2歳女王決定戦のGI阪神ジュベナイルフィリーズ(京都・芝1600m)が12月8日に行なわれる。
昨年のアスコリピチェーノ、一昨年のリバティアイランドをはじめ、ソダシ(2020年)、レシステンシア(2019年)、ラッキーライラック(2017年)、ソウルスターリング(2016年)など、ここ数年の勝ち馬だけを見ても、2歳戦で終わることなく、その後のGI戦線でも活躍している面子ばかり。今後の大舞台の行方を占ううえでも重要な一戦と言える。
1番人気については、過去10年で5勝とまずまずの成績を残しているが、着外に沈んだことも同じく5回。それだけ、波乱が起こりやすいレースでもあり、馬連や3連単ではしばしば好配当が生まれている。
また、1番人気が勝利した場合でも、オイシイ配当が飛び出すことは珍しくない。一昨年には、断然人気のリバティアイランドが勝利したものの、2着に12番人気のシンリョクカ、3着に10番人気のドゥアイズが入って、3連単は17万円超えの高額配当となった。日刊スポーツの太田尚樹記者もこう語る。
「(阪神JFは)もともとヒモ荒れの傾向が強いレースです。近年の勝ち馬にはそうそうたる顔ぶれが並んでいますが、一昨年に限らず、人気薄の伏兵馬が何度となく馬券圏内(3着以内)に突っ込んできて好配当を演出しています。
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直近5年の馬連平均配当を見ても、6608円。3桁配当だったのは、2020年(690円)だけです。繊細な2歳牝馬の戦いだけに、ひと筋縄ではいきません」
さらに今年は、馬券検討における難解さが増す、例年との大きな違いがある。太田記者が解説する。
「今年は本来の舞台となる阪神競馬場が改修工事中のため、京都競馬場での開催。この点は、予想において大きなポイントになります。阪神の芝マイルは(コースが)広くて直線も長いので、紛れが少なく、実力が結果に反映されやすいコース設定ですが、京都の芝マイルは3コーナーに上りと下りがあって、そこでの適性が問われますから。
下り坂というのは、競走馬にとって経験する機会が少なく、未体験だと古馬でも戸惑うことがあります。若駒であればなおさらで、人気になりそうなブラウンラチェット(牝2歳)やコートアリシアン(牝2歳)は、いずれも京都未経験。もしかすると、そのあたりの影響があるかもしれません」
それらを受け、太田記者は今年のレースで好配当を演出しそうな穴馬候補をピックアップ。「まず気になるのは、カワキタマナレア(牝2歳)」と言う。
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「前走のGIIIファンタジーS(11月2日/京都・芝1400m)では1番人気に推されながら5着に敗れましたが、不良馬場となって、結果としてインを通った先行馬が有利なレースとなりました。
そうしたなか、大外枠発走から、終始外、外を回ってきた同馬としてみれば、敗因は明確。それでも、勝ち馬とコンマ1秒差まで追い上げてきたレースぶりは評価に値しますし、京都の下り坂でスムーズに加速していましかたら、コース適性も問題ないでしょう。
そして何より、鞍上の鮫島克駿騎手が同馬を高く評価。阪神JFに向けても、『前回は負けましたけど、強い競馬でした。次につながらない競馬だけはしたくなかったですから。2歳牝馬のなかで、能力はトップクラスのものを持っていると思います。持久力を求められる阪神のマイルより、キレ味が生きる京都のマイルのほうがよさそうです』と、手応えを口にしています。
前走の敗戦で人気を落とすようなら、狙い目です」
太田記者はもう1頭、注目している馬がいる。アルマヴェローチェ(牝2歳)だ。
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「札幌の新馬戦(8月4日/芝1800m)を逃げ切り勝ち。続くGIII札幌2歳S(8月31日/札幌・芝1800m)では、中団から伸びてハナ差の2着。それぞれのレースぶりから、センスの高さを感じました。
今回、手綱を取るのは岩田望来騎手。調教でまたがって、『イメージどおり、乗りやすかった』と好感触でした。
過去2戦が洋芝でのレースで、今回は速い馬場への対応が求められますが、例年なら開幕2週目の阪神だったのが、今年は10月から開催が続く京都。初の京都にはなりますが、長期開催で傷みが見られる馬場は、同馬にとってプラスに働くのではないでしょうか」
来春の牝馬クラシックの行方をも占う2歳牝馬の頂上決戦。今年も思わぬ伏兵が台頭し、好配当をもたらすのか。それが、ここに挙げた2頭であってもおかしくない。