「性的違和」による心の問題、医療的な対処法は?

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2024年11月21日 20:51  All About

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【精神科医が解説】トランスジェンダー当事者は、性別違和を抱えることで精神的に不安定になってしまうことがあります。心身それぞれに対する医療的なアプローチ法として、代表的なものをご紹介します。
性的多様性の1つのタイプに、生まれた時の身体的な性と、心の中の性が一致しない「トランスジェンダー」があります。心身の「性別違和」に起因して、精神的に不安定になり、日常生活にさまざまな問題を抱えてしまうことも少なくありません。内面と一致しない自分自身の体に嫌悪感を覚えてしまうこともあり、自傷行為などの問題行動が現れるケースもあります。

トランスジェンダー当事者の精神的な問題を軽減するために、医療的にはどのようなアプローチ法があるのでしょうか。身体的には男性として生まれ、幼少時より心の中の性は女性と自覚して、現在は周りにカミングアウトして生活されている、トランスジェンダー当事者のAさんへのインタビューを交えながら、解説します。

精神的な不安感・思考の非合理性に対処する「認知行動療法」

まずは精神的な不安定さに対する対処法として、精神科や心療内科で受けられる精神療法(=心理療法)があります。

Aさん自身も、中学生の時期に二次性徴を迎え、精神的にかなり不安定になったことを振り返ります。もしその頃に精神科でカウンセリングを受けられていたら、気持ちを楽にする上で役立ったと考えているそうです。

精神療法(心理療法)にはいくつかのタイプがありますが、代表的なものとして「認知行動療法」が挙げられます。トランスジェンダー当事者に限らず、人は精神的に不安定になると、合理的に考えることが難しくなり、ネガティブな思考に拍車がかかる悪循環に陥りやすくなります。

認知行動療法は、まず「思考の非合理性」は何なのかをはっきりさせ、問題となっている思考パターンを改善していくものです。これによって、性別違和に起因する精神的な問題についても、改善を進めていきます。

外見を内面の性に近づける「ホルモン療法」や外科的処置・手術

性別違和は、体が心の中の性に適合すれば、解消するものです。心の中の性に外見を近づけるためには、ホルモン療法や外科的処置・手術の選択肢があります。心身の性別を完全に一致させるために、性腺・性器の切除や、形態を変える「性適合手術(FTM手術)」を選択する方もいます。

看護師であり医学的知識もあるAさんも、ホルモン療法や手術を受けたことで、心の中の性と一致する女性らしい顔や体つきになれたそうです。一方で、自分自身は現在50代で、見た目が女性らしくいられれば十分なので、性適合手術までは必要ないと考えていると話してくれました。

人によって希望されるゴールはさまざまですので、それにあわせて適切な治療法が選択できるのがベストでしょう。「性適合手術は自分には不要」と考えるAさんですが、現在は声を女性らしくするために、声帯の手術をしたいという希望も持たれているそうです。

性別違和解消のための手術、決断前の大切な留意点も

さまざまな対処法・治療法がありますが、治療法を決断する際に、一点重要なことがあります。

当事者であるAさんも話されていましたが、「性別違和は必ず一生続くとは限らない」ということです。中学生、高校生の頃に強い性別違和を覚えていても、成人後に違和感が消失し、心身の性が自然に合致した例も少なくありません。

これは非常に重要な注意点です。もし性別違和のために精神的に非常に不安定になってしまい、解消する方法として性適合手術を早急に決断してしまうと、将来的な生殖能力を失うことにもつながります。予測が難しい問題ではありますが、十分に考慮すべき点でしょう。

性別違和に起因する問題を抱え、希死念慮がある方へ

Aさんは、周りのトランスジェンダーの中には、自死を選んでしまった方も数人いると話されます。2人の子どもを持てないことに悩んだトランスジェンダーカップルが、破局後に自死してしまったケースなど、それぞれの方に事情や背景はあったのでしょう。

いずれも当事者の方たちの苦悩は非常に深かったものと推察されますが、精神科医として指摘しておきたいことは、悩みの深さや解決の難しさは自死を選ぶべき理由にはならないということです。

死にたい気持ちや希死念慮が強まるのは、「抑うつ症状の現れ」です。希死念慮にとらわれるほどの抑うつ状態にあれば、考え方も不合理に偏ってしまい、実際にはある解決の糸口や別の方法を見出しにくくなっている可能性が十分に考えられます。

言い方を変えれば、問題そのものが原因ではなく、不合理な思考こそが原因で、希死念慮が強まっている可能性があります。

希死念慮が強まっている場合は、すぐに精神科(神経科)を受診し、ぜひ相談してください。周りの方も、誰かの口から「死にたい」といった言葉が出てきた場合は、抱えている問題に耳を傾けると共に、抑うつ症状自体の治療のために、精神科受診を勧めることをぜひお願いできればと思います。

■参考文献
・Kaplan&Sadock's Synopsis of Psychiatry

中嶋 泰憲プロフィール

千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。
(文:中嶋 泰憲(医師))

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  • なんか”〜などとノーパンシャブシャブ世代が言っており”と思うと、なぁw
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