2024年は東北電力女川原発2号機(宮城県)と中国電力島根原発2号機(松江市)が相次ぎ再稼働し、動いている国内の原発は計14基となった。政府は原発の最大限活用を掲げ、年内に素案を示す「エネルギー基本計画」でも再稼働を推進する方針を改めて示す。だが、他の原発は新規制基準の審査や地元との調整が難航しており、計画実現の道のりは長い。
東北電は9日、原子力規制委員会の審査を受けている東通原発1号機(青森県)を報道陣に公開した。審査の申請は14年6月だが、10年以上が経過した今も再稼働のめどは立っていない。
原子炉建屋は海抜約16メートルの防潮堤で防護するが、1000万年に1回程度起こる可能性がある津波への追加対策なども必要で、24年度中の安全対策工事の完了を断念した。東北電は来年下期からのプラント審査を求めており、小笠原和徳所長は「それまでには(追加対策を含む原子炉の)設計を明確にしていきたい」と述べた。
電源開発(Jパワー)も同日、建設中の大間原発(同県)を公開した。工事は11年の東京電力福島第1原発事故直後の時点で4割弱まで進んでいたが、その後は停滞。目標とする30年度の運転開始は厳しい情勢だ。
経済産業省によると、福島第1事故前に稼働していた原発は54基で、国内の発電量の約3割を占めた。23年度の実績は8.5%にとどまる。
現行エネルギー計画は30年度の原発比率を20〜22%とし、次期計画でも40年度に同程度の水準を維持する方向。現在の2倍程度が稼働しなければ届かない計算になる。審査には東京電力ホールディングス柏崎刈羽原発6、7号機(新潟県)など3基も合格済みだが、地元が再稼働に同意せず、展望は見えないままだ。
電源開発(Jパワー)が報道公開した建設中の大間原発=9日午後、青森県大間町