SKE48・熊崎晴香が語る中日ドラゴンズ愛と、ファンと歩んだ初センターまでの12年間の道のり

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2024年12月09日 17:20  webスポルティーバ

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SKE48・熊崎晴香インタビュー 前編(全3回)

 結成16周年を迎えた、愛知県名古屋市を拠点に活動するアイドルグループ・SKE48。10月には名古屋国際会議場センチュリーホールにて特別記念コンサートを開催し、アニバーサリーイヤーをファンと共に盛り上げた。ライブの幕開けを飾ったのは、最新シングル『告白心拍数』。その先頭に立っていたのが、6期生の熊崎晴香だ。

 愛してやまないという地元・中日ドラゴンズと、苦節12年、心が折れそうになりながらも諦めずに努力を続け、初のセンターの座を掴み取るまでの「波瀾万丈、紆余曲折だった」という彼女のアイドル人生について話を聞いた。

【ドラゴンズファンとしての"推し選手"は?】

ーー熊崎さんは競馬や野球など、スポーツも幅広くお好きで、地元・名古屋の中日ドラゴンズファンでもあるんですよね。

熊崎(以下同) そうなんです。生まれも育ちも名古屋なので、物心ついた頃にはドラゴンズの帽子をかぶっていました。父と弟が野球をやっていたということもあり、家では自然とプロ野球中継が流れているような環境でしたね。最初は、森野将彦選手の背番号31番のユニフォームを着て応援していました。

 ただ、SKE48に入ってからもたまに友達と観戦には行っていたんですけど、試合に勝ってうれしい、負けて悔しい、いいプレーが見られてよかった、くらいの楽しみ方しかできていなかったんです。「この選手のここがいいんだよね」の様な、詳しいところまで掘り下げていけるファンではありませんでした。

 そのなかで、SKE48の活動でドラゴンズのお仕事に携わらせていただくようになり、いろんな選手へのインタビューの機会をいただけたことで、さまざまな視点から選手たちの良さを知ることができました。もう好きになりすぎて、一気にドラゴンズ愛が深まりましたね。いまでは"ドラキチ"(中日の熱狂的なファン)と言われます(笑)。

ーーいまの推し選手は誰ですか?

 悩みますねぇ......。本当にみんな大好きなんですよ。アイドル用語でいう「DD(誰でも大好き)」みたいな感じで。それでもひとり挙げるとするならば、ブライト健太選手ですかね。どんな状況でもベンチから声を出して、チームの雰囲気を明るくしてくれるんです。その献身的な姿勢や、努力する姿に胸を打たれて、大好きになっちゃいました。

 今シーズンは念願のプロ初ホームランを打ったりと、活躍をしてくれたので、本当にうれしくて幸せなのですが、まだ1軍と2軍を行き来している状態なので、来シーズンはもっと1軍のスタメンで使ってほしいと願うばかりです。パワーがあって長打を打てる選手なので、頑張ってほしいです!

 ちなみに、私のスマートフォンのケースの裏に、ブライト健太選手のチェキが入ってます(笑)。

【仕事とプライベートの境界を保ち続けた6期生の"絆"】

――SKE48に入るまでには、どのような経緯があったのでしょう。

 中学生の頃、NHKドラマ『中学生日記』に一般公募から出演させてもらって、そのときの共演者のお姉さんがSKE48のメンバーだったんです。その共演者の友達が名古屋・栄の劇場に連れて行ってくれたんですけど、たまたまファンの方がSKE48 の応募用紙を配っていて。ちょうどドラマも終わるタイミングでしたし、撮影を通じて演技の楽しさを感じ、芸能界への憧れを抱くようになっていたので、オーディションを受けてみることにしました。

 ただ、私にはこれといった特技もなく、ダンス経験もなかったので、正直受かるとは思っていなかったんです。だけど、元気だけはあったので、審査ではおどおどしないように、踊れないながらも笑顔でずっとジャンプをしていました。結果的に合格することができて、どんな理由で審査に通ったのかはわかりませんが、熱意だけは伝わったのかな、と。すごくうれしかったです。

――実際にSKE48の一員となって、加入前後でグループの印象に違いはありましたか?

 けっこうありました。いちばん驚いたのは、思っていた以上に"アスリート集団"のようなグループだったことです。私はこの世界に、可愛らしく、爽やかで、キラキラしたイメージを持ったまま入りました。ですが、初めて見た劇場でのステージで、先輩方は前髪で顔が見えなくなるぐらいに頭をブンブン振って、滝のように汗をかいていたんです。想像と違いすぎてびっくりしちゃいましたが、いまでは私も、そんな先輩方の"SKE魂"を受け継ぎ、前髪を気にしないぐらい激しく踊れるようになりました(笑)。

 公演以外でも、バスに乗るときは先輩に座席を譲ったり、楽屋のお弁当を取る順番も先輩が先だったりと、予想以上に体育会系でした。アイドルの世界の厳しさをひしひしと感じながら、私自身かなり鍛えられましたね。私たち6期生は厳しい時代との狭間のメンバーなので、どちらも難しいな、と思いながら生活していました。

ーーそういった経験を重ねてこられたからこそ、活動のなかで6期生の絆の深さを感じます。12年間支え合ってきた同期の存在を、あらためてどう感じていますか?

 ものすごく信頼が厚いのが6期生だと思いますし、ファンの方からも「なんでそんなに絆が強いの」と言われたりもします。だけど、じつは私たち、プライベートで全然一緒に遊ばないんですよ。

 それでも仕事では一緒にいるとやりやすく、心強い存在なんですよね。それに、仲が良すぎない絶妙な距離感で12年間を過ごしてきたからこそ、メンバーに会うたびに、何か新しいものが生まれるような刺激を受けたりもします。6期生だけで単独ライブをやらせていただいたこともありましたし、みんなと出会えてよかったなって、いまでも思います。

【ファンと共に掴み取った「センター」の立ち位置】

ーー熊崎さんは、何事にも前向きで、応援してくれるファンのために努力を惜しまない姿勢が印象的です。それでも心が折れてしまったり、挫折をした経験はあったのでしょうか。

 くじけそうになったことは何度もありました。そのとき、私を支えてくれたのは、ファンの方々の言葉でした。というのも、SKE48加入前はアイドルについての知識がなく、歌って踊れることが楽しいな、くらいに思っていたんです。ですが、実際にグループに入ってみると、「前に行きたい」「センターに立ちたい」という気持ちがどんどん出てきました。

 とはいえ、最初はずっといちばん後ろの列で、人数も多いですから、踊っていても誰かしらとかぶってしまう。画面には人と人との間から顔が映るかどうか。それぐらい厳しい位置からのスタートでした。それから2014年の「大組閣」で正規メンバーに昇格することが発表されて、15thシングル『不器用太陽』ではじめて選抜メンバー入り。ようやく光が当たってきたな、と思ったんです。

 けれど、そのタイミングで、ステージから落ちて右手を骨折。全治3カ月のケガを負ってしまい、活動休止を余儀なくされてしまったんです。

ーー表舞台での活動が増えていくタイミングでの離脱......ツライですね。

 とても悔しかったです。その間に、ほかの昇格したメンバーが新しいチームで絆を深め、どんどん活躍していく。それなのに、私は病院に通っているという、なんとも言えない気持ちでした。復帰して以降も選抜メンバーから落ちてしまったりと、1歩進んだら2歩下がる、みたいな時期が続いたんです。

 ずっと目指していたセンターも、後輩メンバーから選ばれ始めました。その瞬間「あ、(センターが)後輩から先輩に戻ることはないんだろうな」と思ってしまって。周りからの「タイミング逃したね」という声もあり、「このままグループに居続けていていいのかな」と考えることもありました。

 普段はポジティブで負けず嫌いな私も、マイナスな思考に陥りそうになっていました。そんなとき、ファンの方々が「くまちゃん(熊崎の愛称)が諦めない限り、僕たちはずっと寄り添いながら一緒にセンターを目指すからね」と言ってくれたんです。その言葉のおかげで、折れそうな心を立て直し、ここまで活動を続けることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。

ーーそして今作、33rdシングル『告白心拍数』で初めてセンターに選ばれました。

 もううれしくて、うれしくて......。ステージの先頭に立った瞬間に、ファンの方の顔をいちばん近くで見ることができた。最高の景色でしたね。ファンのみなさんも自分のことのように喜んでくれて、握手会にも涙を流しながら来てくれました。それを見て、私ももらい泣きしちゃって、お互いずっと泣いていたから、会場がカオスな状況になっていましたけど(笑)。

 でも、それぐらい喜びを噛み締めていました。それに、ファンの方が「おめでとう」じゃなく「ありがとう」と言ってくれたんです。それってすごいことだなと思って。一緒に困難を乗り越えながら、センターを目指して歩いてきてくれたからこその言葉だなと、私は感じました。これから、みなさんに恩返しをしていこうと強く思いましたね。

 それと同時に、やはりセンターはSKE48の顔ですから、いろんなものを背負って立たないといけない場所なんだと、あらためて感じました。センターを務めさせていただくからには、このグループの魅力をもっとたくさんの人に伝えていけるように頑張りたい。センターに立つことをゴールとするのではなく、ここから新たなスタートだと捉えて、いろんな道を切り拓いていけるように努力したいと思います。

ーー熊崎さんの"来シーズン"の目標もお聞かせください。

 グループとしては、大きな舞台でライブをしたいです。最終的には、また地元のバンテリンドーム ナゴヤに立ちたい気持ちが強いので、そこを目指してメンバーみんなで一丸となって、基礎から努力していきながら前に進んでいけたらと思います。

 個人としては、競馬や野球など、いろんな方面でお仕事させていただいているので、それぞれのファンの方に認めてもらえるぐらいの熱量を伝えていけるように頑張っていきたいです。

(インタビュー中編につづく)

【Profile】熊崎晴香(くまざき・はるか)/1997年8月10日生まれ。愛知県名古屋市出身。
2012年11月にSKE48 6期生として加入。14年にTeam Eに昇格し、同年7月発売の15thシングル『不器用太陽』にて初の選抜メンバーに選出された。SKE48の最新シングル『告白心拍数』では、12年目で自身初となるセンターを務める。競馬好きとしても知られ、「東京スポーツ」紙上で競馬予想コラム『熊崎晴香のハルカ 伸るか!反るか!』を連載中。また、地元プロ野球球団の「ドラゴンズ応援大使」としても活動している。

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