データを基に立体的造形物を作る「3次元(3D)プリンター」を使ったすしを試食できるイベントが8日、東京都江東区の日本科学未来館で開かれた。通常のシャリ(酢飯)の上に、ペースト状のネタが乗せられたすしがテーブルに並べられ、参加者は興味深そうに味見していた。
今回使用された3Dプリンターを開発したのは、山形大の古川英光教授。粉末にした食材をペースト状にした上で、装置内のノズルに入れて造形する。粉末状にすることで食材の長期保存が可能になるといい、フードロス対策での活用なども期待される。
イベントでは、魚のすり身でタコを模して作られたすしが登場。試食した参加者からは「見た目は似ている」との感想もあったが、「少し弾力が足りない」といった声も。小学生の次男と訪れた江東区の会社員生越亮次さん(46)は「かまぼこの味がして発展途上だと感じたが、軟らかいものをよく食べる介護食などで活用できそうだ」と話した。
古川教授は「すしは多くの人が好きなので、味などの意見を広くもらえるので勉強になる」とした上で「今後は災害時に食べられる非常食を作る研究を進めていきたい」と語った。
日本科学未来館で行われた試食会に登場した3Dプリンターで作製中のすしネタ=8日午後、東京都江東区