自民党の石破茂総裁(67)は1日召集の臨時国会で第102代首相に指名された。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、自民、公明両党連立による石破内閣が発足した。石破首相は首相官邸で記者会見に臨み、衆院を9日に解散し、衆院選を「15日公示―27日投開票」の日程で行うと表明。内閣を「納得と共感内閣」と位置付けた。
首相は会見で、衆院選について「この内閣を信任いただけるか、他の選択があるかを国民に問うのが大義だ」と説明。内閣の基本方針は(1)ルール(2)日本(3)国民(4)地方(5)若者・女性の機会―の五つを守ることだと説明し、「謙虚で誠実で温かい政治を行っていく」と語った。
また、経済政策に関し「デフレ脱却最優先の経済財政運営を行う。岸田政権が進めた経済政策を引き継ぐ」と強調。経済対策を早期に取りまとめ、低所得者向けの給付金など物価高への緊急対策を盛り込む考えを示した。
林芳正官房長官(63)は1日夜の記者会見で、副大臣・政務官人事を3日に行うと発表した。
首相は4日に衆参両院本会議で所信表明演説に臨む。与党は国会会期を9日までとすることを決定。野党に対し7、8両日に演説に対する各党代表質問、9日に党首討論を行う日程を提案したが、合意には至らなかった。
首相は衆参本会議で指名を受けた後、官邸で公明党の石井啓一代表と会談した。組閣本部を設置し新内閣の顔触れを正式に決定。林氏が閣僚名簿を発表した。
首相は、財務相に加藤勝信元官房長官(68)を起用。総務相に村上誠一郎元行政改革担当相(72)、外相に岩屋毅元防衛相(67)を充て、防衛相には中谷元氏(66)を再登板させた。
国土交通相は公明の斉藤鉄夫副代表(72)を再任。閣僚19人のうち初入閣は13人で、文部科学相に阿部俊子衆院議員(65)、こども政策担当相に三原じゅん子参院議員(60)が就いた。
首相は、岸田政権に引き続いて賃上げに取り組むため「賃金向上担当」を新設。総裁選で掲げた「防災庁」設置準備担当とともに、赤沢亮正経済再生担当相(63)に兼務させた。地方の人口減少対策強化に向け「新しい地方経済・生活環境創生本部」も設け、伊東良孝地方創生担当相(75)が担う。
記者会見する石破茂首相=1日午後、首相官邸
初閣議を終え、記念撮影する石破茂首相(前列中央)と閣僚ら=1日午後、首相官邸