「おまえ、何を考えてリードしているんだ!」と森監督は激怒 伊東勤が野球人生初の屈辱を味わわされた打者とは?

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2024年12月05日 10:20  webスポルティーバ

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伊東勤が語るマスク越しに見た名プレーヤー〜打者編(前編)

 西武の捕手として22年の現役生活を送った伊東勤氏。通算2379試合に出場するなど、マスク越しに多くの打者と対戦を重ねてきた。そんな伊東氏に現役時代「すごい」と思った打者を3人挙げてもらうとともに、大谷翔平の攻め方についても聞いてみた。 

【後光が差していた】

── 捕手としてこれまで対戦してきた打者のなかでベスト3を選ぶとしたら、最初に挙げる選手は誰ですか。

伊東 一番はラルフ・ブライアント(近鉄)です。1989年10月12日の西武と近鉄とのダブルヘッダーで、ブライアントの打棒が大爆発しました。ひとりの打者に、ダブルヘッダーとはいえ"1日4発"を許したのは、私の野球人生で初めてでした。あの日のブライアントは後光が差していたというか、試合前から強烈なオーラを醸し出していました。

── そういう経験に基づく勘というのは当たるものですね。

伊東 今日はブライアントに3、4発いかれそうな予感がすると思っていたら、ほんとにそのとおりになってビックリです。ブライアントも「ボールがソフトボールのように大きく見える」と言っていたようですね。満塁本塁打を含む3打席連発ですから。どこに投げても打たれる感じでした。

── 第4打席に渡辺久信投手から放った一発で、伊東さんは外角に寄っていましたが、少し真ん中に入った球を運ばれました。渡辺投手が片膝をついて、ライトスタンドを呆然と見つめている姿が印象的でした。

伊東 のちに「四球で歩かせばよかったのに」と言われもしましたが、歩かせるという選択肢はまったくなかったです。エース格の久信が出てきたわけですし、ブライアントとの対戦で高めのストレートでけっこう三振をとっているというデータもありました。

── のちにブライアントさんは「フォークとスライダーを待ったが、ストレートに体が反応した」と振り返っています。

伊東 データや相性を覆す、いわゆる"ゾーン"に入っていたのでしょう。自ら「アンビリーバブル!」と言っていたように、ほんと神がかっていました。

── 2試合目は四球敬遠のあと、高山郁夫投手が勝ち越しの本塁打を浴びました。4打数連続本塁打です。

伊東 ベンチに戻った私は、森祇晶監督に「おまえ、いったい何を考えてリードしているんだ!」と叱責され、交代させられました。私も返す言葉がなくて......。森監督も捕手出身ですし、我慢できなかったんでしょうね。前年の"10・19"ロッテとのダブルヘッダーで優勝を逃した近鉄の2年越しの執念だったのでしょう。

つづく>>

伊東勤(いとう・つとむ)/1962年8月29日、熊本県生まれ。熊本工高3年時に甲子園に出場。 熊本工高から所沢高に転入し、転入と同時に西武球団職員として採用される。 81年のドラフトで西武から1位指名され入団。強肩と頭脳的なリードでリーグを代表する捕手に成長し、西武の黄金時代を支えた。2003年限りで現役を引退。04年から西武の監督に就任し、1年目に日本一に輝く。07年限りで西武の監督を退任し、09年にはWBC日本代表のコーチとして連覇に貢献。その後も韓国プロ野球の斗山のコーチを経て、13年から5年間ロッテの監督として指揮を執り、19年から21年まで中日のコーチを務めた

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  • そりゃ、アマチュアでも同じ打者ばかりに打たれてたら捕手が怒られますよ。
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