SNSで拡散している石破茂首相の“ひと口おにぎり動画”は、9月中旬に茨城県水戸市の農家を視察した自民党総裁選中の出来事。農家が用意してくれたおにぎりを丸ごとパクリ。周囲から食べ方を突っ込まれると“ひと口で食べるのがおいしくない?”と次の1個を口に入れ、頬張りきれずに開けた口からおにぎりがはみ出してしまった。
「自分の夫だったら恥ずかしい」
動画を見た千葉県在住の40代主婦は、
「もし石破さんが自分の夫だったら恥ずかしいです。そばにいたら“口元を隠して”とハンカチを渡しますね。ひと口で食べたほうがお米のおいしさが伝わると思ったのかもしれませんが、裏目に出ましたね。悪気はなさそうですが、痛々しいです」
と苦笑いする。東京都在住の20代女性会社員は、
「一緒に食事をした男性があの食べ方をしたら、二度と食事を共にしません。咀嚼中の口の中を見せられたら、こっちの食欲までなくなりますよ」
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と手厳しかった。
視察に同行した自民党国会議員の秘書によると、先方の厚意で用意されたおにぎりは2種類あった。
「コンビニのおにぎりより小ぶりなサイズでした。その日のスケジュールはタイトで時間が押していたのですが、記憶するかぎりでは、石破さんは複数個食べておいしいお米を堪能していました」
おにぎりに具はなかったという。中身が梅干しで種ごとのみ込む心配はなかったわけだが、食いしん坊な子どもじゃあるまいし、品がないことこの上ない。
おにぎり動画にとどまらず、4年前の食事動画までやり玉に挙がり、焼き魚をほぐす箸の使い方や茶わんの持ち方にもダメ出しが浴びせられた。
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11月中旬にペルーで開かれたアジア太平洋経済協力会議での立ち居振る舞いをめぐっては、石破首相が席に座ったまま諸外国の首脳と次々握手したことや、交通事故渋滞で集合写真の撮影に遅刻したことが外交マナー違反だと指摘された。
政治評論家の有馬晴海さんは言う。
「バイデン大統領もG20首脳会議で初日の集合写真に遅刻しましたが、翌日撮り直して事なきを得ています。石破首相の周囲が事情を説明して、撮影を待ってもらえばよかったんです。各国首脳との挨拶については、外交では在職期間の長さが重視されるため、新米の石破首相は自分から率先して挨拶に回るべきでした」
ほかにも自席でスマホをいじったり、歓迎セレモニーを腕組みして眺めたり。中国の習近平国家主席との会談前、片手を差し出した習氏に両手で応じたことは「へりくだっている」と批判された。
石破首相が主導権をとるべき
毎日新聞が11月23、24日に実施した最新世論調査では、内閣支持率が31%と前月調査から15ポイントも急落。不支持率は50%に達した。
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「永田町では、政権発足直後の100日間は“ハネムーン期間”と呼ばれ、メディアもある程度は大目に見て批判を控えます。しかし、ネット社会が発展してスピードが速まり、すぐに成果を出さないとあれこれ言われるようになりました。この臨時国会が勝負といえるでしょう」(前出・有馬さん、以下同)
自民・公明両党で衆院の過半数に満たない少数与党は、野党の賛意を得なければ法案は何ひとつ通らない。議論の本丸といえる予算委員会の委員長ポストは立憲民主党に握られ、野田佳彦代表(67)は自民党の裏金問題を徹底追及する構え。かたや所得税が課税される「103万円の壁」引き上げをめぐっては、不倫が発覚した玉木雄一郎代表(55)率いる国民民主党に主導権を奪われたままだ。
「首相に就任してから“石破カラー”がまったく出せていません。自民党内の大多数を味方につけて長期政権を築いた安倍晋三元首相に対し、唯一、耳の痛いことを言ってきたのが石破さんです。その持ち味が、党の古い体質に羽交い締めにされて発揮できずにいます。自分の思いを一途に語れていたのに、今はまとめ役として“党内の総意を考えなければならないから”などとグチっているようです」
与野党で協議中の政治資金規正法の再改正についても、石破首相の存在感は薄い。
「党総裁選のころから石破さんは政策活動費を廃止すると言っており、もっと踏み込めるはずです。党内で反対意見の根強い選択的夫婦別姓の法制化についても、当初は前向きに議論する意向を示していました。所管する法務委員長ポストは立憲民主党に渡したため議論が進むことが予想されます。もともと手柄を誇る政治家ではありませんが、国のリーダーとして国民にアピールしないといけません」
臨時国会の会期末は12月21日の予定。玉木氏はBSフジの報道番組『プライムニュース』に出演し、会期が短いことに触れて「予算委員会をクリスマス前までに終わらせようなんてとんでもない話。大みそかまでやったっていいんですから」などと延長をにおわせた。103万円の壁をめぐる与野党の攻防は、引き上げ幅の綱引きが激しくなりそうな気配。石破首相は所信表明で「引き上げる」とだけ約束した。
「働いた人のほうが手取りが減るのはおかしな話。それが与野党の共通認識なのだから、石破首相がぐいぐいと主導権を取って着地点を詰めるべきでしょう。結果を出せなければ、政治とは直接関係のない食べ方など、あら探しが続きます。内閣支持率が10%を切るか、来年度予算が来春までに通りそうになければ内閣総辞職に追い込まれるかもしれません」(前出・有馬さん)
正念場が続く。