ウルフ・アロン出場の国民スポーツ大会、名称が変わっても変わらない“問題点”

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2024年10月20日 16:01  日刊サイゾー

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ウルフ・アロン(写真/Getty Imagesより)

 10月5日から15日まで、国内で毎年開催されるスポーツの祭典『国民スポーツ大会(国スポ)』が佐賀市のSAGAアリーナなどで行われ、13日に行われた柔道の成年男子の部では、佐賀が決勝で茨城に勝利、初優勝を果たした。

 都道府県対抗で行われる同大会は冬季大会と秋の本大会の通算で争われ、男女総合成績第1位の都道府県には天皇杯が、女子総合成績第1位の都道府県に皇后杯が授与されることでも知られている。

 柔道成年男子で優勝した佐賀は、2021年東京五輪男子100キロ級金メダル、24年パリ五輪混合団体銀メダルのウルフ・アロンを副将に据え、茨城との決勝では先鋒から中堅まで引き分けた後、ウルフによる豪快な足技が炸裂し、一本勝ち。昨年の準決勝で敗れた茨城に1-0で勝利した。各メディアの取材にウルフは「チーム一丸で優勝できてうれしいし、本当に楽しい一日だった」と笑顔で優勝を喜んだという。

「東京都出身のウルフだが、大会開催地の佐賀県からオファーを受けて出場を決意。2回戦から決勝までの4試合全勝で優勝に貢献したが、言うまでもなく実力が飛び抜けているので負けるはずがない。とはいえ、開催都道府県が強力な助っ人を補強できる国スポのルールは以前から問題視されていた」(スポーツ紙記者)

 昨年の鹿児島大会までは『国民体育大会(国体)』の名称で知られていた国スポだが……。

「開催都道府県が天皇杯と皇后杯をWで獲得することが多く、2000年以降では、開催23回のうち20回で開催地が天皇杯を獲得していた。02年高知国体で、当時の橋本大二郎知事が過剰な強化をしない方針を示したが、その後も流れが大きく変わることはなく、今回は佐賀が天皇杯を獲得すべく、ウルフの投入に至ったのだろう」(ベテランスポーツライター)

 すでに、来年の滋賀、その先は2030年の島根まで開催値が決定しているが、「国体」から「国スポ」に名称が変わっても“本質”はまったく変わっていないようだ。

「先々までの開催が決まっているので、その開催の年に合わせた強化計画を立てやすいのも特徴。それゆえ昔から、開催値を渡り歩く選手もおり、“渡り鳥”“ジプシー”などと呼ばれるようになってしまった。一方で、高校生が参加できる『少年男子・女子』の場合、好成績を残せば大学推薦に優位に働くというメリットもある。そして、『成年男子・女子』でも記録を争う個人競技ならば、自己記録の更新を目指すことにより、五輪や世界大会などさらに上の大会につながるモチベーションとなるが、柔道のような団体競技ならば、いくら国スポで優勝したところで、その先の大会につながるわけではない。なので個人競技の選手に比べてそこまでモチベーションが上がるはずがないし、逆にケガをしてその後の競技生活に支障をきたすリスクがある。開催都道府県の名誉のために“特別ルール”での強化が認められてしまっているので、もはや開催の意義を問われかねない状況になっている」(同)

 来年の開催地・滋賀がどんな大物助っ人を投入するのかが注目される。

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