俳優の橋本愛が主演を務めた映画『早乙女カナコの場合は』が、来年(2025年)3月、劇場公開されることが発表された。本作で描かれる恋愛の相手役と中川大志が務め、橋本と初共演している。原作は、作家・柚木麻子氏が12年に上梓した小説『早稲女、女、男』(祥伝社文庫)。監督は、矢崎仁司が務めた。
【場面写真】家で2人だけの「お祝い」をするシーン 本作で橋本が演じたのは、男勝りで過剰な自意識ゆえに素直に甘えることができず、本当は誰よりも純粋で不器用な主人公・早乙女カナコ。映画では、演劇サークルの先輩・長津田との10年にわたる恋愛模様を中心に、彼女たちと周囲の人々が右往左往しながらも各々が自分を見つめ直していく姿が描かれる。
橋本は「男とか、女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって。でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!」と、本作を通して気付かされた思いを明かしている。
カナコと付かず離れずの関係を続けているうだつが上がらない脚本家志望の学生・長津田役を演じる中川は「長津田というキャラクターを知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミングです。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました」と役柄について触れ、「映画の中で流れていく時間、変化していく季節が、苦しくも心地よかったです」と撮影時を振り返っている。
原作者の柚木氏は「あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった」と称賛のコメントを贈っている。
矢崎監督(映画『ストロベリーショートケイクス』、『スイートリトルライズ』、『さくら』など)は、5年ぶりの新作となる本作について、「物語より、光景の積み重ねこそが、観る人の心に触れると信じて映画を作り続けてきました。素晴らしいスタッフとの出会いで光景が映し撮れたと思います」と出来上がりに自信をのぞかせている。
あわせて解禁となった場面写真は、映画『愛なのに』、『まなみ100%』、『市子』等のスチールの他、雑誌、広告、カタログ、アーティスト写真など幅広く活動している写真家の柴崎まどかが撮り下ろしたもの。大学でカナコと長津田が手を取り合ってダンスをするシーンや家で2人だけの「お祝い」をするシーンの2点は、恋愛中のカナコと長津田の姿を切り取ったもの。各々のワンショットもある。
■あらすじ
大学進学と同時に友達と二人暮らしを始めた早乙女カナコ。入学式で演劇サークル「チャリングクロス」で脚本家を目指す長津田と出会い、そのまま付き合うことに。
就職活動を終え、念願の大手出版社に就職が決まる。長津田とも4年の付き合いになるが、このところ口げんかが絶えない。長津田は、口ばかりで脚本を最後まで書かず、卒業もする気はなさそう。サークルに入ってきた女子大の1年生・麻衣子と浮気疑惑さえある。
そんなとき、カナコは内定先の先輩・吉沢から告白される。編集者になる夢を追うカナコは、長津田の生き方とだんだんとすれ違っていく。大学入学から10年―それぞれが抱える葛藤、迷い、そして2人の恋の行方は…。
■橋本愛(早乙女カナコ役)のコメント(全文)
大学に通えなかった自分にとって、この作品はあらかじめ失われた青春を取り戻すかのような……というほど甘酸っぱい話でもないのですが、全く知らない世界を手探りで途方もなく歩く感覚、でした。
男とか、女とか、そのグラデーションとか、自意識、愚かさ、狡猾さとか、そんなものがわっと湧き上がってきて、葛藤して、ぐちゃぐちゃになって。でもそれこそがオリジナルで、そして何でもない自分自身なのだと、そんなふうに思ったんです。全然大人になんてなってなかった!
■中川大志(長津田啓士役)のコメント(全文)
長津田というキャラクターを知れば知るほど人間の奥深さが出てきて、とてもチャーミングです。この役は僕にとってまた新たな挑戦でもありました。映画の中で流れていく時間、変化していく季節が、苦しくも心地よかったです。
■矢崎仁司(監督)のコメント(全文)
物語より、光景の積み重ねこそが、観る人の心に触れると信じて映画を作り続けてきました。素晴らしいスタッフとの出会いで光景が映し撮れたと思います。ぼんやりした不安の世界をサバイブする彼、彼女たちに会いに来てください。きっと元気になれる。見えない鎖を解き放つ作品になるとうれしいです。
■柚木麻子(原作)のコメント(全文)
あまりにも美しい愛についての映画で自分の原作かどうか、疑ってしまった。