テスト参加の太田格之進にIMSA参戦の可能性は? シリーズとアキュラの現状をおさらい&妄想

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2024年10月30日 19:20  AUTOSPORT web

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2024年は、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティが走らせたアキュラARX-06。2025年はメイヤー・シャンク・レーシングがオペレートする
 10月29日、突如発表された太田格之進のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のデイトナテストへの参加。ホンダの北米におけるラグジュアリーブランドであるアキュラのGTP車両『アキュラARX-06』のステアリングを握り、11月15〜16日、フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイを走行するという。

 本稿では、このテストへの太田の参加が持つ『意味』、そして太田をはじめとした日本人ドライバーの将来的なIMSA参戦の可能性について、期待を込めつつ現在の状況を整理してみたい。

■カギを握る2025年の“役割拡大”

 IMSAのウェザーテック選手権は北米におけるスポーツカーレースの頂点であり、その最高峰クラスであるGTPにはアキュラをはじめ、BMW、キャデラック、ポルシェ、ランボルギーニがLMDh規定の車両を送り込んでいる。このLMDh規定の車両はWEC世界耐久選手権のハイパーカークラスにも参戦が可能で、実際にアキュラ以外のすべてのメーカーが、ル・マン24時間レースを含むWECにも参戦中だ。

 アキュラのARX-06は、フランスのオレカのLMP2シャシーをベースとし、2.4リッターV6ターボエンジンと、LMDh規定による共通ハイブリッドシステムを搭載。GTP元年となった2023年は、メイヤー・シャンク・レーシング(MSR)、ウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティ・オートスポーツがそれぞれ1台ずつを走らせ、デビューレースとなったデイトナ24時間ではいきなりワン・ツー・フィニッシュを達成した(ただし、優勝したMSRには後に不正が発覚し、ポイントは剥奪)。

 2024年はウェイン・テイラー・レーシング・ウィズ・アンドレッティの2台体制となったアキュラARX-06だが、2025年はMSRと再び提携し、2台を走らせることが発表済みだ。

 ここでキーポイントとなるのは、この提携のなかでHRC USの『役割』が拡大され、2台のうち1台はHRC USのスタッフがレース・エンジニアリング、戦略、パフォーマンス・エンジニアリングを担当することだ。

 アメリカでホンダ/アキュラブランドのモータースポーツ活動を担ってきたホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)は2023年12月に名称を変更し、ホンダ・レーシング・コーポレーションUSA(HRC US)となった。これによりHRC USは、日本のHRCと連携しながら、F1を含むグローバルな四輪モータースポーツ活動に携わっている。

 完全なファクトリープログラムではないとはいえ、2025年のMSRの活動においてHRC USの役割が拡大されるということは、ドライバー起用についてもHRC US、ひいては日本のHRCの意向が反映させやすい状況であると推測できる。

 そして、ウェザーテック選手権内の長距離耐久戦で構成される『ミシュラン・エンデュランス・カップ』(デイトナ24時間、セブリング12時間、ワトキンス・グレン6時間、インディアナポリス6時間、プチ・ル・マン10時間)では3人目のドライバーを登録することが通例となっているほか、1月のデイトナ24時間では多くの陣営が4人目のドライバーを起用する。

 とく1月最終週に行われるデイトナは、世界の他のレースシリーズの開幕前とあり、過去にも多くのビッグネームが“助っ人”として出場してきたが、日本のレースを戦うドライバーにとっても、(スーパーGTのセパン等のオフシーズンテストを除けば)比較的渡米がしやすい日程と言える。実際、来年は3年ぶりに小林可夢偉もキャデラックからのスポット参戦が決まっている。

 その中でMSRは、2025シーズンを戦う2台のラインアップについて、通年参戦する2名ずつ、計4名のドライバーしか現時点では発表していない。各車の耐久レース向けの3人目、およびデイトナでの4人目のドライバーについては、『空席』状態なのだ。

 以上のことから、11月のデイトナテストで太田が好走を見せれば、最速で『2025年デイトナ24時間でIMSAデビュー』という夢も描けるのではないだろうか。

 もちろん、オーバルを使用したコースレイアウト、60台以上のマシンによる強烈なトラフィックやIMSAならではのセーフティカー手順、そして北半球の冬季に開催されることによる夜間走行の長さなど、スポーツカーの最高峰カテゴリーデビューの場として、デイトナは相当にタフであることは間違いない。ただ、可能性はゼロではないだろう。

 2024年1月にデイトナ24時間レースを訪れたHRCの渡辺康治社長は、「スーパーGTをやっているドライバーたちの中に『GTPにチャレンジしたい』という人はいるのか?」との問いに対し、次のようのコメントしていた。

「いると思います。速度の違う多種のクルマが一緒に走っているレースはスーパーフォーミュラだけをやっている人には非常に難しいと思いますが、日本のGT300とGT500がある混走のレースでしっかりとマシンが操れる人であれば、アメリカのレースでもうまくドライバーとして務め上げることが可能でしょう。ぜひトライさせてみたいな、と思います」

 スーパーフォーミュラでは昨年最終戦に初優勝を飾り、GT500もすでに2年目のシーズンを過ごしている太田にとって、IMSAのGTPクラスは格好の『次なるステップ』とも位置付けられる。また、テスト参加発表時のSNSでの受け答えからも分かるように、流暢な英語を操る太田は、コミュニケーションの面も問題ないだろう。

 果たして、テスト参加の先に、太田のIMSAレースデビューはあるのだろうか。その先に存在するであろう『ル・マン』や『インディ』、そして『F1』という“扉”までもが気にはなってしまうところだが、まずは11月のテストの結果を楽しみに見守りたい。

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