「本来、子供の夏風邪として知られる手足口病の感染が、10月になって爆発的に増えました。また、大人への感染も多く、11月になってもそれが続いています」
こう話すのは東京都江戸川区のひまわり医院・院長の伊藤大介先生(内科・皮膚科)だ。
今秋の手足口病の流行は全国的なもので、感染者は昨年の8倍に増えている。大変な猛威を振るっているのだ。
では、なぜここに来て手足口病の発生数が増えたのだろうか。
「夏に流行した手足口病のウイルスはコクサッキーウイルスA6でしたが、秋の流行はコクサッキーウイルスA16というもの。つまりウイルスの型が異なるのです」(前出・伊藤院長)
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今年は韓国や台湾、香港、シンガポールなどでも、手足口病の増加が報告されている。この秋の流行にはインバウンドの影響の可能性もありそうだ。
「弊院に来られる大人の患者さんに、手足口病が急増しているのも実感しています。
マイコプラズマ肺炎や新型コロナ、インフルエンザなども流行しているなか、手足口病が見落とされがちという問題もあります。
また、最初は発疹ではなく、喉の痛みを感じるため、いわゆる風邪を疑って患者さんが来院されることもあります。なかには手足の発疹を、“あせも”だろう、と誤診する場合もあるようです。
そのため手足口病と診断されるまで、患者さんは感染源となり、感染を広げる結果になってしまうのです」(前出・伊藤院長)
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■大人が罹患すると症状が重く、痛みも激しい
手足口病は、手足および口腔粘膜等に現れる水疱疹を主な症状とするウイルス性感染症だ。
乳幼児の間で流行するが、もちろん大人もかかる。大人が罹患すると子供よりも症状が重く、発疹の痛みも非常に強く出やすい。
さらに、全身倦怠感や悪寒、関節痛、筋肉痛などの症状も。
「合併症のリスクもあり、重症化すると髄膜炎、脳炎、心筋炎になることもありますね。手足口病には有効なワクチンや予防薬がないだけに、妊婦や基礎疾患のある高齢者は注意が必要です」(前出・伊藤院長)
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飛沫感染、接触感染、糞便・経口感染が主なので、感染防止には、手洗い、うがいをし、タオルを共有しない。またマスクの着用も必要だ。
症状が消えてからも2〜4週間は便中にウイルスが存在するといわれるので家族間感染もふまえて用心したい。
「11月いっぱいは手足口病の感染が拡大すると見ています」
と、伊藤院長は言う。
感染爆発が懸念される手足口病。今秋はとにかく警戒が必須だ。
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