“地獄行きの切符”と恐れられた女性漫画家、54歳を迎えて痛感する「40代よりも今がラクな理由」

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2024年12月06日 16:11  女子SPA!

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伊藤理佐さんによるエッセイ漫画『おんなの窓 わたし現在3K編(加齢・介護・韓国)』(文藝春秋)が好評です。

伊藤さんといえば、『おいピータン!!』や『ヒゲぴよ』『おるちゅばんエビちゅ』など数々の代表作を持つ、エロありギャグありの人気漫画家。不条理ギャグ漫画のパイオニア・吉田戦車さんと結婚し、一児の母となってからも精力的にヒット作を生み出し続けています。

今回、女子SPA!では伊藤理佐さんにインタビュー。作品のサブタイトルにも入った「3K(加齢・介護・韓国)」が意味するもの、そして「3K」の現在の状況についてなど、聞かせてもらいました。

◆3高(学歴・高身長・高収入)の時代を通って今3K(加齢・介護・韓国)

――今回で7冊目になる『女の窓』シリーズ。なぜ「7巻」ではなく、新たにサブタイトルをつけたのでしょうか。

「コロナ禍もあって6巻の発売からかなり間があいてしまったので、あえて雰囲気を変えてみました。リニューアルオープンといった感じですね。『お久しぶりです!』みたいなイメージです」

――テーマとして「3K(加齢・介護・韓国)」を挙げた理由は?

「ずばり、私も編集さんもスタッフも、ちょうどその3Kに追われていたからですね。

だいたいみんな同年代なので、<3高(学歴・高身長・高収入)>がモテる男の必須条件だった時代を通ってるわけですが、今となっては<3K(加齢・介護・韓国)>だろ、と。言ってしまうと、雑談をそのまま採用したという(笑)」

◆40代よりも50代の方が体がラク「体って悪くなるにも元気が必要」

――今作は2017〜2024年の記録となるわけですが、7年の間で「3K」の状況もそれぞれ変化を遂げていると思います。まず、加齢の部分で変わったと感じることを聞かせてもらえますか?

「これはもちろん、体のことですね。私は現在54歳ですが、漫画に描いてある40代の頃よりもだんだんとラクになってきてる気がしているんですよ」

――40代当時よりも50代になってからの方が健康になったということでしょうか?

「そういうことではないんです。この年になってわかったことなんですけど、体って悪くなるにも元気が必要なんですよ。

30〜40代は体の調子の悪さが元気に加速していく感覚があったんですが、50代になるとそれすらゆっくり緩(ゆる)めなので、あまり辛くは感じないんです」

――意外な盲点というか、目からウロコのとらえ方です。加齢によるプラスの要素が存在するとは……。

「もちろん確実に老いてはいくんですよ? でも、悪くなっていく覚悟と『悪くなるのが嫌だからこれはしないでおこう』という心の準備ができるだけでも全然違うと思うんです。

私の周りの元気な60〜70代の方たちもみんなそう言ってますね」

◆酒豪で昔のあだ名は『地獄行きの切符』だったけれど

――伊藤さんといえば酒豪の印象が強いのですが、加齢によってお酒との付き合い方も変わりましたか?

「血圧が怖いので、毎日は飲まなくなりました。でもその分だけ、飲むと決めた日は取り返すように飲んでしまうんですよ。足りない量を埋めるかのように……」

――それは果たして健康的なのでしょうか(笑)?

「でも、月に19日は禁酒できてる時点で、これまでよりはだいぶ頑張っていると思いますよ。ずっと禁酒するって言っては失敗する、オオカミ少年みたいな女でしたから。

昔のあだ名なんて『地獄行きの切符』でしたし。私と結婚したら、夫も一緒に飲み過ぎて死ぬみたいに言われてましたもん(笑)」

――ちなみに、どのようにして酒量を抑えているのでしょうか。

「食事の時に最初のひと口を我慢すれば、なんとかなるものです。最近はもう、横で夫が飲んでいても大丈夫になってきました。それにともなって夫の飲酒量も減ってきていますね」

◆こんなにも自分のお股を見るようになるなんて

――まだ漫画に描かれていない、加齢に関するエピソードはありますか?

「かなり熱心に膣トレを始めたことですかね」

――膣トレ! 確かに尿漏(も)れなど、女性に身近な加齢問題に密接していますよね。

「スタートは編集さんからデリケートゾーン用の保湿剤をもらったことなんです。

最初は『今さらこの年でこんなところを良くしてどうするんだい!? 嫌がらせかい!?』なんて思ってたんですけど、実際にやってみたら、そういうことじゃないんだとわかるようになりました」

――これまであまり興味を抱いていなかったのですか?

「そうですね。私、自分のアソコを見たこともなかったんですよ。出産の時ですら何も考えていなかったくらい。本当にネタになると思って始めてみただけだったんです」

――考えを変えるに至ったきっかけは?

「健康につながっていることに気付いたことです。保湿を始めてから、目でデリケートゾーンを直接チェックすることの大事さを知りました。

でも、まさか年を重ねた先で、こんなにも自分のお股を見るようになるなんて思ってもみませんでしたね(笑)」
<取材・文/もちづき千代子 写真/星亘>

【もちづき千代子】
フリーライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像エディター・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を開始。インコと白子と酎ハイをこよなく愛している。Twitter:@kyan__tama

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