全日本空輸(ANA)は、東京/羽田〜ミラノ/マルペンサ線を12月3日に開設した。現地では多くの関係者に歓迎され、観光やビジネスでに結びつきが一層強まるとの期待が多く聞かれた。
ANAのミラノ就航は、大阪/関西〜ミラノ線の撤退以来、25年ぶり。東京とミラノの両都市間は、コロナ禍に旧アリタリア-イタリア航空が撤退して以来、結ばれていなかった。
8月の国別訪日客数では、ヨーロッパではイタリア(34,700人)がイギリス(29,400人)、ドイツ(24,100人)、フランス(31,400人)を抜いてトップに躍り出た。前年比、2019年比でも約5割の伸びで、ポテンシャルがある市場として期待も高い。
訪日客の増加により、欧州路線では高い座席利用率が続いている。週3往復で運航を開始するミラノ線は、「ビジネスにはデイリー化が必須。期待に応える意味でも週3往復で始めて、デイリー化を目指して取り組む」(井上慎一社長)と、増便にも積極的に取り組む姿勢を示した。
一方で、ロシア上空が通過できないことから、所要時間が長くなり、乗員を1名追加する必要があるなど、運航上の制約も大きい。「潜在需要を顕在化させてロードファクターを上げていく。需要がないところでデイリー化しても意味がない」(同)として、夏までに予約率9割を目指すと話した。価格が割安な中国系航空会社を競合とみているものの、直行便であるという利便性や品質面で差別化を図る。
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貨物需要も高い。ミラノ発初便は満載で、日本発は半導体や自動車部品、工作機械、ガーメント(衣類、衣装)、イタリア発は革製品やアパレルのブランド品や医薬品、航空機部品、電子タバコ、建築資材(大理石)の輸送を見込む。イタリアはドイツに次いで輸出貨物が多く、井上社長は「旅客と貨物のコンビネーションキャリア」と話し、豊富な選択肢があると胸を張った。
ミラノ/マルペンサはパリ、ロンドン、フランクフルトに次いで、4番目に大きな空港で、28社が乗り入れる。日本へは年間20万人が移動しており、ミラノにとって中国とインドに次いで3番目に大きな長距離市場となる。
ミラノ以遠では、34か国76都市へ共同運航(コードシェア)便でアクセスできる。ITAエアウェイズと今年1月からコードシェア、鉄道会社のトレニタリアと同7月から提携を開始している。ITAエアウェイズは、ミラノ市街地に近いリナーテを拠点としている。ANAはマルペンサに乗り入れているものの、ミラノに滞在した後に他の都市へ移動する需要が高いと見込んでいることから、2つのオプションを効率的に活かせるものとみている。ルフトハンザグループのマルペンサ発着便のほか、ルフトハンザグループがITAエアウェイズの買収後、ANAとルフトハンザグループによる共同事業に組み込まれることが想定されていることなど、アライアンスの関係も活かす。
ANAは、2025年1月31日に東京/羽田〜ストックホルム線、同2月12日に東京/羽田〜イスタンブール線を開設する。これにより、欧州9都市へ週49往復を運航することとなる。
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