようにするのが難しいんだ。色々な機会が巡ってくる。お金を簡単に稼げることを約束するようなものがね。そこで、人生の迷宮へと足を踏み入れてしまう。僕は道を外れたことはなかったけど、そういった人々を見てきたし、一緒に歩んでもきた」と告白。続けて「犯罪の世界、麻薬取引で多くの友人を失った…。僕より10倍もプレーが上手で、ビッグクラブにいたかもしれない人たちのことだ」と悪事が跋扈する故郷の実情を詳らかにした。

 ただ一方で、そのような環境だったからこそ“自分を保つ力”を身につけることができたともいう。「僕は幼い頃から、フットボーラーになりたいという目標があった。地元を離れ、夢を追いかけるには大きな犠牲を伴う。でもね、僕の野心はもっと大きかったんだ。決して道を逸れることはなかった。もし今、僕のプレーが魔法のようだと語られるのなら、僕はこう言うよ…。これが本当の魔法だって」と述懐していた。

 また、2022年に実施されたイギリスメディア『スカイスポーツ』のインタビュー内でも、「スラム街の現実は、イギリスやヨーロッパとは大きく異なる。あそこでは、国やその他の地域から切り離されたように感じるんだ」と口にした同選手は、「お金を稼ぐ最も簡単な方法は、しばしば間違ったもの」と吐露。その過程において「亡くなった幼馴染もいるし、麻薬密売に関わった人もいる。そのすべてが僕の心に引っかかっているよ」とやるせない思いを明かしていた。

 それでも最後に、ハフィーニャは「フットボールが僕を救ってくれた。フットボールのおかげで僕は人生を変えることができたし、同じような出身、境遇に遭うかもしれない子供や大人にとっての模範となることができたと思っている」と自身の人生に思いを巡らせている。

 まっすぐに歩き続けた先で、ブラウグラナのシャツを身にまとう夢を叶えたハフィーニャ。バルセロナへの愛を語るとき、隔絶されたスラム街に生きる子供たちの道標になっているはずだ。

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