フジ三宅正治アナ 忘れられない実況中継「2010年の中日VS千葉ロッテ日本シリーズ」を振り返る

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2024年12月07日 11:20  TOKYO FM +

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フジ三宅正治アナ 忘れられない実況中継「2010年の中日VS千葉ロッテ日本シリーズ」を振り返る
TOKYO FMの音声配信プラットフォームAuDee(オーディー)の番組「長野智子のテレビなラジオ」(隔週火曜・10時配信)。1985年のフジテレビ入社以降、テレビ業界で活躍してきたフリーアナウンサー・長野智子が、テレビを牽引してきた制作者・出演者をゲストに招き、テレビの過去・現在・未来を語ります。

11月12日(火)、11月26日(火)の配信では、フジテレビアナウンサーの三宅正治さんがゲストに登場。ここでは26日の模様をお送りします。印象的だった実況解説のエピソードについて語ってくれました。


(左から)三宅正治さん、パーソナリティの長野智子



三宅正治さんは1962年生まれ、広島県出身。1985年にフジテレビにアナウンサーとして入社します。スポーツアナウンサーとしては競馬やプロ野球のほか、F1、格闘技、バレーボール、全日本女子プロレス中継など幅広く実況を担当。その後、2012年から朝の情報番組「めざましテレビ」のメインキャスターに就任。2024年9月末に勇退後もテレビの前線で活躍中です。

◆アナウンサーは馬券を買ってはダメ?

長野:アナウンサーという職種に限って言うと、バラエティをずっとやっていても歴史に残ることってそんなにないじゃない。だけど、日本の歴史のなかでスポーツの名実況は必ずあるよね。F-1や競馬のディープインパクトの実況とか、三宅君は絶対それに入っているよね。

三宅:自分がアナウンサーになった証を残したくて、スポーツアナウンサーになりたいっていう思いが1つあったのね。それが名実況と言われるためには、いろんな人たちに届いていないといけないんだよね。

長野:そうなんだよね。

三宅:結局、今って実況が注目されるのはオリンピックぐらいだよね。となると、4年に1回ぐらいしかチャンスがないから、なかなか順番が回ってこない。

長野:三宅君の忘れられない実況って何?

三宅:初めてダービーで解説したときに、フサイチコンコルドっていう馬がいて。「外から音速の末脚がさく裂するフサイチコンコルド」っていう実況は、けっこう競馬ファンの人から名実況と言われる。初めてのダービーで震えながら喋ったね。

フサイチコンコルドってあまり人気がない馬だったのよ。ダンスインザダークっていう、武豊騎手が乗っていた馬がいて、それが勝つと思われていたところに外から差していってわけ。大番狂わせだったんだけど、俺はあの馬券の1点買いをしていたのね(笑)。

長野:その話よく聞くわあ(笑)。なんでフサイチコンコルドの馬券を買ったの?

三宅:強いと思ったから。

長野:すごい! 取材で?

三宅:そうそう。だって一番取材をするからね(笑)。でも実況アナウンサーって馬券を買っちゃいけないって言われているの。

長野:そうなんだ!

三宅:馬券を買うと、どうしてもその馬を応援したくなって公平性を欠くかもしれないから。でも、俺はガンガン買っていた(笑)。

長野:だって私たちが入社した頃、先輩たちも買っていたよね(笑)。一番取材して勉強して、レースのことがすごくわかる人間だからね(笑)。

◆やりたいと思うことはすべてやった

三宅:名実況って何だろうなって考えたら、1個は野球なんだけど、2010年の中日VS千葉ロッテっていう日本シリーズの試合かな。試合の第6戦で6時間近くやって決着つかずだったのね。

長野:すごいね。

三宅:番組が全部後ろ倒しになっているから、そのあとが大変よ。それから映画、「すぽると!」(フジテレビ系)が始まるんだけど、週末だったから自分の担当ではなかった(笑)。そこで試合が決まらず俺に回ってきて、第7戦では5時間かかったの。それでも長かった。

長野:うわ〜!

三宅:最後の最後、千葉ロッテが勝ち越し点を奪って勝つんだけれど、当時は里崎(智也)というキャッチャーにガングリオンというしこりができていて、痛みがあったんだよね。

セカンドにも投げられない状況だったんだけど、それを里崎はずっと黙っていたの。「三宅さんには言いますけど、絶対に言わないでください。試合が終わったら言ってもいいですから」と言われた。盗塁されちゃうからね。

長野:なるほどねえ。

三宅:それで黙っていて、優勝が決まって胴上げが終わったあとに里崎がバンと映ったの。その瞬間に、里崎が痛みをこらえながら試合をやったんだって話をしたら、千葉ロッテファンからすごく感動したって言ってもらえた。

長野:泣ける〜!

三宅:自分にとってはアナウンサーの信頼感を得たうえで、そういったことが起きて、ファンの人から「あの実況はよかった」と言ってもらえるものになった。そういう意味で、すごく心に残る日本シリーズだったね。

長野:アナウンサー冥利に尽きるね。三宅君は思い描いてきた理想のアナウンサー人生だったよね。

三宅:そうね。やりたいと思うことしかやってこなかったしね。俺、やりたいことは50歳で終わっているんですよ。そのあとの12年は“おまけ”なんだよね。

長野:そんな感じなんだ。

三宅:楽しく過ごせればいいやと思っていたら楽しい「めざましテレビ」を担当できて。でも、1個まだ実現できていない夢があるのよ。

長野:何?

三宅:広島カープの優勝の瞬間を届けたい(笑)!

長野:まだやっていないんだ!

◆何歳になっても“現役感”は必要

三宅:このあいだ、格闘技解説者の谷川貞治と話したんだけど、辞めるって話をしたのね。そうしたら「人間はやっぱり“現役感”が必要ですよ」と言うわけ。「この人は終わった人だな。隠居している人」という見え方よりも、現役感がある人のほうがいいと言っていて、いいことを言うなって思った。

長野:なるほど!

三宅:どちらかというと、のんびりすることしか考えないから、人間にはそういうものも必要なのかって思った。

長野:私たちってやっぱり引き際を考える歳じゃない? いつまでもいて若い人から面倒くさがられるのも嫌だけど、場所があるんだったら続けさせていただきたいよね。

三宅:現場の人から必要とされているうちはまだいてもいいのかなって思えるよね。でも、それがフリーになった状態でどういう風になるのかなとは考える。今は男性アナウンサーの状況が大変だって話は聞くしね。同期の軽部も残る道を選んだわけだし。

長野:そうね。

三宅:軽部こそフリーになればいいのにって思うからね。

長野:ちゃんとフジテレビの強みをわかっているんだろうね。


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音声版「長野智子のテレビなラジオ」
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<番組情報>
番組名:長野智子のテレビなラジオ
配信日時:隔週火曜・10時配信
パーソナリティ:長野智子

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