「ロード・オブ・ザ・リング」津田健次郎が台本を絶賛、神山健治「これが映画なんだ」

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2024年12月08日 13:16  コミックナタリー

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左から津田健次郎、神山健治監督、フィリッパ・ボウエン、ジョセフ・チョウ氏。
アニメ映画「ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い」のステージイベントが、去る12月7日に「東京コミックコンベンション 2024」内で行われた。

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12月27日に公開の「ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い」は、実写映画「ロード・オブ・ザ・リング」の200年前の世界を描く作品。全米では3000館以上、全世界では数万スクリーンに及ぶ上映が決定している。ステージには神山健治監督、主人公・ヘラと敵対するウルフの吹替を務めた津田健次郎、「ロード・オブ・ザ・リング」3部作の脚本を手がけ、「ローハンの戦い」の製作と脚本を担当するフィリッパ・ボウエン、プロデューサーのジョセフ・チョウ氏が登壇。「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズの大ファンであり、「ローハンの戦い」でも吹替キャストとして参加したLiLiCoがMCを務めた。

「ローハンの戦い」を制作した経緯について尋ねられたボウエンは、「ワーナーさんからピーター・ジャクソン監督と私のほうに『ロード・オブ・ザ・リング』のアニメーション映画を作らないかとお話をいただきました。私たちはアニメの大ファンということもあり、映像化の可能性はあり得ると思いましたが、そこで降りてきたのが『ローハンの戦い』だったんです」と説明。またボウエンは、「ローハン国に住む人々・ロヒルリム人の文化が、日本のストーリーテリングの文化と合うんじゃないかと思いました。さらに、日本の作品でよく見受けられる忠義、名誉、勇気、裏切りなども描かれています」と日本の作品との親和性について語った。

神山監督へのオファーについてチョウ氏は、「ピーター・ジャクソン監督が解釈した世界の延長戦の作品である『ローハンの戦い』ですが、神山監督は映画もアニメもただ観るだけでなく全部頭の中で分析している。そしてかなりテクニカルで脚本家でもあるから間違いないなと。まとめていうと“天才だから”」とコメント。オファーを受けたことについて神山監督は、「ジョセフから話を聞いたときは、内心は踊りだしたいくらいうれしかったです。でもこれをアニメーションで作り上げることがどれほど大変かということをわかっていたので、『これはすごく難しいね』って言った覚えがあります」と振り返る。また「恐らく今までアニメーションで騎馬隊の合戦というものを映像化したことはないと思うんですよ。アニメでこれをつくるのは不可能だと正直思ったんですが、日本のアニメを作っている人たちを代表して絶対に受けるべき仕事だと思ったので、僕がここまで培ってきたモーションキャプチャーや3DCGなどのデジタル技術などを全部使えば、最終的に手描きアニメーションでもできるんじゃないかなと感じたんです」と語った。

ひと足先に本編を視聴した津田は「やっぱすごいですね。飽きることなく画面に釘付けの状態で最後まで観ることができました。本当によい作品に出演させていただいたなと思いましたね」と笑顔。続けてLiLiCoも「背景に関しては未だに実写じゃなんじゃないかと疑っているんですよ」と手描きアニメーションの底力に驚嘆した様子を見せた。

原作小説「指輪物語 追補編」に数ページしかないパートの映像化である「ローハンの戦い」。ストーリーについてボウエンは、「誰の物語であるかが大事だと思います」と前置きをしながら、「主人公のヘラは原作では名前がないキャラクターで、表記は『ヘルム王の娘』までです。ただ、この物語では彼女が誰と結婚をするのかというところから始まり、ローハンの戦いのきっかけを作るんです。そして作品を観ていただくとわかる通り、アクション満載の戦いも彼女の視点から描かれます」と解説した。

台本を読んだときの感想を聞かれた津田は、「古典のよさがとても詰まっているんですが、でも現代を生きる僕たちも、とても共感できるものがある。そして女性がどう生きていくかなどの現代的なテーマもうまく盛り込まれていて、頭から最後まで一気に読んでしまいました」と絶賛。また自身が演じたウルフについては、「ただの悪役ではないんです。見た感じはすごくワイルドでたくましい感じなんですけど、ちょっと弱さをはらんでいて、登場人物中で最も人間くさい。そして欠落している部分があるんですが、そこが魅力的。嫌われながらも愛されるキャラクターになるかもしれない」と述べる。ここでボウエンが津田に、「ウルフはヘラのことを心から愛していたと思いますか?」と質問。津田が「愛していたと思いますよ」と返すと、客席からは拍手が巻き起こった。さらにアフレコ現場での様子について聞かれると、津田は「丁寧に神山監督と打ち合わせしながら収録ができてとてもスムーズでした。吹替の雰囲気も監督の意向も大事にしつつ。日本語吹替版も世界中で上映してくださるのはうれしいですね」と喜びを交えながら語った。

最後はボウエンと神山監督が「ローハンの戦い」で注目してほしいポイントと、最後の挨拶を述べる。ボウエンは「自分は脚本家ですが、運がよければ自分が書いたモノがビジュアル的な名称によって映像化されるんです。今回はまさにそういうことに恵まれた。『ロード・オブ・ザ・リング』はもちろん、映画がお好きな人であればぜひ劇場で観ていただきたいです。とにかくスケールが壮大ですし、津田さんをはじめ吹替版の演技が素晴らしいです。音楽もサウンドエフェクトも劇場が揺れるくらいインパクトがあります。この場を借りまして日本の素晴らしいアニメーターの方々にお礼を申し上げたいと思います。魂をこの作品に注ぎ込んでくださりありがとうございます。そしてこの作品を通して世界に神山監督を知っていただけることも非常に誇らしく思います」と、自信を覗かせながらアピールした。

神山監督は「本当にたくさんのアニメーションを作ってきましたが、これほどのスケールの作品を監督するのは初めてでした。手描きアニメーションでは実現不可能だと思っていた映像をアニメーターの人たちが作り上げてくれました。本当にリアルで力強い映像になっています。そして音楽も本当に素晴らしいものになっています。『これが映画なんだな』と自分でも驚くくらいクオリティが高く、作り手たちの情熱が反映された素晴らしい作品です。本当に観ていただきたい箇所が沢山ある。でもどこか絞れない。とにかく一度劇場に足を運んでください。そして吹替版と日本語字幕版の両方を観てください」と熱い思いを吐露。熱気に溢れる中、イベントは幕を閉じた。

■ アニメ映画「ロード・オブ・ザ・リング/ローハンの戦い」


2024年12月27日(金)公開

□ スタッフ
監督:神山健治
製作:フィリッパ・ボウエン、ジェイソン・デマルコ、ジョセフ・チョウ
製作総指揮:フラン・ウォルシュ、ピーター・ジャクソン、サム・レジスター、キャロリン・ブラックウッド、トビー・エメリッヒ
脚本:ジェフリー・アディス&ウィル・マシューズ、フィービー・ギッティンズ&アーティ・パパゲオルジョウ
ストーリー:アディス&マシューズ、フィリッパ・ボウエン
配給:ワーナー・ブラザース映画

□ 日本語吹替版キャスト
ヘルム王:市村正親
王女ヘラ:小芝風花
ウルフ:津田健次郎
フレアラフ:中村悠一
オルウィン:本田貴子
エオウィン:坂本真綾
フレカ:斧アツシ
ハレス:森川智之
ハマ:入野自由
ターグ将軍:山寺宏一
老ペニクルック:沢田敏子
リーフ:田谷隼
ソーン卿:大塚芳忠
シャンク:飯泉征貴
ロット:村治学
サルマン:勝部演之

□ 字幕版キャスト
ヘルム王:ブライアン・コックス
王女ヘラ:ガイア・ワイズ
ウルフ:ルーク・パスクァリーノ
オルウィン:ミランダ・オットー
ほか

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