『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』を支えるチーム力と情熱を見た! 桐谷健太は二宮とB’zに直談判 !?

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2024年11月19日 22:01  日刊サイゾー

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 サイゾー文芸部から出版された沖田臥竜氏の小説『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』がドラマ化され、『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』(以下、『闇を生きる〜』)として、11月7日からABEMAで放送されている。予算面も含めて、ABEMAが本気を出して制作したオリジナルドラマだけあって、すでにエンタテイメント作品としての総合的なクオリティの高さに唸る視聴者が続出しているようだ。

 「インフォーマ」と呼ばれる辣腕情報屋の木原慶次郎(桐谷健太)が、奇っ怪な事件の裏に横たわる「巨大な闇」に切り込んでいく展開は昨年1月にカンテレで放送された前作『インフォーマ』(以下、シーズン1)と同じだが、『闇を生きる〜』では、物語も映像も、そしてキャストもさらにスケールアップ。海外を舞台にしたダイナミックな数々のアクションシーンや、誰もが主人公になりうるような個性的な人物が数多く顔を見せ、物語に重厚感と圧倒的なエンタメ性を加えている。

 放送はまもなく第3話を迎えるが、「インフォーマ」を名乗り、闇バイトを使ってあるデータを強奪した鬼塚拓真(池内博之)の正体やその狙いが今後明らかになっていくはずだ。そして、二宮和也が演じる警察官僚の高野龍之介も、この謎のデータに関係しているだろう匂いを放ちながら存在感を増してきている。彼らが抱える過去と、木原がどうリンクしているのか——。

  このドラマは、とにかく登場人物が個性的かつ魅力的で、それを生み出す俳優陣の演技も出色だ。木原の相棒で、週刊誌記者の三島寛治は、「ポンコツ」の面目躍如とばかり、すでにシーズン1以上の「活躍」を見せており、演じる佐野玲於は文字通り、体を張った熱演をしている。そして今回、木原・三島のコンビに新たに加わったのが、莉子が演じる広瀬だ。彼女は単なる通訳兼助手とは思えないが、果たしてどんな活躍を見せてくれるのか。

 そんな物語を支える主要キャストの桐谷さん、佐野さん、莉子さん、池内さん、二宮さんの5人と、原作・監修を務めた沖田さん、プロデューサーの藤井道人さん、監督の逢坂元さんが一同に会したイベントが、初回放送の前日11月6日に渋谷駅前で行われている。約200人のファンと多くのメディア関係者を前に行われた、この「『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』放送前日プレミアイベント」に当サイト記者も参加できたので、ここでは、登壇者の口から出た印象深い言葉やエピソードを紹介していきたい。

 沖田さんの「今年は『インフォーマ』で締めくくってくれたら、ありがたいです」という言葉でスタートしたプレミアイベント。

 それを受けて、座長である桐谷さんは、「スタッフ、キャスト一丸となって本当にパワーのある作品ができました」と自信をのぞかせた。続いて佐野さんが「海外の撮影も含めて、なかなかできない経験ばかりだった。この熱い作品が皆さんに届くことを願っています」と語り、池内さんは「4話まで先に見させてもらいましたが、めちゃくちゃおもしろいです」と断言した。そして、本作に脇役として出演することが話題となった二宮さんは「前作のおもしろさに圧倒されて、酔い続けた『インフォーマ』に出させていただくのは光栄」と、モチベーションの高さをうかがわせた。

 その二宮さんは、あるインタビューで『インフォーマ』への出演は、桐谷さんからの直接オファーがあったから受けたことを明かしている。二宮さんは『インフォーマ』ファンではあるが、他のドラマの撮影スケジュールとの兼ね合いもあり、本来はオファーを受けられなかったが、親友でもある桐谷さんに「高野っていう役はニノしかありえへんねん」と説得され、承諾したというのだ。

 結果、二宮さんにとっても新境地ともいえる役どころになったのではないだろうか。ここまでの放送回では、有能な警察官僚である高野を淡々と演じているが、彼は明らかに「正義」とは異なる薄暗い影をまとっている。その存在が今後の展開の鍵になることは間違いないだろう。

 桐谷さんが直接、二宮さんを口説いたことでもわかる通り、今回の続編は、制作陣のみならず、キャストたちの強い意欲が相まって実現したようだ。

 続編について、沖田さんが「おかげさまで、シーズン1はNetflixのドラマランキングで2位を獲得しましたが、藤井さんとも『次は1位を取らなくては』という話になって、すぐに動き出しました」と舞台裏を明かすと、これに呼応するように桐谷さんは「まだ続編が決まる前、シーズン1のキャンペーンで、(佐野)玲於とラジオで共演したのですが、そのとき、続編をやるとしたら、木原とポンコツが東南アジアを歩いているのが目に浮かぶね、みたいな話をしていたんです。そうしたら、(藤井さんから)『次はタイでやりませんか?』という話が来ました」「夢が叶ったと思った」というエピソードを明かしている。

 当サイトがシーズン1放映中の昨年3月に佐野さんと沖田さんの対談を取材した際、続編の可能性を問われて、佐野さんは「桐谷さんとも現場でずっと続編の話をしていて、『次はタイあたりで撮りたいなぁ』って」と語っている。この場にいた沖田さんは、その後、前述したラジオも聞いており、タイで撮影したいという2人の願望を汲み取っていたのだろう。続編実現へ向けた仕掛け人として奔走した沖田さんが、藤井さんとともに、積極的にその舞台を整えたであろうことは想像に難くない。

 佐野さんはイベントでも「健太さんと続編に向けて、発展した話をしていたことが、今作ではほとんど叶った。『言霊』ってあるんだなと思いました」と感慨深く語っており、言葉にし続けることで、夢が達成に向けて動き出すという特別なエネルギーを実感したようだ。

 このように思考は現実化する。「引き寄せの法則」を持ち出す必要までもなく、想いは相手に届くものだ。
 
 桐谷さんが披露してくれた、『闇を生きる〜』の主題歌になっているB’zの『鞭(むち)』にまつわるエピソードからも、それを感じさせてくれた。

「続編をやると決まったときに、あらためてシーズン1を見直してみたら、主題歌がなかったんです。その時、今回はB’zさんにやってもらいたいと、ビビビと来たんです。そこで藤井さんにも相談したあと、偶然か必然か、おそらく必然なんですが、B’zさんの知人の方と知り合うことができたんです」(桐谷さん)

 その後、この知人を介して、B’zとの交友を深めた桐谷さんは、満を持してテーマ曲の依頼を実行。すると、B’zの2人はシーズン1を鑑賞して気に入ってくれており、オファーを快諾してくれたというのだ。「稲葉さんはシーズン1を見て、物語にあった歌詞を書いてくれました」(桐谷さん)というだけあって、『闇に生きる〜』における『鞭』のハマり具合は秀逸。作品が持つ熱量とテンポをさらに押し上げる効果を見事に果たしている。


トゥクトゥクでのカーチェイスからの川へのダイブ!などアクションシーン満載の第二話

 主演俳優という枠と超え、作品の座長として、二宮さんやB’zを自ら口説くというリーダーシップを発揮してきた桐谷さん。彼はさまざまなインタビューで、シーズン1から続く『インフォーマ』チームの能力の高さや結束力の強さを口にしているが、そんなチームで最高の作品を残したいという思いが、そうした主体的な行動につながっているのだろう。事実、キャスト、スタッフの枠を超えたチームワークのよさは、今回のイベントからも十分に伝わってきた。

「撮影時のマル秘エピソードを聞かせてください」と司会者に登壇者に振られたときだ。沖田さんが「移動の新幹線がシーズン1のときは自由席だったけど、今回はグリーン席になった。売れるとはこういうことだと思った」と冗談交じりに語ると、藤井さんは「シーズン1に続き、今回も冒頭シーンで(佐野)玲於くんが、木原せいでトラブルに巻き込まれるシーンを入れたいと思った。いじめられる玲於くんが好きなので(笑)。せっかくならタイで銃撃戦に巻き込まれるようなかたちもいいなと思って、沖田先生に書いてもらいました」と、原作者との連携のよさを強調。

 実際に『闇を生きる〜』では、バンコクの街角で激しい銃撃戦が繰り広げられることになるのだが、そのほかにもバンコクのロケーションを活かした激しいアクションシーンが目白押しとなっている。

 派手な映像作りを得意とする逢坂監督は印象深い撮影エピソードとして、「シーズン1よりすべてがスケールアップしているが、たとえば、日本では絶対にできないような、大通りを完全封鎖して、トゥクトゥクでのカーチェイスを撮ることができた」ことを挙げ、桐谷さんも「トゥクトゥクでカーチェイスした挙げ句、地元の人でも入らない川にダイブして、現地スタッフに『クレイジーだね』と呆れられたこと」「タイの廃刑務所で囚人役だった現地のコワモテ約50人と記念撮影して、その写真をニノに送ったこと」をバンコクロケの思い出として振り返っていた。

 また、佐野さんによると、この囚人役のコワモテたちは撮影が延び、お昼ご飯の時間が押したことで明らかに怒っていたようで、「みんないい人たちなのですが、素肌のほうが少ないくらい肌に色々描かれていて、タイ語で不満を漏らしているんだけど、その様子がとても怖かった」そうだ。

 そして、劇中のポンコツさながらに、気弱そうなエピソードを披露する佐野さんに対して、莉子さんも容赦なくエピソードを被せる。

「佐野さんが、お風呂からパンツ一丁で出てきて、私の前で慌ててバスローブで隠すというシーンがあったんですけど、3回目くらいの撮影になると全然隠せてなくて……お互い大爆笑してました」

 対して、佐野さんは「タイの暑さで麻痺してて、隠す気もなくなっていて……かわいい柄のパンツだったし」と、見事(?)な切り返しを見せていた。

 一方、逢坂監督は「佐野さんには、ドブ川に落としたり、裸にしたり、拷問したりといろいろ無茶ぶりをしたのですが、NGなしですべて体現してくれました」と、その役者魂と評価。佐野さんは「藤井さんや(逢坂)元さんはドSで、僕がドMかもしれないです(笑)」と切り返し、「プライベートも含めて、スタッフとの信頼関係があるからできたこと」と振り返った。

 ちなみに、そのほかの「マル秘エピソード」として、池内さんは「タイで自分と同じ大きさのイグアナみたいな生物に遭遇したこと」、二宮さんは「(国内で)夕方から朝にかけての過酷な撮影があったのですが、スタッフがみんな『タイのほうが辛かった』『タイの方が……』と、タイ、タイ言っていたのが呪文のようで。タイでの過酷さを乗り越えてこそ、日本パートでの撮影を自信をもってやれている現場が気持ちよかった」と語り、ここでも『インフォーマ』チームの力を高く評価していた。

 この後も、イベントでの各々のトークは盛り上がり、沖田さんが池内さんに対して、「同じ1976年生まれだったので、池内さんからは撮影中に『同級生ですね』と何度も言われたんですが、実は自分は2月生まれ。いい年しながら、内心は常に『俺のほうが1学年上なのに』と思いながら、それを言えずにいました」と告白し、笑いを引き起こしていたかと思えば、そんな沖田さんが実は、原作となる小説の土台をわずか1カ月で書き上げたという逸話を藤井さんが披露。

「(あがってきた原作が)今の時代にタイムリーな内容になっている。ドラマ公開されるときは、社会がこうなっているんじゃないかという1.5歩先を読む力がある」とその創造力に舌を巻いていた。事実、物語は闇バイトによる強盗殺人事件が発端となっているが、こうした惨劇が現在、実社会で頻発していることは説明するまでもないだろう。高いエンタメ性と共存するこうしたシビアなリアリティも『闇を生きる〜』の大きな魅力といえそうだ。

 そんな沖田さんは、爆速で小説を書き上げたことについて、「スピードは自分の武器。物書きとして、そこでは負けられないという気持ちが強いです。熱は出ますが、『インフォーマ』の続編を書くという情熱で乗りきました」と、自らが生み出した『インフォーマ』への強い思いを語ってくれた。

 原作者、プロデューサー、監督、主要キャストが和気あいあいとしながらも、誰もが作品への情熱を口にする。それが決してビジネストークでないことも伝わってくる放送前日プレミアイベントだった。

 そして、イベントの最後に用意された質疑応答の時間に、当サイト記者が沖田さんと藤井さんに「気が早いですが、シーズン3は考えていますか?」との質問をぶつけて見ると……。

 沖田さん「藤井さんとそれは話していて、『2つやりたいことがある』と提案したのですが、そのうちひとつはあっさり却下されて、『あ〜あ』って……(笑)。ただ、まずは今回の作品で反響を得て、実績を残して、周りから求められてから、(次回作への動きは)始めたい。その準備はできています」

 藤井さん「(桐谷)健太さんからも、今作のオールアップ後に『藤井くん、シーズン3なんやけど』ってすごい熱量で話してきてくれて。きっと健太さんの中でも、木原というのがすごい大事なキャラなんだという思いも受け止めています。なので、健太さんとは、今作を配信してから一度話をしましょうと」

 そんな2人の言葉を受けて、座長である桐谷さんはこんな言葉で締めくくった。

「もちろん、さらに続編が作れればいいなという気持ちがありますけど、まずは『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』を見ていただきたいなという想いのほうが今はすごく強いです」

 『インフォーマ -闇を生きる獣たち-』は、年末に用意されたエンディングに向け、ギアチェンジを繰り返しながらも、見る者をワクワク、ヒヤヒヤさせながら疾走していきそうだ。驚愕のラストシーンが待っているとの情報もある。今年の締めくくりには格好の、強烈な刺激と爽快感を味あわせてくれるだろう。

(文=日刊サイゾー)

原作小説『インフォーマ2  ヒット・アンド・アウェイ』 
沖田臥竜・作/サイゾー文芸・刊/1400円+税
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