ちょうど一年前、2023年アブダビGPを終えたF1では、同シーズン最終戦後にドライバーが誰もチームを離れることがないという史上初のことが起こり、2023年の最終戦に出場した20人のドライバー全員がシートを維持した。
対照的に、今年ヤス・マリーナ・サーキットで開催されるレースでは、多くの感動的な別れ、そしておそらくはF1との決定的な別れがいくつか見られることになるだろう。
もっとも意味を持つ別れは、メルセデスで起こる。ルイス・ハミルトンがドイツのチームで12シーズン目を終え、その後フェラーリに移籍するのだ。
ともに6度のタイトルを獲得したこのパートナーシップは、これまでのところF1史上もっとも成功したパートナーシップとなっている。2024年はハミルトンにとって大きな失望となった1年であったとしても、彼の名前は永遠にシルバースターの社名と結び付けられるだろう。
彼の移籍先であるフェラーリは、ハミルトンにシートを空けなければならなかったが、その犠牲になったのはスクーデリアでの4シーズン目を最高のかたちで終えようとしているカルロス・サインツだ。
サインツは、F1で初めて1シーズンに2回のグランプリ優勝を果たし、日曜の夜も何か特別なことが起こらない限りはチャンピオンシップでキャリア最高の5位につけることになりそうだ。
そして、エステバン・オコンのアルピーヌ離脱が早まった一方で、彼にシートを譲ることになるハースのニコ・ヒュルケンベルグは、キャリアをふたたび軌道に乗せた非常に順調な2シーズンを送り、チームでの最後のレースを迎える。
ヒュルケンベルグの僚友ケビン・マグヌッセンは、アブダビで最後のグランプリ出場を果たす予定で、2025年にはBMWのLMDhプログラムでスポーツカーレースにフル参戦することが決まっている。
キック・ザウバーに所属しているバルテリ・ボッタスと周冠宇は、このアブダビGPを最後にチームを離れ、それぞれメルセデスとフェラーリのリザーブドライバーとしてパドックに留まろうとしている。
そしてもちろん、これがセルジオ・ペレスにとって最後のグランプリになる可能性も高まっている。レッドブルはペレスを放出することを強く望んでいるようで、ペレスは今後中団チームに戻るつもりはないとみられるからだ。一方、ニュージーランド人のリアム・ローソンは、2025年にレッドブルのペレスのシート獲得を狙っており、これがRBでの最後のグランプリになることを真剣に望んでいる。
2024年シーズンに飛び入りしたフランコ・コラピントについては、2025年にウイリアムズからレースに出ることはないことを認識しており、彼がこの3レースの間に他チームに移籍する可能性はかなり薄れている。
こうしたことから、アルファタウリで長期にわたりチーム代表を務めたフランツ・トストが退任したことだけが意味ある別れだった昨年のアブダビGPと、今週末のアブダビGPは対象的なものになりそうだ。