石破茂首相に立ちはだかる「6つの壁」と「迫る波紋」私たちの暮らしへの影響

1

2024年11月21日 05:00  週刊女性PRIME

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

週刊女性PRIME

国会で所信表明する石破茂首相(10月4日)

「第2次石破政権は“苦労人内閣”です。自民党内で地味に働いてきた議員が起用されました。1次政権とほぼ同じ顔ぶれで、現職閣僚2人が落選するなどしたため一部入れ替えただけです」

 と政治評論家の有馬晴海さんは話す。

石破茂首相が厳しい局面

 石破茂首相が厳しい局面に立たされている。衆院選で自民・公明の与党が過半数を割り込み、野党の協力なしには何の法案も通らない。こども政策相として三原じゅん子参院議員(60)が1次政権に続き入閣。外務政務官に生稲晃子参院議員(56)、内閣府政務官に今井絵理子参院議員(41)が新たに起用された。裏金議員は登用しなかったが、当たり前だろう。

 1つめの壁は、この内閣できちんと仕事ができるかということ。現職閣僚が落選すること自体が珍しく、内閣はグラグラと言わざるをえない。

「三原氏は参院当選3回。永田町では大臣の有資格者は衆院6回生、参院3回生以上なので有資格者ではあります。石破氏は党内の人脈が脆弱で声をかけられる人が少ない。短命内閣とみて“泥舟に乗りたくない”と考えた議員も少なからずいたでしょう。限られた人材から登用したため、内閣発足の記者会見で“適材適所の人事ですか”というお決まりの質問すら出なかったようです」(前出・有馬さん、以下同)

 2つめの壁は、この内閣で臨む衆院の予算委員会だ。委員長ポストは立憲民主党の安住淳氏(62)に握られている。

「予算委員会は全閣僚出席のもと、委員長が答弁者を指名します。閣僚としてまともに質問に答えられず、野党議員に追及されても“助け舟”は出せなくなります。石破氏も同じで、“総理が答えてください”としつこく迫られる場面が予想されます」

 予算委員会はテレビ中継されるため、答えられないと、みっともない姿を国民にさらけ出すことになる。

 3つめの壁は、所得税が課税される年収『103万円の壁』をめぐる与野党の攻防だ。

 手取りを増やすと公約した国民民主党の玉木雄一郎代表(55)は不倫報道をおおむね認めて評価を下げたが、ジャーナリストの大谷昭宏さんは「イケイケ、ドンドンの気勢は削がれても、有権者の期待には応えなければならない」として、こう話す。

仮に玉木氏のいう178万円まで引き上げると、減収は国と地方を合わせて約7兆〜8兆円と試算されています。その財源をどこから持ってくるか。選挙中、一部の野党は“企業の内部留保に課税する”などと訴えていましたが、約400兆〜500兆円あるとされる企業の内部留保を取り崩してもらう交渉が必要になるでしょう。

 パートの主婦や学生アルバイトの働き控えがなくなれば、人手不足に悩む企業側にもメリットはあります。厚生労働省がどさくさに紛れて『社会保険料の壁』を撤廃すると言い出しましたが、それは税金とは別の話です」(大谷さん、以下同)

社会保険料の壁

 社会保険料の壁は、厚生年金の加入要件である年収106万円以上(従業員50人以下の企業では130万円以上)にある。撤廃されれば加入者は増え、老後の年金も増えるようになるが、現時点では保険料を負担しなければならないため、目先の手取りは減る。

「社会全体の富を増やすしかないでしょう。石破氏はこれほどまで円安の国をつくってしまったアベノミクスの大失敗を認め、脱却する手立てを講じなければなりません」

 4つめの壁が政治とカネの問題。政策活動費の廃止や調査研究広報滞在費の使途公開、政治資金の流れをチェックする第三者機関の設置などが検討課題に挙がっており、多くの野党が企業・団体献金の禁止を求めている。

「まず、政治資金パーティーを禁止すべきです。参加者側からみれば、パーティー券の購入は何がしかのつながりをつけておく意味合いが強い。多くはパーティーといっても、食事は置いてあるだけで手をつけず、受け付けを済ませて出席の証拠を残したら帰ってしまうのが実態です」

 5つめの壁は、自民党内の抵抗勢力。内輪揉めしている場合ではないが、“石破おろし”が始まらないか。

「首班指名で白票などはなく、党内の裏切りはありませんでした。両院議員懇談会でも石破氏の責任を問う声はごく一部にとどまりました。来年度予算を審議する年明けの通常国会は6月に閉会予定で、翌7月は参院選です。内閣支持率が落ち込めば、党の顔を代えて選挙に挑むはず。石破おろしは、予算成立までは猶予期間とみていいでしょう」(前出・有馬さん、以下同)

 6つめの壁は、米国のトランプ次期大統領(78)との外交。故・安倍晋三元首相はかつて他国の首脳に先んじてトランプタワーを訪問し、蜜月関係を築いたのは周知のとおり。安倍氏は大学卒業直後に米ロサンゼルスへの留学経験があり、岸田文雄前首相(67)も外務相を務めるなど外交手腕に覚えがあった。

ゴルフ外交は難しい

「安倍元首相はトランプ氏と計5回ゴルフをして、金ピカのゴルフクラブを贈呈しました。石破氏は高校時代にゴルフ部で中間くらいの成績だったようですが、政治家になってからは1回ラウンドしただけといいます」

 つまり、ゴルフ外交は難しいという。

「石破氏は超党派の『ラーメン文化振興議員連盟』の会長です。いずれトランプ次期大統領の訪日を実現できれば、日本のラーメンでもてなして独自色を出せるかもしれません。

 石破氏にラーメン議連の話を聞いたとき、“ラーメンには1000円の壁があるんだよ”と経営者の苦しい胸の内を代弁していました。農林水産大臣の経験があるため、原材料の小麦を輸入に頼る現状を憂い、国産小麦で食料自給率を上げたいようです」

 過去にトランプ氏は2度来日して、いずれも昼食にチーズバーガーを食べるジャンクフード好き。食事の趣味は石破首相と合うかもしれない。

 前出の大谷さんは懸念する。

「トランプ氏は絶対服従の人物を大事にする傾向がありますが、言いなりになっては安倍元首相のように高額なF35戦闘機を追加で105機も爆買いさせられてしまうでしょう。毅然として、友好的に付き合ってほしいですね」

 私たちの税金を無駄にしないよう、石破新内閣の政権運営を見守りたい。

このニュースに関するつぶやき

前日のランキングへ

ニュース設定